厚生労働委員会 2022年6月2日

208-参-厚生労働委員会-017号 2022年06月02日
○森屋隆君 立憲民主党の森屋隆です。
参考人の皆さん、今日は本当にありがとうございます。よろしくお願いいたします。
まず初めに、津崎参考人と橋本参考人、両名の方にお伺いをしたいと思います。
二年半以上に及ぶこのコロナ禍でテレワークも当然増えたんですけれども、そういったテレワークの普及などによって家庭内のトラブルが大分増えたと。いいこともあったんだと思うんですけれども、一方でトラブルが増えて、DVだったり虐待があったり、そういったこともあったと思います。そしてまた、コロナによっていろんなものが寸断されたといいますか、地域とのつながりもやっぱりなくなったというふうに思っています。そして、孤立化が増え、結果として児童の虐待相談、まあ虐待も実際に増えたんだと思っています。
そこで、二点伺いたいんですけれども、一点目については、今お話ししましたそのコロナ禍の緊急事態宣言などによって、学校だとか保育園、休校、休園を始めとする、また様々な、先ほどお話をしていただきましたけれども、この官民のセーフティーネットが一時的に機能停止というか機能低下というか、そういったことがあったと思うんですけれども、そのときの教訓からどのような対策が必要なのか、また今回の法改正でそこは当然カバーできているのかがあったら伺いたいと思います。
二点目は、やはりこのコロナ禍で、そういった時期に育ったお子様、特にゼロ歳児から二歳児ぐらいまでがその発育に最重要と言われています。震災などがあったときに生まれた子なども、その発育に少し障害があったりとか自閉症になったりとか、そういったことも聞きますけれども、そういったケアが今の状況の中でできているのか、あるいは、なければこういったことが必要なのか、あれば伺いたいと思います。よろしくお願いします。
○参考人(津崎哲郎君) まず一点目の、コロナの状況の中でセーフティーネットが十分機能しなかったんではないか、これ、確かに課題のある家庭ほどうまくつながらない。地域の支援員が訪問するという対処をしましても、コロナだから来ないでほしいというふうに言われてしまって行けない。場合によっては、子供食堂等が、そこへ何かいつも来てくれていたんですけど、それもまた何か開きにくいと、食事の提供とかですね。何か場合によってはお弁当を作って配るとか、いろんな工夫をされて。
要は、その家庭が孤立して外部から見えにくい状態になるというのは、特に課題の抱えていただいている家族ほどリスクが高くなりますので、何らかの方法で社会とつながるということを重点的に皆工夫をされているんですが、どうしてもそこが制約出ますので、子供がそのしわ寄せを受ける。さらには、保護者のその職種等によっては経済的にかなり不利な状態になっていますので、それがもろに場合によったら子供の方にも影響を受ける、そういうことが散見されるという状態にあったように思います。
ただ、児相等に聞きましても、コロナで虐待が増えたかというふうに問われると、余りそれが顕著には見えないという言い方がどこの児相もされておられたように思います。
二点目の方も、低年齢の発育が、やっぱり刺激、周りの刺激を受けて子供の健全な成長を促すという点もやっぱりコロナ状況下で制約を受けていますので、限られた人と空間だけということですから、それもやっぱり良くない影響というのは想定される。ただ、それがどんな形になって現れてきているかというその証拠付けまではまだちょっとよく分からない、そういう実態でございます。
○参考人(橋本達昌君) 御質問ありがとうございます。
コロナ禍でセーフティーネットが機能したかどうかという点ですけど、これ実務的に言わせていただくと、全国児童家庭支援センター協議会では、このタイミングで実は子どもの食緊急支援プロジェクトというのを実施しました。具体的にどういうことかというと、先ほど津崎参考人もありましたけど、子供食堂が閉鎖される、学校も行けない、じゃ、子供たち今それぞれのおうちでどうなっているんだろうということで、その心配な、要支援児童ですね、心配な子供たちのおうちに我々が直接、食を届ける。
