議事録

国土交通委員会 2021年3月30日

204-参-国土交通委員会-007号 2021年03月30日

○森屋隆君 おはようございます。立憲・社民共同会派の森屋隆でございます。
 質問の機会をいただいたことに、まず感謝を申し上げたいと思います。
 それでは、ただいま議題となりました踏切道改良促進等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。
 香川県高松市本町踏切、東京都北区第二中里踏切、さらに目黒区自由が丘駅周辺地区のそれぞれについてお聞きいたします。
 ことでん本町踏切は、南北に走るフェリー通りと東西方向の市道高松海岸線との変則五差路の交差点内にあることから、渋滞が常態化しており、交通の円滑化や安全性の向上が課題とされています。
 国は二〇一七年一月に同踏切を危険踏切に指定し、道路管理者の市に対して、今年三月までに渋滞や危険の解消に向けた改善計画を提出するよう求めました。また、昨年十一月に検討委員会が設置されたことは承知をしておりますが、国としてこの間の経過も含めてどのように捉えているのでしょうか。
 また、東京都北区では、JR山手線に残る唯一の踏切である第二中里踏切の遮断時間は、ピーク時に一時間当たり四十分以上にもなることから、開かずの踏切と呼ばれています。やはり二〇一七年に、長時間の遮断が続いているなどから、改良工事を行うべき全国の千か所の踏切に指定されました。この間、北区とJR東日本は改良の協議を重ねてきました。改善策として、区は、一九年に費用約十七億円を掛けてエレベーター付きの歩道橋を区道に整備する案を区議会に示しています。
 しかし、昨年の十一月上旬に、都が都市計画道路建設に着手することを決めたことにより事態が急変しました。これにより、踏切は事実上廃止されると思いますが、工事には十年以上掛かる見込みであるとしています。
 さらに、目黒区では、東京都が二〇〇四年にまとめた踏切対策基本方針の中で、二〇二五年までに対策を実施、検討すべき踏切、重点踏切がある鉄道立体化検討対象区間に位置付けました。区は今年二月に二〇二一年度予算案を発表し、東急自由が丘駅周辺地区で長年課題となっている鉄道立体化に向けた調査、検討費を計上するなどの動きが出ています。
 以上、この三点を踏まえ、質問をさせていただきたいと思います。
 それぞれ説明をさせていただきましたこの踏切やあるいは踏切周辺地区については、今改正案に対するこの背景とその必要性はほぼ同様であります。しかしながら、この間の長年の経緯から、その改善の在り方や結果に大きく、大きく異なることとなりました。その主な原因とは何なんでしょうか。そしてまた、国が示す役割とは何でしょうか。さらに、このような同様な動きはほかにもあるのでしょうか、教えていただきたいと思います。

○政府参考人(吉岡幹夫君) お答え申し上げます。
 踏切対策が進まない理由はということでございます。
 三つの踏切を事例として挙げられたということでございます。あと、中里踏切あるいは東急の自由が丘でございますけど。
 まず、中里踏切でございますけど、周辺の土地利用や地形状況が市街化されているということで、立体化による踏切道が難しいということもありまして、いろいろ議論する中で別の対策を議論していったのかなということでございます。
 それから、自由が丘の方は、御承知のとおり鉄道駅、鉄道路線がふくそうしているということもあって、なかなか計画案がまとめられないと、具体的な対策のイメージが出せないということであって、区の方が早く調査したらいいんじゃないかという動きがあったということだと思います。
 それから、高松市の本町踏切でございますけど、これは鉄道事業者の経営状況が厳しくなったということもありまして、なかなか連続立体交差への負担が困難だったと。逆の場合も、自治体の方の財政状況が厳しいという場合も事例としてはあるのかなと思っておりまして、まあそういうことが要因であるというふうにあります。
 国土交通省としては、こういうものに対しまして、できるだけ改良する計画がまとめられるよう御支援申し上げるということでございまして、協議会が設置された場合はそれに参画するとか、ある支援制度を御紹介するとか事例を紹介するとかいうことで進めてきたということでございまして、そういう中で幾つか、先ほども二〇一七年という話がありましたけど、指定されて計画が進むものができていたのかなというふうに考えているところでございます。
 また、お尋ねがありました、対策内容が変更された場所があったかということでございますけど、二十八年度以降に法指定された踏切道に関しましては、改良計画が出された後それが変更されたという事例はございませんが、やはりその一部の踏切においては、改良計画を策定する過程において、例えば道路管理者側、自治体側の財政状況が厳しいため事業の開始のタイミングを変更するとか、連続立体交差を実施せず当面の対策としてカラー舗装、着色をするとか、そういう事例があるということは承知してございます。

