議事録

国土交通委員会 2021年6月3日

参議院議事録確定稿が出来次第アップします

204-参-国土交通委員会-019号 2021年06月03日

○森屋隆君 立憲・社民共同会派の森屋隆でございます。質問の機会をいただいたことにまずは感謝を申し上げます。ありがとうございます。
 私からも、ただいま議題となりました航空法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきたいと思います。
 国は、令和二年十月に、コロナ時代の航空・空港関連企業の経営基盤強化に向けて、この支援パッケージを取りまとめました。これらの支援処置に対して、航空運送事業者の団体である定期航空協会からも謝意が示されているようでございます。
 そこで、お伺いしたい一点目でございますけれども、航空運送事業基盤強化の実効性についてでございます。
 感染症がこのように長期化する中で、安全かつ安定的な航空ネットワークの維持確保に、本法律案に基づく航空運送事業基盤強化策に基づいた令和三年度空港使用料、航空機燃料税の減免を始めとする各種の支援処置が具体的にどのような効果を発揮するのか、これは発揮してもらわなければ困るわけでございますけれども、この辺について赤羽国交大臣に見解を伺いたいと思います。

○国務大臣(赤羽一嘉君) 質問ありがとうございます。
 今、森屋委員のお話にありましたような様々な支援をさせていただいてまいりましたし、これからもする予定でございます。その支援に当たってというわけではございませんが、今回のこの法改正の中に入れさせていただいております航空運送事業基盤強化方針に基づいて航空会社がそれぞれ作成する計画の中でしっかり航空ネットワークの形成につながる対策を取っていただきたいと、こう考えております。
 私も、そうはいいながら、大変厳しい状況ですので、航空会社どうなのかなということはやっぱり懸念もございましたが、全日空、日本航空、大手二社でございますが、つい最近、これからの再生策というものの具体的なビジョンを持ってこられまして、このコロナ禍による市場環境の劇的な変化を受けて対応していかなければいけないと、生き残らなければいけないということで、例えば、中長距離のLCC事業の強化ですとか低コスト化、先ほどSAFの話も出ておりますが、SAFを始めとするカーボンニュートラルの実現に資する低燃料機材の積極的な導入、機材、燃料の導入と、相当攻めの姿勢でビジネスモデルの変革に取り組もうという相当意欲的な内容となっておりまして、私も少し安心をしたところでございます。
 やはり前向きに、新しい時代の変化に合わせた新しいビジネスモデルを追求できるようにしっかり我々も支援策を講じていきたいと、こう考えておるところでございます。

○森屋隆君 大臣、ありがとうございます。
 今の答弁も踏まえてなんですけれども、二点目についてでございます。この航空運送事業基盤強化の変更のタイミングについてお聞きをしたいと思います。
 航空運送事業基盤強化方針を変更する場合の、情勢の推移により必要が生じたときと、こういうふうになっているかと思いますけれども、これはどのような状況に至った場合に変更されるのでしょうか。また、同方針を逆に廃止する場合とは、国際的にあるいは国内的にこの新型コロナウイルス感染症の感染拡大がどの程度まで収束された場合にこの同方針は廃止されるのでしょうか。そしてさらには、その収束と、今後、このような事例があってはならないんですけれども、こういった感染が拡大しているような同様の事例が発生した場合には、この方針の在り方についてお聞かせをいただきたいと、このように思います。

○政府参考人(和田浩一君) お答え申し上げます。
 本法案では、世界規模の感染症の流行などにより航空会社の経営に甚大な影響が生じ、国際線、国内線の航空ネットワークの維持が困難になるような事態を甚大影響事態というふうに定義をしております。そのような場合には、利用者利便への著しい影響を回避し、安全かつ安定的な輸送を確保するために、国が航空運送事業基盤強化方針を定めることとしています。
 そのため、影響が更に長期化、深刻化するなど、現在想定している対応では航空会社の経営に更に甚大な影響が発生をし、航空ネットワークの維持確保が困難になり、基盤強化に向けた取組等を変更する必要がある場合には、航空会社とも相談の上で方針を変更するということになると考えています。
 また、廃止でありますけれども、先ほど申し上げました甚大影響事態の状況が解消した場合には、国の方針に沿った取組の必要性がなくなるということでございますので、方針を廃止するということになると思います。
 今後も、旅客数の極端な減少でありますとか業界全体での減収額、また事態が発生している期間、それから地理的な範囲なども考慮した上で、今般の新型コロナのように未曽有の影響が生じている場合には航空運送事業基盤強化方針を定めることを想定しているところでございます。