先ほど、食を、いろんな相談来ないでというお話があると言いましたけど、ドアノブに、レトルトのカレーとかスパゲッティとかを置いてドアノブに掛けてお渡しして、また電話を掛けて、今ドアノブにちょっと食事を持っていって置いておいたけれども、お子さんどうですかというような話をする。そういう工夫をして、何とかその御家庭とつながるという支援をやっていきました。
これ、実は、同時並行的に国の方も支援対象児童等見守り強化事業というのを制度化されました。これも非常にそれなりに私は効果があったんじゃないかなと実は思っています。自治体数は少なかったですけれども、やった自治体はそれなりに効果があったというふうに聞いています。
ここでの教訓ですけれども、やはり私は、やっぱり今回このコロナ禍の中で、相談支援、アウトリーチがすごく大事だと。訪問していく、困っていることあったら来なさいじゃなくて、我々がそのうちに訪ねていく、こういうことすごく必要。そのアウトリーチに際しては、食支援が伴うとより効果的だというところが実務的に私はすごく実感したところです。
あわせて、子供への影響と、二点目ですね、子供への影響というところですが、これは、私もドクターでないので実はそうそう軽々なことは言えないなというふうに思っていますが、児童養護施設を運営していて子供たちと接していて一つ思うことがあって、この二年半で、みんなマスクが外せなくなりました。外すのが恥ずかしい、何か、外してしゃべるのが、あるいは外して友達と会うのが嫌だというふうになって、何かちょっと変わってきたなというのは実は率直な思いです。
お答えになっているかどうかちょっと分かりませんけれども、以上です。
○森屋隆君 ありがとうございます。
次に、ハタケヤマ参考人にお聞きをしたいと思います。
ハタケヤマ参考人は……(発言する者あり)あっ、ハタヤマ、畑山参考人。済みません。
畑山参考人にお伺いしたいと思います。
畑山参考人、自らの生い立ちをお話をいただいて、そして、血のつながりは関係なく、私たちはたくさんの、私にはたくさんの家族がいますと、こういうふうにお話をされています。一方では、高校のときに、証明書や領収書、あるいは友達がファミリーホーム等々のそういった施設をなかなか知らないで、そういう説明に、一々一々説明することに戸惑いもあったというふうにおっしゃっていました。
そして、子供は社会全体で守り育てるという、そういうことがしっかりできていけばいいと思うんですけれども、先ほどお話にあったように、まだまだ日本はその家庭というところに重きが当然ありますし、それも悪いわけではないんですけれども、そういう概念が強いように思います。
この間の経験の中で、先ほども少しお話があったと思うんですけれども、自立してからがやはりまた大変だというふうなこともあったと思います。日本では何が足りないんでしょうか。
○参考人(畑山麗衣君) 御質問ありがとうございます。
何が足りないのか。やはり、そうですね、私たちケアリーバーは、やはり社会的養護を離れるときにおいて、やはり家族基盤が希薄、経済的な基盤が希薄、本当、不利や困難が同時に降り注ぐんですね。そうしたときに、自分の置かれている状況ってなかなか整理しづらいんですけれども、そうしたときにやはりヘルプを求めにくかったりするんですね。
それが、先ほど橋本参考人がおっしゃっていた、やっぱり自分から相談しに行くということは本当にすごく大変で、自分が困った人にならないと相談を受けれなかったりとか、しんどいことを一生懸命表現しなければ支援を受けれない、また支援を受けに行くと支援対象者になってしまうので、私たちこれまで支援を受けてきたのにまた受けないといけないのかというような、いろんな葛藤が生まれるんですね。なので、そういった相談先ではなくて、やはり家族基盤を持たない若者にとっては、何か困る前に、あっ、これってどうしたらいいのかなとか、日常生活レベルですね、何か聞けるような場所が、実家機能じゃないですけれども、そういった場所が社会的養護自立支援拠点事業に期待できるところではないかなというふうには感じています。
お答えになっているかどうか分かりません。
○森屋隆君 ありがとうございます。
浜田参考人、済みません、時間が来ましたので、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。