○森屋隆君 ありがとうございます。
 今回、コロナということもありますけど、大きな社会変化で計画が大分変わってきた、あるいは企業の状況などで変わってきたということだということで理解をしたいと思います。
 しかしながら、やはり安全というのが一番大事だと思いますし、引き続き改良ができるところであれば私は進めていくべきだと、こういうふうに思っていますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 次の質問については先ほど清水先生の方からも指摘がありましたけれども、私からも質問をさせていただきたいと思います。
 踏切道改良促進における対策として、国は、連続立体交差事業の事業者負担に対し、無利子貸付制度を設けています。この連続立体交差事業では、国の負担を十分の五・五、地方自治体が十分の四・五であり、行政負担が九割です。また、残りの一割の負担については事業者となっています。その負担理由は、高架下利用益や踏切事故解消益等が理由となっています。
 例でいえば、南海電気鉄道では、南海本線連続立体交差事業の負担分のために、その一部として、二〇〇八年から二〇二〇年まで十三年間で三億五千万円を借り入れています。しかし、事業者負担は、この一割のほか、高架に伴う線路等鉄道機能の強化全般に掛かるものは当然ですが事業者の負担です。本来は、民間企業ですから、様々な社会整備事業においてその工事期間に生じる負担や損益について補償の対象として補ってもらうべきであると思います。
 民間企業でありながら公的責任を担う必要性も理解できるのですが、今回のコロナの長期化は国の感染防止対策によって企業が大きく減少した、そういった代表的な業種でもありますが、その特別な企業補填は一切ありません。今回も、これは回復に相当な時間が要すると思います。今回のコロナ感染症は、企業はもとより、自治体もその大きなインパクトを受けました。企業、自治体の連続立体交差事業に向けての財政負担は今まで以上に重くのしかかってくると誰もが想像できるところでございます。国民の安全はもとより、事故や常態的な渋滞は大きな経済損失であり、国民一人一人が損失を受けていることにつながります。
 高架下利用益を理由に、消費税増税分以外実質二十六年間も運賃値上げをしていない産業に対し負担分の一割を求めるのではなく、国がその負担分を賄い、事業の着実な推進を図るべきと考えます。インフラの整備により国民が暮らしやすい安全、安心な社会となることは、まさに税の再配分であると思います。このようなことからも鉄道会社に対する社会的貢献度を高く評価すべきであると思います。
 したがって、この企業負担分は廃止又は財政力に応じた引上げ率、国の負担分、通常の一・二五倍の十分の六・八七五に早急に引き上げるなど、コロナの長期化で苦しむ事業者に対し緊急避難処置的な対応が必要であり、ここは国土交通省に強く求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(榊真一君) お答えを申し上げます。
 連続立体交差事業は、複数の踏切を一挙に解消することにより何よりも地域の安全性の向上に大変大きく寄与するものでございます。加えて、都市内交通の円滑化、あるいは分断された市街地の一体化による地域の活性化を図る重要な事業であり、コロナ禍にありましてもその着実な推進を図ることが求められていると考えております。
 このため、国土交通省では、連続立体交差事業につきまして、平成三十一年度より個別補助化をし、事業の進捗状況に合わせて集中的に支援できるようにしました。また、国の財政上の特別措置としては、委員御指摘のとおり、通常補助率が五割のところ、五・五割にかさ上げする措置が講じられているところでございます。加えて、鉄道事業者に対してはその負担軽減を図るため、国と地方公共団体が無利子で資金の貸付けを行う制度もございます。
 国土交通省といたしましては、引き続き、所要の予算の確保に努めますとともに、コロナの状況を踏まえて、事業に携わる地方公共団体、鉄道事業者に対して改めて無利子貸付制度の周知を図るなど、事業の推進に努めてまいります。
 国の方で鉄道事業者の受益者負担分についてというお話でございますが、国といたしましても、踏切道の改良のために、予算制度の充実や所要額の確保に努めているところであり、国、道路管理者、鉄道事業者の関係者がそれぞれ応分の負担をしながら、地域に必要な事業を着実に推進していくことが重要であると考えております。

○森屋隆君 ありがとうございます。
 国の負担分として五・五にかさ上げしているという御答弁だったのかと思いますけれども、私が強く求めたいのは、財政力に応じた引上げ、そして社会的状況が、一年間コロナが続いたわけですから、大変厳しいということであります。
 ここの国の負担分、通常のかさ上げした五・五に加えて、その一・二五を掛けた六・八七五、これを今使わなければいつこれを適用していくのか、また、これには適用はできないのかできるのかも含めて、もしよければ御答弁願いたいと思うんですけれども。