○森屋隆君 ありがとうございます。
 コロナもこのように長期化をして本当に厳しい状況にありますし、そんな中で航空関係、空港関係の方たちが頑張っている、必ず支えていくこういった支援が大事かと思います。
 そして、コロナが、このワクチンが広まっていって収束をしたとしても、一気にインバウンドが増える、旅行が拡大するということはなかなか難しいのかと私は考えているんですけれども、そういったことも考えますと、やはり長く、ある一定程度の支援はやっぱり必要なのかなと、こんなふうに思っている次第でございます。
 次に、三点目でございますけれども、保安検査員に対する処遇改善の見直しについてお聞きをしたいと思います。
 大臣は、本会議の答弁において、保安検査員の現場における長時間拘束や時間単価の低さ等、こういった様々な課題について認識をしていると、こういうふうに申されました。また、今般新たに作成する危害行為防止基本方針において、現場における様々な課題解決に向け国が主体的にその役割を果たし、保安検査員の処遇改善を含む労働環境の改善に取り組むと、このように力強い答弁をしていただいております。
 具体的に、どのくらいまでにこの処遇改善ができるのか、あるいは目標としているのか、少しなかなか難しいと思うんですけれども、この辺についてお聞かせをいただきたいと思いますし、また、今回のこの法改正とは直接的には関わらないと思うんですけれども、空港で働く、グランドハンドリングというんですかね、この従事者の方からも労働環境、労働条件の向上について多くのお訴えが届いております。併せて大臣の方から御見解をいただければ大変有り難いと思います。よろしくお願いいたします。

○国務大臣(赤羽一嘉君) 保安検査業務もグランドハンドリング業務も、陰の立場で航空業務を支えている大変重要な業務だというふうに思っております。しかし、それに対しまして、航空機の運航状況に業務時間が左右されるということから大変拘束時間が長くなるですとか、あと肉体的な負担も大変高い等々の課題がございまして、現場の従業員の皆様の処遇改善は喫緊の課題であるというふうに認識をしているところです。これは本会議で申し上げたとおりでございます。
 このことについて、今般の法改正におきまして、保安検査の受検義務化ですとか保安検査員の指示権限を明確にすると、しっかりとやっぱり仕事の内容を誇りを持っていただくと、やっぱり大切なことだと口で言うだけではなくてしっかり権能も持っていただくということも考えておりますし、そうしたことで旅客の皆様からのクレームへの対応の改善を図るということでございますし、また、国が検査会社に対しましても直接関与できるようにしたいと思いますので、現場の実態がしっかり把握できるような枠組みを整備していきたいと。
 これ、今回の法改正、保安検査員だけでありますが、グランドハンドリング業務につきましても、これ実は、国と空港会社とグランドハンドリング事業者などの関係者で令和二年一月にアクションプランまとめておりますので、これからの需要回復を見込んで従業員の処遇改善、また外国人材の活用、これ実は新しい制度にのせてやろうとしていましたが、コロナの関係でちょっとまだ進んでいない状況だというふうに承知をしておりますので、ここもしっかりやっていきたいと思いますし、そうしたことで生産性の向上等、取組を促進してまいりたいと思います。
 まだこれ、法律もまだでき上がっていませんので、いつまでということはちょっと今の時点で申し上げにくいんですが、いずれにしても、保安検査はリスクに対する対応ですから、だらだら延ばしていいわけではございませんので、今日御質問もいただいたことでありますので、成立後速やかにしっかりとした結果が出せるように私の方からも督促をしてまいりたいと、こう考えております。

