議事録

国土交通委員会 2021年5月18日

参議院議事録確定稿が出来次第アップします

204-参-国土交通委員会-016号 2021年05月18日

○森屋隆君 立憲・社民共同会派の森屋隆でございます。質問の機会をいただいたことに感謝を申し上げます。
 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。
 長引くコロナ禍の中で、交通運輸部門も新たなビジネスモデルを求めていくということは今後も大変重要なことだと考えています。しかしながら、二〇一二年に起きた高速ツアーバスのように、尊い命を失ったこの教訓というのは私たちは決して忘れてはならないことだと、こういうふうに思っています。
 もう御承知のとおりでありますけれども、この日本の人流、物流の安全、安心、そして安定した輸送というのは、厳粛なルールがあって、そこで関係する方々がコンプライアンス、法令を遵守して成り立っているものだと、こういうふうに認識をしています。このことを踏まえまして幾つか質問をさせていただきたいと、このように思います。
 まずは、二〇一五年の二月に、福岡市で一般ドライバーによる輸送事業の実証実験、これが行われましたけれども、その後、国土交通省からこの中止をするような、中止をする、こういった指導が入ったかと思います。どのような理由で中止を求めたのでしょうか。よろしくお願いします。

○政府参考人(秡川直也君) 二〇一五年、福岡で行われましたウーバー社のライドシェアですけれども、タクシー事業の許可を有しない一般のドライバーと利用者をスマホのアプリで仲介しましてドライバーが利用者を運送すると、ドライバーに対してはウーバー社が一定の対価を支払うというビジネスを始めたと。
 旅客の運送につきましては、安全確保や法令遵守が大前提ということで、運送に対する対価が支払われているような場合には、許可を得ることなく運送行為を行うことは認められておりません。道路運送法に抵触するということになります。
 ウーバー社の福岡におけるこの事例というのは、実態として有償で旅客を運送するという形であったため、道路運送法に抵触すると考えられ、中止するように指導したということでございます。

○森屋隆君 局長、ありがとうございます。
 そこにお金が発生をするということで、白タク行為に当たるということだと思います。ありがとうございます。人をそういった輸送するときにはやはりしっかりとしたそういった許可、免許が必要だということだと思います。
 次に、人ではなくて、今度は物を車両等で輸送してお金をいただきたい、こういったときに何らかの許可などは要るんでしょうか。

○政府参考人(秡川直也君) 今度は物を運ぶ方ですけれども、貨物自動車運送事業法、トラック事業法というのがございまして、他人の需要に応じて有償で自動車等を利用して貨物を運送するという場合には許可や届出が必要になります。排気量が百二十五㏄を超えるようなオートバイとか軽自動車、トラック等で運送する場合が規制の対象になります。
 具体的には、トラックを利用して他人の荷物を有償で運送する場合にはその許可が必要、あと、軽自動車やオートバイを利用する場合には届出が必要というふうになっております。

○森屋隆君 局長、ありがとうございます。
 今、答弁の中で、百二十五㏄以上のものについては必要だと、届出が必要だということであったかと思いますけれども、逆を言えば、自転車や百二十五㏄以下のオートバイでは許可なり届出なり、そういったものが必要ではないということでしょうか。

○政府参考人(秡川直也君) 自転車とか百二十五㏄未満の原動機付自転車と言われるような小さな車格のものにつきましては、活動範囲とか輸送能力が限定されているということで、トラック事業法の規制の対象とはなってございません。

○森屋隆君 ありがとうございます。確認をさせていただきました。
 自転車は、見て、自転車でそういった何かを例えばデリバリー、配達をしているというのは見て一目瞭然分かるんですけれども、百二十五㏄以下だよと、あるいはこれは届出をしている車両だよというのは、なかなかこれ、一般の方はちょっと分かりづらいと思います。
 こういったものの区分けみたいな、こういったものが届出をされている、あるいはこういったナンバーであれば排気量が幾つぐらいなんだということが分かるようなことというのはあるんでしょうか。

○政府参考人(秡川直也君) 貨物自動車運送事業に利用される自動車と自家用自動車というのは、車に付けられているナンバープレートの色、態様で確認することができるというふうに思います。
 営業用の六百六十㏄超のトラックとかバイクには緑地に白文字、いわゆる青ナンバーというのが使われています。自家用の場合には、白地に緑ナンバーということで白ナンバーですね。それから、軽自動車の場合は、事業用には黒地に黄色の、黒い下地に黄色の文字ということで黒ナンバーと言われています。自家用の場合は黄色い下地に黒の文字ということで黄色ナンバーという、そういう色等で判断するということになります。

