議事録

行政監視委員会 国と地方の役割分担に関する小委員会 2021年4月26日

204-参-行政監視委員会国と地方の行政の役割分担に関する小委員会-002号 2021年04月26日

○森屋隆君 立憲・社民共同会派の森屋隆でございます。この委員会で質問は初めてということで、よろしくお願いしたいと思います。
 今日は、国と地方の行政の役割についてお聞きをしたいと思いますし、また、特に地域公共交通として一番身近な路線バスについて今日はお伺いをしたいと思います。よろしくお願いをいたします。
 この路線バスというのは、通学、通勤、委員の先生方も通学、通勤で一度は利用したことがあると思いますし、誰もが一番身近な公共交通として乗り物だと、こういうふうに思います。この路線バスが今なくなりつつあるということで、今日は委員の先生方も含めて一緒にお考えをいただければと思っています。
 原因は、御承知のとおりでありますけれども、人口減少、そして少子高齢化、社会情勢の変化、そして先ほどもありましたけれども、この一年もう二か月になりますかね、コロナ禍ということで、これが追い打ちを掛けまして、この長期化、コロナの長期化が追い打ちを掛けまして更に厳しい状況になっています。そして、そんな状況を反映しまして、今年の春のダイヤ改正では、この路線バスが、それぞれ全国の路線バスが全国で大幅に廃止あるいは減便になっています。
 そこで、お伺いをしたいと思いますけれども、この路線バスについて、基礎自治体における乗り合い路線バスに対する単独補助金の負担、これが年々大きくなっているわけでありますけれども、他方で国の補助金というのは少し横ばいなのかなと、こんなふうに思います。この地域公共交通を守るためにはこの国の補助金を更に拡充していく必要性があるかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(金井昭彦君) お答えいたします。
 地域住民の日常生活や我が国の経済産業活動を支えるインフラとして極めて公共性の高い役割を担っております公共交通を取り巻く環境は、多くの地域におきまして、コロナ禍以前から人口減少等によりまして厳しさを増しております。
 こうした中、委員御指摘のように、地方公共団体におきましては、乗り合いバスを始めとする地域の公共交通の維持のため、財政的な支援を増加していただいているものと承知してございます。
 国土交通省におきましても、地域公共交通確保維持改善事業としまして、幹線バス、コミュニティーバス等の地域の生活交通の運行の確保のための支援を行ってございまして、令和三年度予算におきましては約二百六億円を計上しているところでございます。さらに、特に現下のコロナ禍による厳しい状況を踏まえまして、地域のバス、鉄道等の運行維持や感染症防止対策の強化等につきまして、令和二年度第三次補正予算におきまして約三百五億円を計上しておりまして、十五か月予算の考え方の下、手厚い支援を行うこととしてございます。
 今後とも、各地域におきまして持続的な地域公共交通の確保が図られるよう、引き続き地方公共団体と連携して取り組んでまいりたいと考えてございます。

○森屋隆君 ありがとうございます。
 令和二年の予算、三年度予算ということで二百六億円を計上していただき、そして補正で、第三次の補正で三百五億円ということで、コロナの中で補正で三百五億円積んでいただいたということで、これ活用していきたいと、こういうふうに思っていますけれども、少しこの地域公共交通確保維持改善事業の予算の推移を見ますと、ここ数年やっぱり二百億前後かなというふうに感じております。二〇一一年度には三百五億円を予算として出しておるのが、約百億円ほど予算が実際には減ってきているのかなと、こんなふうに感じているところでございます。
 今、公共交通がエッセンシャルワークということで社会を支える一番重要なある意味移動手段でありますし、そして、このコロナ禍でなかなか、密にならないように、あるいはテレワークなども推奨しておりますから、減少傾向にあるわけであります。
 この中で、私は、この地域公共交通の公共というのはどういったことなのか、またその役割、この辺について御説明、お答えをいただきたいと思います。

○政府参考人(金井昭彦君) お答えいたします。
 地域公共交通のいわゆる公共についてでございますけれども、明確な定義はございませんけれども、私ども、地域住民の日常生活や経済産業活動を支えるインフラとして誰もが一定の対価を伴って利用できる運送サービスと、このように理解しているところでございます。

○森屋隆君 ありがとうございます。
 誰もが利用できるということで、確かにこの東京の公共交通も、北海道や九州や沖縄から来ても東京の人と同じ料金で同じサービスを当然受けられる。日本全国がそういうことですから、当然公共だと思っています。そして、特に中山間地、地方を中心にする中山間地というのは、やっぱり先ほど言ったように人口が減っていますし、その中で、そこに住んでいる人の移動の手段としてやっぱり必要だということもあります。
 今、コロナの中で、外出ができない中で移動は減っている、しかし、公共ということでありますから、全てを止めるということには当然ならないんだろうなと思う。大変、その板挟みというか、厳しい状況が続いていますし、地域の行政も判断がなかなか難しい状況が続いているんだろうと思います。
 そこで、もう一つお聞きしたいのは、この公共交通も、民間の経営する公共交通と公営の公共交通が当然あるわけでありますけれども、この違いというのはどういったところにあるんでしょうか。