○委員長(江崎孝君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

○委員長(江崎孝君) 速記を起こしてください。

○政府参考人(榊真一君) お答えを申し上げます。
 地域の財政状況を勘案しながら地域によっては一・二五倍にかさ上げする措置というのは、制度としては設けられているところであり、連続立体交差事業につきましてもその対象とされているところでございます。

○森屋隆君 これは事業者ということではないと思うんですけれども、どういったときに適用されるんでしょうか。

○政府参考人(榊真一君) 通告をいただいておりませんので細かいところは御答弁申し上げることができないんですけれども、財政力指数を勘案して定められていると承知をしております。

○森屋隆君 ありがとうございます。
 関連かと思いましたのでお聞きをしたところでございます。また詳しくは時間を取ったところでお聞きをしたいと、こういうふうに思います。
 次に移りたいと思います。
 踏切道での安全対策についてお聞きをいたします。
 第三種踏切道、第四種踏切道については、令和元年度末で三千二百八十七か所というふうにお聞きをしています。そして、この第三種、第四種の事故率は第一種踏切道の一・四倍となっています。この第三種、第四種踏切道はどのような現在推移でいるのか、また、この踏切の多くは赤字で苦しむ民間中小鉄道やJR在来線であります。
 さらに、危険視しなくてはならないのが勝手踏切、いわゆる作場道です。事業者が安全確保に向けて住民と協議を行っていますが、これまでの長年の経過などから大変難しいと、このように聞いています。そのようなことから、国又は地方自治体は事業者と連携を図り、速やかにこの勝手踏切を補助対象とした上で、ソフト、ハード全般の支援強化が必要かと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(上原淳君) お答えいたします。
 第三種踏切や第四種踏切につきましては、踏切道数当たりの事故発生割合が第一種踏切に比べて御指摘のとおり高いため、着実に減少させることが必要と考えております。
 そのため、統廃合や第一種化を進めておりまして、平成二十七年度から令和元年度の五年間の平均で年間八十一件の第三種踏切や第四種踏切が減少をしているところでございます。
 国土交通省といたしましては、第一種化に対する補助を行っているところでございまして、黒字の鉄道事業者に対する補助率は三分の一、赤字の事業者に対しては二分の一の補助を行っておりまして、経営の厳しい鉄道事業者においても安全対策が進むような措置を講じているところでございます。
 踏切保安施設の整備は、鉄道の安全運行を確保する上で極めて重要であると考えておりまして、この予算でございますが、踏切道改良促進法に基づいて鉄道事業者から補助申請が上がってくる法律の補助であるということで、優先的に採択をしているという状況でございます。
 また、御指摘いただきました鉄道事業者が踏切道として認めていない勝手踏切の数につきましては、鉄道事業者に確認をしたところ、本年一月現在で約一万七千か所でございました。これは前回の法改正の際に確認した平成二十八年、三月時点での約一万九千か所に比べて二千か所程度減少しております。ただ、この勝手踏切につきましては、明確な定義がないため、数を調べるに際しては、全国の鉄道事業者に対して、鉄道事業者として踏切道としては認めていないが明らかに線路内を横断した形跡があるもの、又は横断していることを情報として認識しているものという調査でございまして、これらの数字につきましては、鉄道事業者によって相当疎密が発生しているところでございます。
 勝手踏切を減少させる方法としましては、鉄道事業者は、沿線に侵入防止のための柵を整備したり、進入禁止の看板の設置等、鉄道事業者が講ずべき安全対策を措置しているところでございます。
 国土交通省といたしましても、勝手踏切の減少に向けまして、踏切道改良促進法に基づく協議会の場で、地方運輸局を通じて自治体等の関係機関に働きかけをするなど、可能な協力を行ってまいりたいと考えております。

○森屋隆君 どうもありがとうございます。
 一万七千という、私も少し驚いたんですけれども、昔からその沿線の住民の方が利用してきたものが、今、鉄道の本数が増えた中で危険も増しているというふうに聞いています。この住民の生活の確保、そして一方ではやはりその安全ということの確保と、なかなか難しい問題ではあるのかなと思いますけれども、やはり事業者も、これは大変苦慮しております。どうか国交省の方、あるいは自治体の連携を図っていただきたいと、このように思います。
 そして、私は、更に危険な踏切であると、こういうふうに認識しているのが、道路と鉄道の交差角が四十五度未満の斜め踏切なんです。
 平成二十六年度には七百四十五か所と聞いていますが、現在はどのようになっているんでしょうか。また、国交省として、この斜め踏切に対する認識についてお聞かせをいただきたいと思います。