○森屋隆君 ありがとうございました。よく分かりました。
 六百六十㏄以上のものだったら要は営業ナンバーと言われる青ナンバーを付けていただく、あるいは軽の貨物というんですかね、軽バンであれば、個タクの方が付けているような黒いナンバーというんでしょうか、そういったものがしっかりと届出がされている、そういった営業をしていいというナンバーかと思います。ありがとうございました。
 ピンクのナンバーというのはその百二十五㏄以下ということですかね。はい、分かりました。ありがとうございます。
 なかなか、知っている人は当然知っていると思うんですけれども、一般的には余り気にも留めなければなかなか分かりづらいところなのかなと、こういうふうに思って、改めてお聞きをした次第でございます。
 これは、要は知らなければうっかりと違反をしてしまう場合もあるかと思いますけれども、この違反した場合の罰則というのはあるんでしょうか。

○政府参考人(秡川直也君) トラック事業法に定めがございまして、許可を取得しないでトラックを使用して他人の荷物を有償で運送したような場合、この場合は三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金ということになっております。また、同じ法律ですけれども、バイクとか軽自動車を利用して同じように有償で荷物を運んだ場合というのは百万円以下の罰金ということになっております。

○森屋隆君 ありがとうございます。
 これ、違反した場合は三年以下の懲役、そして三百万以下の罰金、あるいはオートバイの場合は百万以下の罰金ということで、かなり重いといいますか、その罰金も、金額も三百万あるいは百万ということで驚きました。こういった違反をするとこういったことが科せられるということだと思います。
 しかしながら、先ほど申し上げましたように、違反か違反じゃないか、あるいは取締りをやっているかやっていないかは、ちょっとそこは調査していませんけれども、そのような事例というものが実際にあるのか。検挙数というんですかね、そういったものをお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(新田慎二君) お答えいたします。
 貨物自動車運送事業法第三条、これは一般貨物自動車運送事業の許可でございますけれども、あるいは第三十五条第一項、これは特定貨物運送事業の許可、又は第三十六条一項、これは貨物軽自動車運送事業の届出でございますけれども、これらに違反して貨物自動車運送事業を行い、若しくは道路運送法第七十八条、これは有償運送の規定でございますけれども、こちらに違反して有償で貨物の運送を行う、いわゆる白トラ行為の検挙件数は、令和二年中におきましては四十七件となっております。

○森屋隆君 ありがとうございます。
 白トラ営業というんでしょうかね、三条、三十五条、三十六条、あとは七十八条、それぞれ違反の種類あると思うんですけれども、令和二年は四十七件ということですね。これが多いか少ないかというのはこれ別の問題ですけれども、実際にはこういった営業というか違反があるということを確認させていただきました。ありがとうございます。
 そして、今の現代社会でデリバリーというのは増えているわけでありますけれども、例えば、これから梅雨に、梅雨、今年早いらしいですけれども、梅雨になって、いつもは、先ほど秡川自動車局長が答弁してくれました、自転車やそういったものだったら届出も要らないわけですけれども、この雨のときだとかあるいは夜遅く、あるいは四十度も超えるような炎天下の日は、やはり注文する方も届けていただきたいということから需要が当然増えるわけでありまして、そんなときに土砂降りの雨だと、いつもは自転車で仕事をしているんですけれども、いやあ、これ仕事は、ちょっとこの雨だし、ちょっと今日は友達に頼んで、私が注文されたところに配達する、友達には今日一日付き合ってくれよと、その代わり終わったらちょっと飯でもごちそうするからと、こういうような状況でペアで、その友達のお車を借りて一緒に一日仕事をしたと。
 こういったことというのは、これは違反になるんでしょうか違反にならないんでしょうか。その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。

○政府参考人(秡川直也君) 違法性が問われるかどうかというのは具体的な事例によると、ケース・バイ・ケースかなと、こう思うんですけれども、仮に共同で車両を使ってフードデリバリー事業を営んでいるというふうに客観的に見えるような場合とか、あるいはその友人に運転の対価を支払って運転業務を委託していると、実質一緒にやっているというような場合、反復継続して他人からの求めに応じて有償でそういう食べ物とか運転代行なんかをやっているというような確認されるようなケースがあるとすれば、それは白ナンバーによる運送行為ということで法律違反を問われるという可能性が高いんじゃないかというふうに思います。