○政府参考人(金井昭彦君) お答えいたします。
 委員御指摘のその公営につきましては、地方公営企業法に基づきまして、地方公共団体が住民の福祉の増進を目的として条例により設置し、経営する企業ということでございます。公営、民営、いずれの場合も原則は独立採算ということで、各事業法に基づく事業許可を受けているところでございます。
 公営、民営、いずれの企業形態を取るにせよ、公共交通は地域住民の日常生活や我が国の経済産業活動を支えるインフラとして極めて公共性の高い役割を担っていただいていると、このように認識してございます。

○森屋隆君 ありがとうございます。
 公営にしろ民営にしろ、基本的には独立採算制という考え方なんだということかなと思いますし、地域の公共交通の在り方は地域が決めていくんだということも承知をしています。
 そんな中で、公営も、実は公営の公共交通に携わる労働者の方にお話を聞きますと、やはり公営でも当然、先ほど申し上げたように、高齢化が進んでいる中で様々な、民生費というんですかね、そういったものがやっぱり負担が大きくなっている中で、やっぱり公共交通に対する予算というのがどうしてもなかなか出せない。そういった状況の中で、公営であっても、民間へ管理の受委託などをして支えているような状況も公営の中でもあるというふうに聞いています。
 そして、今日、実は地域の公共交通を支えている担い手の方からいろいろ聞いて、傍聴もしていただいておりますけれども、お話を聞きますと、このコロナでどういうふうに変わったんだということでありますけど、まずは密にならないようにということで、なかなか採算性が取れないところにあってもやはり便数は余り減らせないだろうということで、乗っていないんですけれども、やっぱり便数は出していくと。そして、やはり大きな損失が出ているのも実際御承知のとおりだと思います。独立採算制がもう特に取れない地方、中山間地では更にそういう状況が続いています。
 そして、民間の公共交通の担い手というのは、もう先生方も御承知のとおり、鉄道関係のグループ会社が日本の場合は割と多うございまして、昨日から発出された緊急事態宣言でも、百貨店などもやはり開けるのはよそうということで協力もしてもらっています。この百貨店も、要は鉄道のグループ会社が割と多い。あるいはホテルもそうでございまして、そういったグループの中で、全体的にホテルだとか百貨店だとかあるいはその鉄道、バス、これが今コロナの中で厳しい状況になっています。
 これ、国交省の資料で出してもらったものであります。見ますと、路線バス、昨年の四月から五月、一回目の緊急事態宣言のときには四七・七%から五〇%輸送人員が減ってしまったと、こういうことでございまして、二回目でも約三割が減っている、現在も三割ほど戻っていない。これ、大手の鉄道も三割ほど戻っていないということでございます。そして、高速バス、これもバス会社さん一緒に運営していますから、高速バスが四月から五月には七九・五%から八五・五%輸送人員が下がったと。そして、貸切りについては、ほぼ動いていない状況でありますからゼロという。こういったものを、総合的な収入を赤字のところにやっぱり補填をしながら運行してきたというのが路線バスの実態なんですけれども、それがなかなかできない状況になってきています。
 こういった指摘もございます。これ、四月の十六日の第百六十三回の職業安定分科会での指摘かと思いますけれども、人の移動を抑制した場合、そのことによって産業が消滅した場合、地域の生活が崩壊する場合があると、これは特に地域の公共交通などだというふうな指摘が出されております。
 昨年の四月の七日に、国土交通委員会の委員会の場所でも質問に立たせていただきました。このコロナが長期化した場合に、公共交通が崩壊してしまう、国土交通省の更なるバックアップをお願いするということで、今日は朝日大臣政務官にも御出席いただいております。
 政務官も、私はいつもこの主張をしていますからよくお聞きしていただいておると思いますし、東京でも西多摩地区、もう政務官も、大臣政務官もよく私の地元の方にも来ていただいておりますから、どういう地域状況かということもよく御存じかと思います。こういったところが、先ほど申し上げましたように、中央の電鉄大手というところが今赤字転落するわけですから、その赤字転落したこの中央の都心部、東京や大阪や名古屋、ここの移動というのはなくなることはないです。まあ、あり得ませんよね。ないんですけれども、ここで大きな痛手が出た場合にその痛手をどこで回収するかといったら、なかなか収益率が上がらないところをやっぱり切っていくしかないという、こういう連鎖がどうしても出てしまうと思います。
 いよいよ昨日、第三度目の緊急事態宣言が、これ全国規模ではないですけれども、十七日間ということで、東京、大阪、兵庫そして京都ということで出されました。限界がそろそろ来ていると、地域の事業者あるいは地域行政の方々も、どうしていったらいいんだろうと、この状況に今立たされています。小規模自治体ほど地域公共交通の維持が難しい。しかし、先ほど言ったように、高齢化あるいは交通弱者の方は、この地域の一番身近な乗り合いバスが本当に必要になっています。朝日大臣政務官に最後ここはお聞きをして、本当に力強い答弁をいただきたいところであります。
 国民の移動、この暮らしですよね、これを守っていく、基礎自治体任せにもうできない状況に来ていると思うんです。路線バスが廃止をされてコミュニティーバスになる、コミュニティーバスもデマンドバスになる、そして最後は、NPOではないですけれども有償旅客事業みたいな形で、地域の交通がどんどんなくなっている。これ、全国で先生方も本当に目の当たりにしているのかなと思います。
 国交省として、あるいは国として、政府として、今の状況、そして三回目のコロナという、長期化というコロナの中で、これまで以上の国の役割、責任を果たすことが求められていると思いますけれども、朝日大臣政務官、御答弁をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○大臣政務官(朝日健太郎君) お答え申し上げます。
 森屋委員におかれましては、日頃より、バス事業を始め、地域公共交通の課題に対しまして国土交通省に御提言をいただきまして、誠にありがとうございます。また、本日はバス事業の方々も傍聴にいらっしゃっているということで、本当に改めて、この場をお借りしまして心より御礼を申し上げます。
 現在、多くの地域では、委員御指摘のとおり、人口減少や少子高齢化の進展によりまして、バスを始めとする公共交通サービスの需要が減少しておりまして、大変厳しい状況にあると我々も認識をしております。また、高齢者の方々の運転免許の返納が年々増加をしておりまして、その受皿として移動手段を改めて確保することが重要な課題となっております。
 こうした状況を踏まえまして、昨年の通常国会におきまして地域公共交通活性化再生法を改正をいたしました。地域の移動ニーズを把握する立場にある各市町村等が中心になりまして、それぞれの地域の実情を踏まえつつ、地域公共交通に関するマスタープランの策定等を通じまして公共交通サービスの維持確保を図ることを促すこととしております。
 しかし、こうした取組に当たりましては、委員が御指摘のとおり、地方公共団体における人材面や、また体制面、財政面での課題があると我々も認識をしておりまして、その課題解決に向けまして、地方公共団体へのノウハウ面での支援として、国土交通大学校における地方公共団体職員などに対する研修を実施したり、地方公共交通に関するマスタープラン作成のための分かりやすいガイドラインを作成し、御提示をしております。また、地方運輸局が開催するセミナーでの各地での優良事例の横展開などをしまして、地方自治体の皆様にも御尽力いただいているところでございます。また、地方自治体におけるマスタープランの策定につきましても、財政面でしっかりと支援をすることとしております。
 今後とも、各地域におきまして持続的な地域公共交通の確保が図られるよう、引き続き、国土交通省はしっかりと力を挙げて地方公共団体と連携をして取り組んでいく覚悟でございます。