○政府参考人(上原淳君) お答えいたします。
 鉄道と道路の交差角が小さいいわゆる斜め踏切につきましては、見通しが悪いこと、踏切内の距離が長くなり、渡り切るまでに時間を要すること、線路の溝にはまりやすいこと等から、交差角の大きい踏切に比べ危険性が高いと認識いたしております。
 このため、鉄道の技術上の基準に関する省令の解釈基準におきまして、鉄道と道路の交差角は四十五度以上であることと規定をいたしておりまして、いわゆるこの斜め踏切というのは、もうこの平成十三年以降、増えてはおりません。
 交差角が四十五度よりも小さい斜め踏切は全国で七百三十五か所と認識をいたしております。斜め踏切を解消する方法としては、道路の線形改良で交差角を大きくすることや、立体交差化、踏切の統廃合による踏切自体の除去がございますけれども、いずれも用地買収や地元調整などが必要であり、ここ五年間で減少した数は九件と認識しております。こうした斜め踏切におきましては、道路のカラー舗装化や非常用押しボタンの増設、踏切照明の増設などの安全対策が実施されているところでございます。
 先ほども御答弁させていただきましたが、国土交通省といたしましては、地方踏切道改良協議会におきまして、地元の議論も踏まえながら、こうした斜め踏切の解消も含めて、踏切道の安全対策を講じてまいりたいと考えております。

○森屋隆君 ありがとうございます。
 この斜め踏切というのは、道路との関係で大変難しい、また難しい立地のところにあるんだろうと、こういうふうに思いますけれども。
 今答弁いただいたように、少し錯覚をしてしまって行けるんだろうと、踏切を渡り切れるんだろうと思って行ってしまう、そして自動車あるいは大型車がボディーの後ろを残してしまうということもちょくちょくあると、こういうふうに聞いておりますし、これ、私は全部当然調べたわけではありませんから間違っていたら申し訳ないんですけれども、やはりそういうような立地のところにあるものですから、この斜め踏切というのは、割と渡った直前に信号機があったりとか、そういうようなところが割と多いのかなというふうに私は思っているんですけれども。
 そんなようなところも含めて、これは大変大きな、一歩間違えば私は事故につながる踏切の一つかと、こういうふうに思っておりますので、今七百三十五ということでありますから、ここについても減少ができるように御努力をお願いしたいと、こういうふうに思います。
 次に、これ海外の事情でありますけれども、大変大事なところだと思いまして、質問に入れさせていただきました。
 今月、三月八日、スウェーデンのイエテボリ近郊において連節バスが踏切で立ち往生し、鉄道車両が衝突をし、大きな事故が起こりました。この連節バスは全長が、もう御承知のように、バスが二台なわけですから十八メーターにも及びます。現在、日本でも、各企業が路線バスとして使用をし、大分増えてきたんだろうと思います。
 そこで、この連節バスが走る路線に踏切を通過するケースというのは日本でもあるのかないのか、また、把握を国交省としてしていないのであれば今後把握する必要性というのはないのか、さらに、このスウェーデンの事故が今月起きたわけでありますけれども、この注意喚起等、通達などは出されたのでしょうか。この辺についてお聞かせをいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○政府参考人(秡川直也君) 御指摘いただきましたスウェーデンの事故については、私どもも報道で承知しております。
 国交省では、従来より、道路運送法令に基づきまして、車両の構造上の特性を把握すること、とりわけ連節バスについては、非常に車体が長いものですから、運転に当たっては内輪差等に十分注意するように事業者が指導するように、バス事業所を義務付けているところでございます。
 現在、連節バスは全国十四か所で導入されておりまして、国土交通省において把握している限りでは、踏切を交差して連節バスが運行されている事例はなく、安全に運行されているということを確認してございます。
 今後も、連節バスの運行状況を注視しながら、必要な安全対策を講じてまいりたいと思っています。

