議事録

資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会 2023年2月15日

○森屋隆君 立憲・社民の森屋隆です。  参考人の先生方、今日は御説明ありがとうございました。  まず、私からは大橋参考人に、規制改革と競争政策の事後的な検証、評価の観点からお聞きをしたいと思います。  二〇一六年に電力自由化があって、これは先ほども質問ありましたけれども、今は新電力、まあ倒産したり事業撤退が相次いでいるということで、先生からは、これは自由化が悪かったのではなくて、七百社が参入してきて、参入時のチェックが良くなかったんだろうと、こういったことだったと思います。私もそうかなと、こういうふうに思っています。  それで、今日聞きたいのは、当然公益性を求められて、そして、安定な供給をしていかなきゃいけない観点から総括原価方式が当然用いられて、これ私もそのとおりだと思います、掛かったものに利潤を乗せて原価を出す。しかし、そこにヤードスティックが入っています。  先生、交通関係にも精通しているということでここはお聞きをしたいんですけども、このヤードスティックを掛けた、規制を掛けたことによって、結果的には、その副作用というか、規制が効き過ぎてしまって、人件費を余りにも抑制してきた、私はこういったことにつながっているんではないかなと思っています。特に交通関係ではそういった実態があるんですけども、今後電力なんかの方についてもそういった状況が私は起こってしまうんではないかと、こういうふうに思っています。  この総括原価方式のヤードスティックについて、先生、お考えをお聞きしたいと思います。

○参考人(大橋弘君) ありがとうございます。  そもそも、電力は、総括原価なりヤードスティックが掛かる社というのはせいぜい十社、大手の電力で、なおかつ今自由化の過程、まあ経過措置料金入っていますのでまだ完全に自由化し切っていないという状況の中で、対応するものがあるとすれば恐らく送配の部分なのかなと思います。  やはり、完全に比較はできませんので、つまり十の中での比較ということになりますと、それは、それぞれ会社さん、地域電力、あるいは大消費地に供給している電力会社、それぞれ性格が皆さん異なりますので、なかなか完全な比較というのはそもそも難しいという状況があるんだと思います。そうした中で、多分、比較の項目の比重の置き方によっては、今先生おっしゃったような人件費なり、あるいは削りやすいところにひずみがいくということというのはあるんじゃないかなというふうに思います。  鉄道のお話もしていただきましたが、今後、この多分総括原価は、需要がずっと伸び続けているときは比較的恐らくうまく機能する制度だと思います。ただ、需要がだんだん頭打ちする、あるいは地域交通のようにそもそも下がっていく一方という状況において、そもそも量がだんだん減っていきますから、総括原価をやっていくことが非常に難しくなってくる側面もあるのかなと思います。  そうした、全体の需要の、市場の規模の状況に応じて恐らくヤードスティックのやり方というのは変えていかないといけないし、恐らく足下ですとより柔軟なやり方に多分変えていくというのが正しい方向なんじゃないかなというふうな印象を持っています。  ありがとうございます。

○森屋隆君 大橋先生、ありがとうございます。  やっぱり、需要が伸びているときは成り立つけども、今人口が減っている中で、あるいは需要が落ちている中では、電気も今後どうなっていくか分かりませんけども、やはりなかなかそのヤードスティックというもの自体が成り立たなくなる現実があるということで、ありがとうございます。  続いて、山下参考人、大島参考人、両名に同じ質問なんですけれども、お聞きしたいと思います。  日本のエネルギー自給率が一一%ほどで、当然低いわけでありますけれども、その中でエネルギーの安定した供給が当然求められますし、今ではカーボンニュートラル、これも国に求められている大事なことだと思っています。  そういった中で、新たなエネルギーとして今期待されています、二酸化炭素と水素の合成燃料だったりとか、メタネーションというんでしょうか、だったりとか、先ほどもありました航空燃料なんかに使われるSAF、あるいはミドリムシから抽出したものも燃料になるということで、そういったバイオマス燃料も実用化に向けて今動いているんですけれども、最大の課題は、やはり生産のコストとそして生産量だと思っているんですけれども。  現在の化石燃料などに取って代わるような、例えば純国産でですね、こういったSAFだとかバイオマス燃料みたいなものがエネルギー政策のウエートに影響力どのぐらい与えるのか、あるいはどのぐらいの、何というんですかね、比重で現実的な話として使えるようになるのか、もしお考えあれば両名からお聞きしたいと思います。

○会長(宮沢洋一君) まず、山下参考人。

○参考人(山下ゆかり君) 御質問ありがとうございます。  私、必ずしもバイオ燃料に精通しているわけではないんですけれども、何度かポートフォリオという言葉を申し上げましたように、その可能性を排除するだけの、何というんですかね、日本の選択肢というのはないと思います。できるだけのことをやるというところで、企業がその技術力を磨いて世界市場に出ていくことも含めて、その技術をサポートして自らの商品として磨いていくのだというところがまず大事で、そうであれば、それは日本で国内で使うエネルギー、新しいエネルギーとしてもやっぱり優先的に使っていくべきだというふうに思います。  例えば、SAFは、昨今報道がよくありますけれども、まだまだ原料が足りなくて量が稼げない、それから、例えば食料用の、食用の油を再生利用するとしても、そのリサイクルの仕組みが整っていないなど、検討をしなければいけない課題がまだたくさんあるというふうに理解していますが、日本は島国で、これから飛行機で海外に出かける必要がある中、SAFを使わないと飛行機が飛ばせないような世の中が来るのであれば、やはりその選択肢はきちんと国内で確保していく必要がある、そういう方向性かなというふうに思います。  要するに、日本にたくさんあって、それを広げるのだというよりは、どうしてもやらなければいけないので、何とかその選択肢をどうやって実現するのかということを考えるべき、ベクトルがそういう方向かなというふうに思います。  簡単ですが。

○参考人(大島堅一君) エネルギー供給の安定性というお話がありました。日本の場合、これからの課題といいますか、エネルギーの、エネルギー供給の安定性ではなくて、より広くエネルギーの安定性ということに焦点を当てて議論すべきかと思います。  といいますのも、エネルギーとは需要と供給という面があります。需要の部分をできるだけ今のある技術で例えば半分にするとか三分の一にすれば、その再生可能エネルギーの量が今の、今は少なくても、その割合を二倍、三倍とするだけで、もう再生可能エネルギー一〇〇%になってしまいます。というのは、需要を減らせば再生可能エネルギーの絶対量がある程度少なくても一〇〇%化するわけです。そういう意味では、需要を抑制することにこそエネルギーの安定性を確保する重要な道であるということを御理解いただけると一番分かりやすいかなというふうに思います。  今ずっと供給の話を中心にお話が進んだかと思うんですけれども、やはり省エネというのは非常にポテンシャルがあります。もちろん、よく省エネといいますと、電気をつけたり消したりするという省エネ行動の方が、一般の国民では省エネというとそれを思い浮かべるんですけれども、機器の入替えや、何か設備の入替えの際に最も効率的なものを導入すれば、二分の一、三分の一に、もう何か行動を変えなくてもエネルギー消費量を下げることができます。それは、ひいてはエネルギーの安定性につながります。もちろん、国内資源の率も上がっていきます、需要を下げればですね。  ですので、需要を下げることにはどうしたらいいのか。需要を下げることは別に経済活動を抑制することではないということです。そこの観点に立ってそういった政策をこれから取られる必要があるのではないかというふうに考えております。  以上です。

○森屋隆君 時間が来ましたので、終わります。

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