資源エネルギーに関する調査会 2021年5月12日
204-参-資源エネルギーに関する調査会-006号 2021年05月12日
○森屋隆君 立憲・社民共同会派の森屋隆でございます。発言の機会をいただきましてありがとうございます。
まずは、笹川環境副大臣に二点お伺いをしたいと思います。
菅総理が、昨年十月の所信表明演説で、二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会を実現を目指すと宣言しました。また、先月の気候変動サミットで、日本は温室効果ガスの削減目標を二〇一三年度比でこれまでの二六%削減から四六%の削減を目指すとし、さらに、五〇%の高みに向けて挑戦を続けていく決意を表明されました。
宣言については、積極的な政府の姿勢の表明として評価するものですが、実現するには様々な困難があるとの指摘があります。
その要因としては、この間の参考人質疑では、再生エネルギーの太陽光パネル、メガソーラーの大規模設置場所が既にない、また、洋上風力においても安定的な風力が望めないなどが挙げられています。現在、日本の発電電力を占める割合は八割が火力ですが、だからといって、原子力に依存するという方向には行けないだろうと思います。目標は掲げたけれども、実現に向けた裏付けは乏しく不透明だと思います。CO2実質ゼロの実現は、国民の理解がなくては到底なし得ないと考えます。
そこで、質問をさせていただきます。
現在、CO2ゼロ宣言の自治体が三百八十四あると承知しています。住民の理解を得るために自治体としても大変な御苦労をされていますが、国は、この現状をどのように捉え、進めていこうとしているのですか。
二点目は、カーボンニュートラルの実現に向けて、地球温暖化対策の推進に関する法律の改正案では条文に国民を位置付けるなどしていますが、政府は、どのような国民の理解や協力、言い換えればある程度の負担となりますが、こうしたことをどのように進めようとしているのか、教えてください。よろしくお願いします。
○副大臣(笹川博義君) 御質問ありがとうございました。
今、自治体において、この国の方向性含めて大変御理解をいただいてそれぞれ宣言をしていただいた。人口規模でいうと一億一千万人を超したということでありますので。ただ、それは、各基礎自治体も含めて更に理解が広がるように、我々としても取組についての御説明を丁寧にしていかなければならないというふうに思っております。
委員からも御指摘がございましたけど、例えばこの再エネにつきまして、それぞれの技術革新も進めていかなきゃならない。それで、もう一つ大事なことは、やっぱり地域の合意形成が大事でありますので、そういったところでは、やはり地域の合意なくして再エネを進めると、再エネに対する信頼を崩すことにもなります。先ほど経産省さんからも御説明ありましたけど、新しい技術も革新が進んでおりますので、太陽光パネルについても、そういった技術の活用をしながら、さらにまた、太陽光の可能性を広げていくことも、これも大事だというふうに思っております。
また、御指摘の中ではありませんでしたけど、例えば地熱、これについても開発のリスクもございます。そういったものをどう短縮させていくのか。さらに、ポテンシャルあります。そういったものをどうまた活用していくのか。このことについてもやっぱり地域の御理解がなければなかなか進まないということもございますので、大事なことは、やっぱり自治体の皆さん方の理解と同時に、また地域住民が理解できるように我々自身が人材育成も含めてきちんとした丁寧な説明をしていきたいというふうに考えております。
続いて、特に個人消費ですかね、カーボンニュートラルを達成するためにおいて、やっぱり個人の消費の中におけるCO2の削減、これも大切な観点でございますので、その中にあって、国民生活の中で、例えば住宅ですとか自動車含めての公共施設の在り方だとか、そういうものを含めてやはり理解をしてもらうことが個人生活の変革にもつながるわけでありますので。
一番身近な例でいうと、例えばレジ袋の件、これは最初導入するときに大変いろんな御指摘もございました。厳しい御指摘もございました。しかし現状では、やはりレジ袋についても七割方の削減に成功することができたと。これはひとえに国民の皆さん方の御理解があったたまものだというふうに思っておりますので、そういう意味においては、国民の御理解がいかに大事かということの実例かというふうに思っております。
○森屋隆君 ありがとうございます。
次に、やはり二点、江島経済産業副大臣に二点お伺いしたいと思います。