○森屋隆君 朝日大臣政務官、ありがとうございます。
 そういったガイドラインを、分かりやすいガイドラインを地方行政に出していただいて、あるいは今回、この長引くコロナ禍でも国交省の方々から地方臨時創生交付金、臨時交付金を、使い方を、こういった地域ではこういった使い方をしている、こういった地域ではこういった公共交通にこういった使い方をしていると、まあ横展開もしていただいていますし、そういった面では本当に有り難く思っています。
 しかしながら、何度も繰り返しになって大変恐縮ではありますけれども、やはり今回のコロナ、これが相当のインパクトがあり、まだ出口も見えない、まあワクチンに期待するところではありますけれども、そして、それぞれの地域、特に中山間地を含めてもう限界に来ている、先ほど、繰り返しになりますけれども、そういった状況がありますから、来年の一年たった中でやはり公共交通がしっかりあったと、この委員会の中でそういった指摘をする中で、政府もやはりそこに手を差し伸べてくれたと、こういったことになっていただきたいと私は思っているところでございます。
 そして、貸切りの方も動いていない状況ですけれども、これも国交省の皆さんのお力で横展開をしていただいて、ワクチン接種の、車両自体を、観光バスの車両自体をワクチン接種にしてもらったりとか、そういったこともいろいろ使い勝手として、地域の中で工夫しながら、地域の路線バスを守っていくために総合的な合わせ技で行っていると、こういうふうに聞いています。
 いずれにしましても、このバスの名前の由来というのは、もう御承知のとおりかと思いますけれども、オムニバスというラテン語だそうでして、全ての人のために、あるいは包括的なという意味でございます。この日本の中で、地域の中で、社会そして経済を支えてきたこの路線バスを、厳しい状況にはありますけれども、ますます重要視が、高まっていることを述べさせていただきまして、私からの質問を終えたいと思います。
 ありがとうございました。

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