○森屋隆君 ありがとうございます。日本では路線バスが通過するところはないということで、調べていただきまして本当にありがとうございます。
 大分増えてきたと思いますし、連節バスが通行できる道路というのも限られているのかなと思いますけれども、今後も当然増える傾向にあろうかと思います。こういった連節バス、今踏切を渡るところはないということでありますけれども、今後も是非、この連節バスが増えていく傾向にありますから、注意、また指導等々お願いしたいなと、こんなふうに思っています。
 次に、今改正案でもありますけれども、この踏切道の監視カメラ、この整備について少しお聞きをしたいと思います。
 実は、現場で働く仲間に伺いますと、安全の向上には、この踏切道の監視カメラの導入よりも、実は踏切障害物検査装置、踏切支障押しボタン、これを進めていった方がより安全度が高まるんじゃないかと、こういった声が多く寄せられています。
 また、踏切保安施設整備補助金でありますけれども、ちょっと私も調べさせてもらいました。二十年前に、二〇〇〇年でありますけれども、これは二億五千万円となっていたと思います。その後は減少傾向にあって、二〇一二年から二〇一五年、この間は一億七百万円と、これ半分以下に減少したようです。そして、その後微増をし、横ばいで、来年度になりますけれども、一億六千四百万円を予算として入れていただいたと伺っております。この安全の強化には私は少しこれ足りないんじゃないかなと、こういうふうにも思っているところであります。
 そして、当然、このカメラの導入に際しまして、先ほどから何度も申し上げておりますけれども、その事業者の負担というのはこれ二分の一当然あるわけですから、ここも大変地方ローカル線については、なかなか、安全を担保する、これは非常に大事なところで承知をしていると、こういうふうに思いますけれども、その二分の一が出せない現状も理解していただきたいと、こんなふうに思っています。特に、一年間コロナが長期化しました。当面、この事業者負担分、この二分の一を私は停止をして、そしてさらに、今ある設備のランニングコスト、これも考えてもらいたいんです。このランニングコストが非常に経営を圧迫しています。経営を圧迫すれば、当然民間企業ですからどこかを絞っていく、こういった連鎖が私は安全に結果的にはつながらないと、こういうふうに思っているんです。
 その二分の一を出せない、どこかで出すために削減をする、それはどこに行くかといったら、やっぱり人件費だったり人が少なくなる、こういうことがやっぱりどうしても発生してしまうんです。これをしっかり担保する、前回の北海道の二島貨物のときにも少し質問させていただきましたけれども、やはり人に投資する、これが労働集約産業ですから、人件費率って上がりますけれども、ここにやっぱり投資をしていく、こういったことも考慮して、今回のこの踏切道監視カメラ、あるいは、今回、一億六千四百万円ですけれども、このほかに違うところの予算から充てられるとか、そういったことももしあれば、含めてお答えをいただきたいと思います。
 よろしくお願いします。

○政府参考人(上原淳君) お答えいたします。
 踏切監視用カメラについてまず御説明させていただきます。踏切監視用カメラは、災害時におきましてリアルタイムかつ遠隔で踏切の被災状況や稼働状況の把握を可能とし、災害時における踏切道の適確な管理に有効と考えておりまして、今回の法改正により補助対象に追加することといたしております。
 一方で、委員御指摘のとおり、踏切内に取り残された車両や人を自動的に感知する障害物検知装置や踏切内に異常があった場合に列車を緊急停止させるための非常用押しボタンは、踏切における事故防止対策の要として有効であるというふうに承知をいたしております。
 このため、障害物検知装置につきましては平成十三年度から、非常用押しボタンの設置、あるいは検知精度の高い障害物検知装置の設置や従来型からの切替えにつきましては、平成二十八年度から踏切保安設備への補助対象として追加し、その整備を支援しているところでございます。
 踏切保安設備に対する補助制度について御指摘をいただいておりますが、先ほども申し上げましたが、一種化と同様、黒字の鉄道事業者に対しては補助率が三分の一、赤字の事業者に対しては二分の一となっており、残りを鉄道事業者が負担することとなります。さらに、地方自治体も事業費の三分の一を負担することができるとされておりまして、その場合の鉄道事業者の負担割合は黒字事業者では三分の一、赤字事業者では六分の一まで軽減することが可能となっております。
 また、こうした地域の負担を考慮いたしまして、地域鉄道事業者が行う踏切保安設備につきましては、特別交付税等の地方財政措置が自治体に対してもとられているところでございます。
 国土交通省としても、踏切保安設備の整備は鉄道の安全運行を確保する上で重要であると考えておりまして、先ほども御答弁させていただきましたが、この補助は踏切道改良促進法に基づき、鉄道事業者から補助申請があった場合には法律補助として優先採択をするという形になっております。したがって、先ほど金額の推移がございましたが、基本的には申請があった場合にはそれに対応、法律でございますので対応する、そういう制度になっているということでございます。
 また、維持管理についての御指摘をいただきました。踏切の安全対策の強化に伴いまして、警報機の電球としての交換が不要なLEDを導入することや、踏切の非常用電源として電気自動車のバッテリーを再利用することなど、効率的な維持管理につながる施設の導入に対して支援を行うことで鉄道事業者の負担軽減を図ることが可能となっております。
 コロナの関係で鉄道事業者の経営が非常に厳しい状況になっていることは承知をいたしておりまして、そのためには、コロナ対策として別の予算、公共交通の関係の予算等、補正予算と当初予算で五百億規模の予算も用意をされているところでございます。
 鉄道局としましては、まずは鉄道の安全性が確保されることを大前提としながら、効率的な施設の導入に対する支援等を通じまして、鉄道事業者の維持管理も含めた負担の軽減を図っていきたいと考えております。