○森屋隆君 大臣、本当に心強い答弁ありがとうございます。
 是非、保安員あるいはそのグランドハンドリング従事者、私のところに来た、大臣、働いている者からの実態と声なんですけれども、やはり二十代、三十代前半の方が多いようです。そして、もう大臣も御承知のとおりかと思いますけれども、年収ベースにするとやはり三百万以下、三百万ぎりぎりというところが多いようでございますし、離職率も一〇%を超えている、あるいは高いところでは一九%、平均勤続も十年あるいは十年以下のところもあるようでございます。
 今大臣答弁いただいたように、本当に誇りを持って頑張ってやっている若い労働者の方たちがいるわけであります。是非期待をしておりますし、コロナの関係でアクションプランも少し遅れているということでございますけれども、本当にしっかり支えていただき、後押しをしていただきたいと、こういうふうに思います。よろしくお願いします。

○国務大臣(赤羽一嘉君) ちょっと先ほど申し忘れたんですけど、なるべく空港に視察をするときには保安検査の実態も、足を運ぶようにしておりまして、ちょっと今速やかには思い出せませんが、あるところのLCC対応だったと思いますが、女性の皆さんがやっていて、非常に活気があって迫力もあって、保安検査業務スムーズだったということを特に印象深く思っております。
 ですから、労働時間が非常に不規則なので、もう少し、私が言うとちょっと影響与えますけど、少し時間を区切っての働き方とかですね、一度リタイアされた方の、女性の再雇用とか、そうしたことも活用するとやはり効果が高いのではないかと。また、若い方、新卒の方も数多いんですけど、その方はやっぱり専門的な、特殊な高いスキルを学んでもらうという機会も前向きに考えていくような、そういうシステムが必要だなというふうに思っております。
 ただ、これも全て国交省から発案させていただきますが、検討会の中でしっかり議論していただきたいと、こう考えております。

○森屋隆君 大臣、本当にありがとうございます。期待をしております。よろしくお願いします。
 四点目でございます。
 先ほどからありますように、コロナ禍の中、本当に厳しい企業経営がされています。そんな中で、企業もあるいは働いている者も一緒になって頑張りながら、企業経営改善に向けて様々な経営政策あるいは経営努力が図られていると、こういうふうに思います。特に、企業の再編成やあるいは持ち株、共同経営など、こういったことも考えられると思いますけれども、同時に、それに伴う例えば空港の発着枠の取扱いなど、これについて、透明性あるいは納得性がいくように私はしっかりと国が役割を果たしていくべきだと、こういうふうに当たり前ですけれども感じております。
 この件について見解をいただきたいと思います。

○政府参考人(和田浩一君) お答え申し上げます。
 航空会社におきましては、コロナ禍の甚大な影響が長期化している中、財務体質の改善など、懸命に経営改善に向けた様々な検討や取組をされており、そうした取組の中で複数の航空会社間での組織再編などの動きも出てきているというふうに承知をしております。
 御指摘の羽田空港の発着枠との関係でございますけれども、例えば、中堅航空会社に優先的に配分された発着枠につきましては、これが競争促進を図る観点から配分しているということに鑑みまして、中堅航空会社間での合併とか合併と同程度の事例とみなされるような場合には、発着枠を回収するというルールになっております。
 現在、このルールに該当するような検討が航空会社で行われているとは承知をしておりませんけれども、引き続き、具体的な検討状況をよくお聞きをして、公正公平に対応してまいりたいと考えております。