COP26では、カーボンプライシングについて何らかの合意に至る可能性があると思うのですが、今後、国境炭素税について日本がどのような準備を始めているのか教えてください。また、国境炭素税の仕組みが、WTO、国際貿易機構協定などとの整合性についてどのように考えていますか。
二点目は、カーボンニュートラルの実現には、更なる再エネ開発、水素利用、CO2吸着、閉じ込め、そして蓄電池開発が不可欠だと思います。二兆円の脱炭素基金では諸外国に比べて乏しいと思われます。そういった中で、現在、この地熱発電の研究開発について、状況を教えていただきたいと思います。
○会長(宮沢洋一君) それでは、まず経産省山下産業技術環境局長お願いして、その後、補足があれば副大臣からお願いします。
○政府参考人(山下隆一君) まず、国境調整措置についてでございますけれども、国内の気候変動対策を進めていく際に、他国の気候変動対策との強度の差異に起因する競争上の不公平、これを防止することでカーボンリーケージが生ずることを防止するためのものでございます。
現在、その基本的な考え方について、有識者から成る研究会で御議論いただいているところなんですけれども、そういった中で、国境調整措置は、その導入自体が目的であるべきではないけれども、国内の成長に資するカーボンプライシングの検討と並行しながら、制度設計に必要となる製品の炭素排出量の評価手法などの国際的なルールの策定を日本が主導すべきだということが示されてございます。
WTOルールとの関係では、外国の産品に対して国内の同種の産品よりも不利ではない待遇を与えるという原則との関係が一つの論点となり得るところでございます。国境調整措置がWTOルールに整合的であるかについて、これ先例はないんですけれども、税額の計算方法などにおいて輸入品に不利な扱いがなされていないかなど、制度をどう設計するかによるものだというふうに承知をしてございます。
引き続き、公平な競争条件を確保し、カーボンリーケージを防止する観点から、立場を同じくする国々とも連携しながら対応することとしてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○政府参考人(南亮君) お答え申し上げます。
再生可能エネルギーは二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けた鍵でございまして、最大限導入していくということが基本方針であります。そうした中で、地熱発電は、天候に左右されず、安定的に発電可能なベースロード電源として大変重要なものだと考えております。
ただ他方、地熱発電には、目に見えない地下資源を利用するものであるということから、開発リスクが高く、掘削などの開発コストが高いということ、次に、国内の地熱資源の八割が賦存する国立・国定公園における関係法令の規制などがあること、こうした課題が存在しているというふうに認識しているところでございます。
こうした課題を解決するため、経済産業省としましては、御質問の研究開発でございますが、地下構造を把握するための探査技術、それから掘削コスト低減に向けた高能率、長寿命なドリルなどの研究開発、こうしたことを進めてきておりますが、これらに加えまして、本年度からは、国立・国定公園の外からでも公園内の地下を開発し得る斜め掘りの技術の研究開発、こうしたことを取り組んでいるところでございます。
以上でございます。
○副大臣(江島潔君) 付け加えまして、私から一言申し述べさせていただきます。
森屋委員が大変にこの地熱発電に関して強い関心を持っていただいていると、心強い限りでございます。
日本は、基本的にはこの地熱、潜在的な地熱発電大国のはずでありますが、残念ながらまだいろんな障壁があるということでありまして、例えばアイスランドなんかは、同じ火山国であってももう非常に大きな割合、六割ぐらいたしか発電量のうち地熱で賄っているというような、そういう国もあるわけであります。日本もその可能性があるんですが、なかなか守られている。これ、どこに守られているかと。結構環境省に守られていますので、是非この辺は、今後この地熱発電の開発をどうするか、どうやったらできるかということを、その環境省が守っている部分と含めてうまく整合性が取れるようにしっかり取り組んでまいりたいと思います。
今ちょっと説明がありましたその斜め掘りというのは、言ってみれば外から突っ込むような、若干ちょっとこそくな手段だなという気もしておりますので、是非もっと正々堂々とその地熱発電を使いながら、かつちゃんと環境省が守るべきところも守れるような、そういう王道を進められればと思っております。
○森屋隆君 気象庁にも質問あったんですけれども、時間ですから終わります。ありがとうございました。