○森屋隆君 丁寧な御答弁ありがとうございます。
 法律だということで、事業者から申請があれば、予算が一億六千四百万ですけれども、対応は可能だと、こういうようなことかと思います。本当にありがとうございます。
 そしてまた、ランニングコスト等々についても、今その対象とはなっていないけれども、そういった対策も含めて行っていただいているということで、本当にありがとうございます。
 次に、これも清水先生の方からあったと思いますけれども、私の方からも少しお聞きをしたいと思います。
 鉄道の防災機能の強化についてということで、改正案では、災害対策として早期復旧に向けた鉄道用地外の土地の一部が使用できると、大臣の許可を受けて使用ができると。これは本当に高く評価したいと思いますし、早期災害の復旧復興に大分寄与すると、こういうふうに感じております。
 そこで、少し確認なんですけれども、未然に災害を防ぐ、あした、あさって台風が来るというときに、鉄道事業者が、ここの木が倒れそうだと、こういうときに、これも大臣の許可を取って伐採することができるという、こういうことも含まれていると思うんですけれども、部会のレクでは事業者もその土地の所有者と協議を行ってほしいというふうに私は聞いたんですけれども、この辺の整理というのはどうなっているのか少し教えていただきたいと思いますし、さらに、索道も適用されるものなのか、ここについても教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○政府参考人(上原淳君) お答えいたします。
 鉄道の輸送障害を未然に防止するための樹木の伐採等につきましては、これまで鉄道事業者と所有者との協議に基づいて行われてきたところでございます。
 今般の改正におきましては、所有者と協議が調わない場合であっても、事前防災等のため必要性がある場合は、国土交通大臣の許可を受けた上で、鉄道事業者が所有者の同意を得なくても伐採等を可能とするものでございます。
 ただし、基本的には鉄道事業者が所有者の同意を得るために努力をすることが必要だと考えておりまして、まずは鉄道事業者において所有者と協議を行い、その上で、所有者が合理的な理由なく協議を拒否しているなど、協議の進展の余地が小さく当事者間の合意が困難な場合に、鉄道事業者が国土交通大臣に対し伐採等の許可を申請することといたしたいと考えております。
 申請を受けました国土交通大臣は、申請された内容が鉄道輸送の安全の確保等鉄道事業の的確な遂行を図るという目的に該当し、かつやむを得ないと判断した場合に、必要最小限の範囲で許可を行い、許可を受けた鉄道事業者はあらかじめ所有者に通知した上で伐採等を行うこととしたいと考えております。
 なお、伐採等を行った場合の費用は基本的に鉄道事業者が負担することを想定いたしておりまして、伐採等によって損失を生じた場合には、損失を受けた者に対し損失補償を行う規定を設けているところでございます。
 一方で、索道につきまして御質問いただきました。
 索道事業は、主としてスキー場や観光地におきましてスキー客や観光客等特定の目的を持った旅客を運送する事業であること、施設、輸送量の規模も鉄道に比べれば小規模であること、生活路線として不可欠な役割を果たしているという実例は極めて少ないことから、鉄道事業法上、鉄道事業と同等の公共性を有しているものとは位置付けられておりませんで、例えば現行法、鉄道事業法第二十二条は建設の際の隣接地の一時使用に関する国土交通大臣の許可を規定しておりますが、索道事業は同規定を準用していないなど、公共性その他について差を設けております。
 今回もこの索道事業につきましては、この伐採、一時使用等の適用を、適用いたしていない、準用しておりません。

