議事録

資源エネルギーに関する調査会 2021年4月21日

204-参-資源エネルギーに関する調査会-005号 2021年04月21日

○森屋隆君 立憲・社民の森屋隆です。
 今日は、参考人の先生方、本当ありがとうございます。
 まず、松下参考人にお伺いをしたいと思います。
 日本の国土は七割が森林でありますから、私の住んでいる東京の檜原村というところなんですけれども、カーボンネガティブ、要は、まきストーブを復旧させて、化石燃料から転換をしていこうということなんですけれども、価格は、家もちょっと改築しなければなりませんから、ちょっと百万とか百五十万ぐらいやっぱりしちゃうんですね。
 そんな中で、今日本では間伐材が問題になっていますけど、この間伐材を使う、あるいは若者の雇用が生まれたり、また空き家に入ってもらったり、ライフスタイル、都心から田舎の方に暮らしてもらう、ライフスタイルを変える、あるいはその断熱効果を高める改築で地元の大工さんにもまた雇用が生まれる、いいとこずくめだと思います。また、冬はエアコンだったりファンヒーター使わないから節電にもなる。
 それで、私も少し驚いたんですけれども、このまきストーブ一台でCO2削減効果がハイブリッドカー五台に値するという調査もあるらしくて驚いたんですけれども、こういったことが私は大事なのかなと思っていまして、こういった取組の評価を聞かせていただきたいのと、補助金もあるんですけれども、やはり高価なものですから、なかなか進んでいないのも実態でして、その辺のところも答えていただければ有り難いと思います。
 もう一点は、二〇一五年頃だったと思うんですけれども、このセルロースナノファイバー、強くて軽くて画期的な素材だといってかなり話題になったと思うんですけれども、このセルロースナノファイバーというのは環境にこれ良いものなのか、そして現在利用はどのようになっているのか、この二点、お願いをいたします。

○参考人(松下和夫君) ありがとうございました。
 第一点の、日本に豊富に存在する森林を活用してそれをカーボンネガティブにつなげていくということは、大変大事な考え方だと思います。
 まきストーブを活用することによって実際にCO2削減につながるというようなことも多分言えると思いますが、問題は、恐らくそういうのが社会的なシステムとして十分に広げていくことができるかどうかであると思います。いわゆるバイオマスエネルギーを使って発電をするとか、あるいは暖、熱を取るとかいうことは非常に望ましいことではありますが、それをやるためには、地域によりますが、例えば間伐材を集めるためのコストであるとか、運搬するコストであるとか、そういったものは非常に高いという現状があるようであります。
 したがって、それだけを目標にすると非常に難しいわけでありますので、そういう言わば間伐材であるとかバイオマスを供給する供給サイドの整備と、それからそれを利用するサイド、まきストーブも、恐らくたくさん増えれば、規格化していけば安くなると思いますが、そういうシステムとしてどういうふうに間伐材なりを利用できるシステムをつくっていくかということが大変重要ではないかというふうに思います。これもまさに地域循環共生圏という考え方を使って、具体的な地域においてモデル的事業をやっていくべきものではないかというふうに思います。
 それから、二点目のセルロースナノファイバーの件ですが、実は私は、余りそれ自体の内容をよく存じておりませんので明確なお答えはできないわけでありますが、私の理解するところでは、こういったものがいろいろな製造業において使われることによって、従来の製品よりもより軽量でより強度の高いものとして利用できるのであれば、CO2削減にも寄与するのではないかというふうに考えております。
 ありがとうございます。

○森屋隆君 ありがとうございます。
 有馬参考人にお伺いをします。
 少し重複しますけれども、有馬参考人が指摘されていましたFIT賦課金の問題、あるいは来年から始まるプレミアム、FIPの関係、これ、私も、負担している側は余り知らないんじゃないかと、こういうふうに当然思っています。この政策の方向性について、重複しますけれども、もう一度お願いします。
 それともう一点は、先日、私、電子ごみアートの長坂真護さんという個展にこれ行ってきました。ガーナのスラム街で若者が、先進国が出した電子ごみを燃やしてそのメタルを取り出して、一日五百円ぐらいの賃金で働いている。環境にも体にも当然悪いわけですけれども、そういう実態があります。
 そして、参考人は、国連の調査を例に挙げて、やはり地球温暖化防止、こういうことも大事だし、再生可能エネルギーも大事だけれども、そういったところに目を伏せてはいけないという、この両立が大事だというふうなことかと思います。
 日本でもこの格差は広がっていますから、これを両立していく一番良い考え方というのを、ちょっとありましたらお示しいただきたいと思います。