○森屋隆君 局長、ありがとうございます。
 現在はそういったことがないということで確認をさせていただきましたし、また、そういったことにしっかり基づいて、透明性の中でやっていくということでよろしいでしょうかね。はい、ありがとうございます。
 最後の質問になります。
 いよいよこのワクチンの接種も、高齢者の方から六十四歳以下、一般の方になっていくわけでありますけれども、今日は航空法でありますから、パイロットを始め客室乗務員の方々、さらには、大臣いつも気に留めていただいております交通運輸労働者等の接種が始まると思うんですけれども、先日、私の事務所に、実は先行して接種をした医療従事者に対するワクチン接種後の副反応について報告がありました。少し紹介をさせてください。
 それは、五百人規模の病院に働いている従事者の方なんですけれども、特に二回目の接種において発熱や体調不良を訴える者が七割近く、何らかの、腫れているとか熱が出たとかいろいろあると思うんですけれども、七割近くに上ったと、こういうふうなことでございまして、そして、その多くの者が実は二日ないし三日の休みを取ることになり、病院体制の維持が少し困難になった時期があると、こういうことでございます。
 政府も、このワクチン接種に対しまして、二万人の接種に二一・六%の確率で三十八度以上の発熱があるというような、こういうこともちょっと発表しているかと思います。
 いよいよ今月の二十一日から職域接種もスタートをすることでありますけれども、私は、この職域接種というのはスムーズにいけばいいことなんだろうなと、こういうふうに思っていますけれども、現場がスムーズにこの接種予定が組めるように、これは所管違うと思うんですけれども、安定したワクチンの調達はもとより、この交通運輸労働者、特に、公共交通従事者など人の移動に関係する業種のワクチン接種後の副反応、これを私は気にしておりまして、勤務あるいは乗務、そして営業に支障がないよう関係機関への、所管する国交省から指導、通達などがあったのかどうなのか、ここを確認していきたいと思いますし、さらに、ワクチン大臣、河野大臣は公務員のワクチン休暇についても発表をしているかと思います。
 交通運輸労働者にも、国として安全を第一に考えるべきでありますから、当然でありますから、このワクチン休暇が取れるように強く推進をしていただきたいと、このように思っているところでございますけれども、いかがでしょうか。よろしくお願いをいたします。

○政府参考人(馬場崎靖君) お答え申し上げます。
 一般的に、ワクチン接種に伴い、接種後に副反応による体調不良等が生ずるおそれがあるのは委員御指摘のとおりでございます。特に、直接運行に携わる方が接種を行った場合に、副反応による体調不良が事故等輸送の安全に影響を及ぼすようなことがあるおそれがありますから、公共交通事業者におかれましては、これらの方々へワクチン接種後に留意すべき事項を十分理解しておいていただくことが重要であると考えております。
 このため、国土交通省では、例えばバス、トラック、タクシーなどの運転者がワクチンを接種された際の留意事項として、これは厚労省のホームページにも掲載されておりますけれども、ワクチン接種後の副反応に関する情報を御紹介するとともに、接種後の体調管理や体調変化確認等について十分な注意を払うことなど、ワクチン接種後の留意事項を業界団体等を通じて周知をしているところでございます。
 また、航空機の乗務員につきましては、航空機乗務員の使用する医薬品の取扱いに関する指針というのがございます。この中において、今回のコロナに関するワクチンにつきましては、接種後四十八時間経過するまでは業務に従事してはならないという形でされております。
 また、政府として、ワクチン接種を今後加速していく過程におきまして、委員御指摘のいわゆるワクチン休暇に関する検討も含めまして、安心して接種していただける環境を整備すべく、厚生労働省等の関係省庁とも相談、連携しつつ、引き続き取り組んでまいりたいと思います。

○森屋隆君 ありがとうございました。
 関係機関にはそのような通達が出ているということでありますし、パイロットの場合については四十八時間を空けなければならないということかと思います。トラックやバス、鉄道などはそういった規定がないわけでありますから、やっぱり体調を確認しながら乗務してもいいということであったかと思います。
 さらに、このワクチンの休暇について、これも安全がやはり第一でございますから、是非とも、厚生労働省あるいは国交省の中で、なかなか企業も大変な状況にあると思うんですけれども、やはり取れるような状況をつくっていただきたい、こういうふうに強く申し上げまして、質問を終えたいと思います。
 ありがとうございました。

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