○森屋隆君 ありがとうございます。
 索道の方は適用外ということで、ここは分かりました。そして、当然、私有地でありますから、理由を言って、切らしてもらう理由を言って、そこからスタートするということで、これも整理させていただきまして、本当にありがとうございます。
 また、これは現場からの意見でありまして、実際の意見としてお聞き取りいただければ有り難いんですけれども、この倒れそうな木や植物等々を伐採するに当たって、今回少し前に進んだのかなと思うんですけれども、現場からは、国立公園だとか国定公園のそういったものを切ることに少し時間が掛かる、あるいはなかなか難しいと、こんな声も聞かれているんですけど、この辺についてどうでしょうか。

○政府参考人(大森恵子君) お答えいたします。
 鉄道の災害対策として周辺の樹木の伐採等を行うことについては、自然公園法においても柔軟な手続を定めております。
 具体的には、樹木の伐採について、国立・国定公園の特別地域においては許可申請が必要なところ、枯損した木や危険木の伐採及び災害復旧時の鉄道施設の工作物等の修繕のために必要な行為等については許可を要しないこととしております。また、特別地域でも、樹木の損傷、つまり枝を切り落とす行為等は手続が不要であります。また、普通地域においては、樹木の伐採等についても手続は不要でございます。さらに、土砂崩れ等の非常災害のために必要な応急措置として行う緊急的な行為につきましては、行為後に届出をすればよいということになっております。

○森屋隆君 ありがとうございました。
 そうすると、必要以上にそう難しいものではないよという、こういった認識でよろしいでしょうかね。

○政府参考人(大森恵子君) お答えいたします。
 柔軟な手続ということで、現場に応じて手続をいたしているところでございます。

○森屋隆君 ありがとうございます。
 次に、もう一点お願いしたいと思います。踏切の関係でお願いしたいと思います。
 東日本大震災から十年がたったわけでありますけれども、実はこの東日本大震災のときに、東京や神奈川でも大規模停電、あるいは停電の後に鉄道の踏切が、遮断機が電源がなくなると遮断してしまうというようなことが多く地方鉄道で見られたかと思います。
 私が承知している限りでは、江ノ電が、この江ノ電の沿線には、沿線というか線路には五十の踏切があると聞いておりますけれども、この踏切が全て遮断してしまって、そして、それを上げるのに、働いている人が総動員をして約、手作業ですから、一時間半から二時間ほど掛かったと、こういうふうに報告が上がっています。
 これ、十年東日本大震災からたちましたけれども、全国の、先ほど第三種、第四種の踏切を抱えている地方ローカル線多くあると思いますけれども、今ここのところについては改善状況についてどんなふうになっているか、お聞きをしたいと思います。

○政府参考人(上原淳君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、東日本大震災後に発生した停電に伴いまして、これ発災後、直後の停電でございますけれども、江ノ島電鉄の踏切など、電力供給が受けられなくなり踏切の遮断機が下りたままとなる事態が発生いたしました。
 具体的には、江ノ島電鉄におきましては、約二十五か所の踏切におきまして遮断機が下りたままの状況となり、同社の係員が人力で踏切を開ける作業を実施いたしましたが、最大で約一時間以上の遮断が発生をしたとのことでございます。
 このような停電に伴う踏切の遮断を解消するため、各鉄道事業者では踏切に非常用のバッテリーを搭載をいたしまして、電力供給がなくても一定時間稼働する設備の導入を進めているところでございます。
 平成三十一年三月時点で二万二千七百三か所の踏切、これは第一種踏切の中では約七五%がこの非常用バッテリーを設置済みという形になっております。バッテリーによる踏切の稼働時間は三時間から十時間程度、この間に係員が行くとか、そういう形の措置がとれるということでございます。
 今回、災害時における管理の方法を定める踏切の指定制度を新たに創設をいたしますけれども、その対処要領におきまして、こうした停電により踏切が遮断される事態を想定して、非常用バッテリーの設置や緊急時の対応マニュアルの作成など、こうしたことを事業者に対して更に求めてまいりたいというふうに考えております。

○森屋隆君 ありがとうございます。
 十年で大分改良されたということで、本当に、災害時に一時間以上踏切が遮断されていると、緊急自動車等々が通れないことが多くありますから、その辺が回避されたのかなと、こういうふうに認識をしました。
 議題を変えたいと思います。
 先週二十五日だったかと思いますけれども、今、少し大阪あるいは仙台等々でコロナの感染が少しリバウンドということで心配でありますけれども、このGoToトラベルに代わる自治体が支援する住民向けの旅行割引について、約三千億でありますけれども、赤羽国交大臣、記者会見の中で、こういったものを進めていって、少し弱っている経済、地方のところを支えていきたいということだったと思いますけれども、少し説明をいただければ有り難いと思います。

