議事録

資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会 2023年4月12日

○森屋隆君 ありがとうございます。  次に、竹内純子先生に二点お伺いしたいと思います。  一点は、カーボンプライシングの導入におけるカーボンリーケージというんでしょうか、この国際的な公平性の担保をどのように図るのか、三十三ページに少しあったのかなとも思っています。  二点目には、EUは、このEフューエル、内燃機関の自動車を二〇三五年以降も新車登録できるように今回なりました。また、イタリアでも、このバイオ燃料の追加保証を求めています。  先生の受け止めをお聞かせいただきたいと思います。

○参考人(竹内純子君) 森屋先生、御質問いただきまして、ありがとうございました。  まず、一点目でいただきましたカーボンプライシング導入におけるカーボンリーケージ、これこそ、私の資料の、五つのそのカーボンプライシングの要件として書かせていただきました中の、スライド二十六でございましたけれども、国際的な公平性を確保することと。一国だけで、あるいは一地域だけで非常に多額のカーボンプライシングを掛けてしまうと、それが製造コストに跳ね上がるということになるので、産業界とすれば、製造拠点を他国に移すということを判断するきっかけになるというのは、これは極めてよく起こり得ることであって、京都議定書当時の日本でもそういったことが非常に懸念をされて議論されたというようなところかと思います。  こうしたことを防いでいくためには、本来、理論的には、世界共通のカーボンプライシングというようなものを導入するといったようなことになればよろしい、どこで要は削減しても一緒よということになればよいわけですけれども、それは国際交渉を長年見ている経験からしても、これ極めて難しいといいますか、これはもう無理だというふうに判断いたします。  そうした中で、欧州が国境調整措置というような形、自国の、自地域の中で排出量取引制度を入れて言わばカーボンプライスを掛けていた、その負担を要は産業界に対して増やそうという改革案を出す、と同時に、この国境調整で外から入ってくる産品に対しても同じ負担をしてくださいねというようなことの案を持ち出した、これが国境調整措置だったわけでございますけれども、これ自体も、WTOであるとかこの前のCOP27では、中国やインドは、これはもうパリ協定にも違反しているといったような批判もしているところで、なかなか導入が容易ではない、国際公平性の担保というのは極めて難しいと、実質的にCO2を捕捉するところからも難しいということだけ申し上げたいというふうに思います。  二点目、クイックに申し上げますけれども、こうした形で、最初はバッテリー車しか認めないというような方針であろうと言われていたところ、合成燃料についても認めるですとか、そういった方針転換、こういったところは、やはりその技術の進歩、コストの低減具合、そしてまたCO2削減だけで生活、産業を規定することはできないといった現実から、ルールの見直しといったようなものは当然どこの国も行うし、行われるということを前提に付き合わなければならないものだろうというふうに考えております。  私からは以上でございます。

○森屋隆君 ありがとうございます。  時間が少なくなりました。短めに聞きます。  高村先生にお伺いします。JETPについて伺いたいと思います。  JETPの考え方は私もすばらしいと思うんですけれども、やはりステークホルダーなど、難しい面もあると思います。その中で、労働組合の重要性について伺いたいと思います。

○参考人(高村ゆかり君) 森屋先生、どうもありがとうございます。  JETP、私、配っていただいたものの中に書いていたかと思いますが、日本も、インドネシアの特に電力分野の脱炭素化で、G7の国、先進国の国々のリード国としてアメリカとともに取り組んでいるものであります。  この中で、ホストをする、ここでいうとインドネシアなどが自ら計画を作っていくといった点と併せて、今、森屋先生からありましたように、社会のステークホルダーの参加と合意というのを重視をするという考え方で対象国を支援をしている日本の取組でもございます。  特に、石炭が、産炭国であり石炭に依存している国にとってみますと、雇用の転換というものが必要になりますので、そうした社会合意と併せて、こうした労働者がうまくその新しいスキルを身に付け、失業をできるだけ抑えて転換をしていく、そうした取組が重要ということで、とりわけやはりこうした労働組合を始めとしたステークホルダーの重要性というものが共通した取組の原則となっております。  こうした社会合意がつくられていくことによってスムーズなカーボンニュートラルあるいは持続可能な社会への転換が図られるという認識に基づいての取組というふうに考えております。  以上です。

○森屋隆君 時間が来ました。ありがとうございました。

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