○森屋隆君 ありがとうございます。
 継続性があるとしたら、これは白タクというか、ああ、白タクじゃないですね、白ナンバーとして違反行為に当たる、あるいはそこで何らかの賃金が発生する、これ難しいんですけれども、賃金なのか謝礼なのかということもあろうかと思いますけれども、ケース・バイ・ケースで違反に当たることも重々あると、こういうことでよろしいでしょうか。ありがとうございます。確認をさせていただきました。
 いろいろとお聞きをさせてもらいました。人の移動、輸送、そして物を運ぶ、こういった輸送の形態、大分変わってきたんだろうと思います。このコロナ禍で変わってきました。
 データ分析のヴァリューズ東京というところがありますけれども、ここの調査では、コロナ禍によるこの巣ごもりでデリバリーサービスの需要が、昨年の一月には二百九十四万人の人が利用をしていたそうでございますけれども、今年一月の時点では九百二万人と三倍に膨れ上がってきたと。町中でもよく見かけをします。代表的な事業者では現在十万人のギグワーカーが登録をしているということでありますけれども、今年度中にプラス十万人が必要で、そして今後は全国展開をしていく、こういうふうに発表がされています。
 先ほど申し上げましたように、雨の日や、そして夜遅く、あるいは夏の暑い日、そして冬の寒い日、働いている人も悪気は多分ないんでしょうけれども、ふだん自転車あるいは百二十五㏄を超えないオートバイで配達をしていたんですけれども、そういった天候などによっては自転車から自動車、ついつい、暑いから寒いからということで、雨の日もありますから、使用してしまう、白ナンバー営業になってしまう、そういった危険性があるんだと。
 そして、この違反というのは、先ほど四十七件とお聞きしましたけれども、トータルで四十七件だと思います、いろんなものを足して四十七件だと思いますけど、ほぼ見付からないんですよね。届けてもらう方も、別に車で来ようが自転車で来ようが、ちゃんと届けてもらえればいいわけでありますし、あと、お店の方も、一々百二十五㏄以下のバイクなのか届出がされているナンバーなのかなんということも確認は当然しませんから、要は見付からないという、見付かりづらいものなんだと。
 しかしながら、違反をして、たまたま乗った車ですから、毎回やっていればそんな事故もないんでしょうけれども、いつもは自転車で、たまたま雨の日に乗った、夜道に乗ったときに事故を起こしてしまったと、こういった場合に被害者に本当に任意保険が適用されるのか、違反しているわけですから適用されるかどうかということもクエスチョン。そして、自賠責については、被害者を保護する観点からこれ支払われるのかもしれませんけど、金額はやっぱり限られています。加害者も、先ほどから申し上げているように、深く考えず、知らないままに事故を起こしてしまう、これは、ある意味被害者なのかもしれません。
 また、最近では、これ大臣もよくニュースで見ている、皆さんも見ていると思いますけれども、知ってか知らずか自転車で高速道路を走行してしまって、これも、一歩間違えれば本当に大変な事故につながると思います。
 そしてさらに、お隣の韓国ソウルでは、六十五歳以上の方に地下鉄の無料パスが配布をされるそうです。そして、その無料パスを使って韓国の地下鉄網を活用して、高齢者の方がデリバリー、小荷物を運ぶような、そういったビジネスもあるようでございます。しかしながら、それは、ビジネスはビジネスとして、韓国のことですから私どもがどうこう言うことはないんですけれども、事故やけがなどが、やっぱりそういった問題も発生をしているようでございます。
 いずれにしましても、人流、物流、このビジネスにおいて、国民やそこで働く労働者の保護、安全、安心を守り、被害者も加害者も出さないように、そういった状況をつくり出すのが政治に私は求められているんだろうと、こういうふうに思います。
 大臣としての見解をお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○国務大臣(赤羽一嘉君) コロナが拡大、延長化する中で、デリバリー事業、需要が大変大きくなってきて、新しいビジネススタイルが出てきたというのが現実だと思います。私が住んでいる赤坂の議員宿舎でも随分そうした人たちが出入りしているし、私もたまに利用すると。
 その中で、新しい形態ですから、ルールがない部分もありますしルールが守られていない部分もあると思います。先ほど局長からも答弁したように、貨物自動車運送事業法ですとか道路運送法ではもう明確になっていまして、百二十五㏄以上の白ナンバーが事業として有償で運送するという行為そのものがもう違法なんだと、ここをどうきっちり守らせるかということであり、じゃ、そこが守られていれば何やってもいいかというと、そうではなくて、それに伴って安全と責任ということが問われると。
 貨物自動車運送事業法では、そうした観点から、百二十五㏄以上の車両を用いる場合に許可等の義務を課して、車両管理ですとか労務管理に必要な経営能力、財務体力、保険の準備なども求められているわけですね。きっちりした責任取る形態でそうしたことを事業としてやるべきだと。
 加えて、食べ物を運ぶわけなので、食品衛生とかそうしたもののこともやっぱり気にしなければいけないと思いますので、今回、たまたま幸いなことに、本年三月にフードデリバリーを営む企業が業界を結成したというふうに承知をしておりますので、こうしたところにつきまして、関係ある厚生労働省、警察庁、農林水産省とも連携しながら、こうした団体を通じて白ナンバーによる運送行為がないようにということと、また、新しい形態を秩序ある、責任がある形態でやっていけるようにしっかりと行政指導をしていきたいと、こう考えております。

○森屋隆君 大臣、丁寧な答弁ありがとうございます。
 まだまだ実態がなかなか見えづらい問題かと思いますけれども、現代社会の問題として今後も注視していきたいと思います。
 ありがとうございました。終わります。

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