○国務大臣(赤羽一嘉君) GoToトラベル事業自体は別にそれを何か変えてということではなくて、あくまで国の事業として展開をしようとしておりますが、現状は、緊急事態宣言は解除されたものの、まだリバウンドの対策をしているとか、地域によっては感染状況悪くなっているという、そうした状況を踏まえると、なかなか当面再開をすることは難しいという認識でおります。
 他方、感染状況が落ち着いている地域、都道府県の知事さんから、全国三十二の知事さんだったと思いますが、そうした落ち着いた地域でも人の移動がやはり抑制的になっているので、観光関連事業者、交通事業者は大変厳しい状況が続いているということで、何とかしてほしいという御要望をいただいたところでございます。
 今、三月二十六日時点では全国では二十七の県で県独自の観光支援をされているということでございますが、やはり財政、財源的な限りもありますので、そうした県独自の支援に対して国として財政的な支援もお願いしたいということを受けまして、それはしっかりと重く受け止めなければいけないと。観光事業者、交通事業者共に国交省の所管でもございますので、そうしたことで様々検討している中で、あくまで県の独自のこうした支援事業に対して財源的な支援を、補助金を出していこうということにしたところでございます。
 中身は、一泊当たり五千円を上限として国から補助金を交付するということと、加えて、地域によっても、宿泊だけではなくて、土産物屋さんとか飲食店、公共交通機関が幅広く使えるようなクーポン制度をやっているところもございますので、そうしたことについては二千円を追加して補助金を交付するという仕組みとしております。
 これ、一応四月一日以後こうしたことを実施しようと思っておりますが、いつから始めるかとか、感染状況が一時悪くなったので一時中断するかとか、これ全て県の判断でお任せをしているところでございまして、やっぱり県は独自で、やっぱり現場が見えますので、そうしたことを柔軟に対応していただけるということでは、私はそうしたことで財政的な措置をしようと思っております。
 これ、一応五月末までということを目安に発表いたしましたが、これ、GoToトラベル事業が再開できるまでということでございますので、その時点でGoToトラベル事業が再開できなければ、まだちょっとはっきりは申し上げられませんが、基本的には延長となるのではないかということ、あくまで感染状況の中でまた再度検討しなければいけないと、こう思っております。

○森屋隆君 大臣、丁寧にありがとうございます。
 GoToトラベルとは別のものであって、地域地域の判断でスタートしたり止めたりと的確にできるだろうと、こういうことだと思います。ありがとうございます。
 もう一点、最後の、時間ですから、質問になろうかと思います。
 雇用調整助成金、これも大変、コロナで大きな打撃がある、あるいは、貸切りバスなんかもそうですけれども、一年間動いていないところには助かっているものでありますけれども、これも五月以降、雇用調整助成金の特例処置が大分変わるというふうにちょっとお聞きをしました。心配しているところでもあります。少し説明をいただければ有り難いなと思います。よろしくお願いします。

○政府参考人(達谷窟庸野君) お答え申し上げます。
 雇用調整助成金についてでございますが、新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、前例のない特例措置を講ずることによりまして、事業主の皆様の雇用維持の取組を強力に御支援申し上げたところでございます。
 一方で、長期間にわたる休業により雇用維持を図り続けることにつきましては、働く方々のモチベーションの問題や新しい産業等への人材の移動を阻害するといった懸念もあるところでございます。
 このため、日額上限一万五千円、助成率最大十分の十等の特例措置を四月まで継続した上で、五月以降につきましてはこの原則的な措置を段階的に縮減することといたしますが、感染が拡大している地域の企業や特に業況が厳しい企業につきましては二か月間、五月、六月ということになりますが、特例措置を講ずることとしてございます。七月以降につきましては、雇用情勢が大きく悪化しない限り、今申し上げました原則的な措置と地域や業況の特例についてもそれぞれ更に縮減することとしているところでございます。
 また、このような休業によって雇用を維持する、雇用調整金でお支えするという形に加えまして、在籍型出向を活用した雇用維持への支援、あるいはやむを得ず離職された方々へのきめ細かな再就職支援の拡充など、パッケージとしてバランスの取れた雇用対策に引き続きしっかり取り組んでまいりたいと考えてございます。
 引き続き、雇用情勢や感染状況等しっかり見極めながら適切に対応してまいりたいと考えてございます。

○森屋隆君 時間が来たので終わります。
 ありがとうございました。

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