○参考人(有馬純君) FITからFIPに移行すると。それによって、一部、そういう再生可能エネルギーの購入価格に卸電力価格の市場メカニズムが働くという意味においては私は前進だと思いますけれども、それでもやっぱり補助であることは変わらないということであって、特に、これから二〇三〇年目標というものを大幅に積み上げるということになってくると、FIPであったとしても補助コストは物すごく膨らむということになると思います。
 また、洋上風力を、その中で二〇三〇年十ギガワットですか、といった参考値がありますけれども、あれを導入するということになると、洋上風力というのはまだまだ非常に買取り価格が高いですから、それによるその賦課金の拡大分というのは非常に大きいと。
 ですから、私は、やはり政府がやるべきことというのは、そのFIPによる将来への負担見通しですね、それが産業部門、家庭部門に対してどれぐらいの負担になるのかということを常にやっぱり透明性のある形で国民に示すということが大事だと思います。
 やはり、知らない間にそれが電気料金に入っていて負担をしているというのは、確かに負担をさせる側からすれば便利かもしれませんけれども、やはりこういう時代ですから、透明性のある形で、自分たちがどういうコストを負担しているのかということ、しかもそれが政府の施策によって今後どの程度拡大していくのかと。それでよしということであればそれでいいですし、それじゃ困るということであれば、それはやはり政治に判断の変更を迫っていかなきゃならないと。それは、家庭部門でも産業部門でもどちらでも言えることだと思います。
 ですから、私は、政府が再生可能エネルギーにとどまらず温暖化対策について値札をきちんと国民に示すということが、極めてこれからますます大事になってくるというふうに考えております。
 それから二点目の、SDG、気候変動とそれからそれ以外の対策をどうやってバランスを取っていくかと。これは、日本とそれから例えばインドネシアとでは、やはり解が全く違ってくるだろうというふうに思います。それから、インドともまた違うと思います。
 私は、たまたまCOP26に、あっ、COP25か、マドリードに出ていたときにあのグレタ・トゥンベリさんが来ていたわけなんですけれども、彼女は石炭火力は即やめろということを言っていたんですが、私はちょうどその頃、インドの産業連盟の人と話をしていました。インド産業連盟の人は、グレタ・トゥンベリさんには、是非インドの、電気も全然通っていない、水道も通っていない、絶対貧困線以下で生活している人たちの実態というのを是非見てもらいたいと。自分たちにとっては、やはり国内で利用できる石炭というものを、もちろんクリーンに使わなきゃいけないんだけれども、石炭を使うなというのは解にならないのだということを言っていました。
 ですから、やはりグレタ・トゥンベリさんのように、非常に豊かなスウェーデンという国、それで、原子力とそれから水力で電力のほとんどを賄っているスウェーデンのような国におけるSDGの追求の仕方と、それから、インドのようにまだ非常に貧しい人がいて、国内に化石燃料資源があるという国のSDGの追求の仕方というのは、恐らくバランスの取り方もおのずから違ってくるということになる。だから、世界で統一的な解というのはあり得なくて、各国がそれぞれ判断をしていかなきゃいけないということなんだろうというふうに思います。
 済みません、一般的な答えになってしまいましたが。

○森屋隆君 ありがとうございます。
 最後の質問になります。明日香参考人にお伺いします。
 昨年、皮肉にも、コロナ禍で経済が低迷して環境が改善されたと、こういうふうに言われているんですけれども、一方で、昨年はラニーニャ年だったんですけれども、アメリカでは五十四度、シベリアでは三十八度、日本でも桜がもう早々咲いて、三月のこの平均気温は百年ぶりだというようなことなんですけれども。
 経済が低迷して環境が良くなったんですけれども気温がどんどん上がっているという、何か矛盾しているような気がするんですけど、この辺の御所見あったらお願いをいたします。

○参考人(明日香壽川君) 矛盾はしていなくて、化石燃料、電気使わなかったらCO2が減るというのは確かなので、実際、去年は余りCO2の排出量は増えなかったと思います。ですが、逆に今年はより増えるだろうという、IEAは予測しています。まさにそれがブラウンリカバリーでして、そうならないようにグリーンリカバリーにしようというのが目標なんですが、理想と現実という問題はあるかと思います。なので、そういう意味で、まさに、だから、そこを経済も環境もというのがグリーンリカバリーでして、再エネ、省エネに投資することによって経済復興も雇用拡大もCO2排出削減というのもあるかと思います。
 じゃ、どうして石炭に投資してしまう国があるかということなんですが、やはり中国の場合は、地方と中央がいろいろあって、中央はどうしても石炭火力で簡単に失業対策、雇用対策、雇用維持というのができるという問題はあるかと思います。まさにその途上国と先進国の違いを考えなきゃいけないということなんですが、少なくともグレタは、途上国で石炭をやめろとは言ってはいないと思います。先進国でまずやめなさいということをグレタは言ってはいると思います。
 あと、もちろんそのいろんな、結局エネルギーミックスをどうするかですので、今議論があったように、いろんなものに値札を付ける必要はあるかと思います。
 先ほどの質問とも重なるかもしれないんですが、再生可能エネルギー、どうやってドイツでは説得したかということなんですが、やはりFITというのは十年とか十五年で終わるんですね。なので、今ちょっと高くなるけれど、十年後には安くなると。それが大体今ドイツの場合は二〇二五年とかそんな感じです。日本、二〇三〇年ぐらいでFITはなくなるので、賦課金もなくなります。
 なので、人間が、我々が、五年後、十年後の世代を考えて今投資するかどうかということですし、それもコストではなくて投資なので、それによって日本で再生可能エネルギービジネスで雇用がたくさん生まれるということは考える必要と思います。
 あと、値札という意味では、電気代で原子力は幾らぐらい払っているという値札も入っていなかったと思いますので、そういう意味では、今まで原子力も含めてちゃんと何にどれだけ国民は電気代として払っているかという開示は十分にできていなかったのは問題だと思いますので、是非そこら辺は法律を変えていただければと思います。

○森屋隆君 ありがとうございます。

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