議事録

国土交通委員会 2020年11月26日

203-参-国土交通委員会-002号 2020年11月26日

○森屋隆君 立憲民主・社民の森屋隆でございます。
 まずは質問の機会をいただいたことに感謝を申し上げたいと思います。
 早速ではありますけれども、大臣所信に対しまして質問をいたします。
 赤羽国土交通大臣はこの所信の中で、国民の命と暮らしを守るため、国の責務として重点的に取り組む三本の柱について、そのお考えを述べられています。一つ目の柱に挙げられていますこのコロナ関係で大臣に質問をいたします。
 大臣は、公共交通事業が過去に例を見ない深刻な危機に瀕していると、このように述べております。全く私もおっしゃるとおりだと、こういうふうに思います。まさに、この陸海空、交通分野全般にわたり、この移動の自粛によってこれまでにない赤字に転落をしています。
 実は、昨日はJRの皆さん、そして今日の朝八時から私鉄の皆さんが、それぞれ地域の今の状況、そして現場の実態ということで報告をしていただきました。特徴的なところを少し御紹介をさせていただきたいと思います。
 もう御承知のとおりでありますけれども、首都圏の鉄道は、これ私鉄も含めてですけれども、最終便の繰上げがされるというふうに報道されています。これは、実は地方都市でも同様の動きが既に見えておりますし、また、特に来年度以降、この地方鉄道、バスの減便、路線の廃止、このダイヤ改正が過去最大規模でこの減便や廃止になると、こういうふうに言われています。そして、観光バス、高速バスや空港連絡バスに至ってはもう希望退職を募らざるを得ない、そういった状況にまで陥っております。
 感染を恐れて公共交通が敬遠されているということもまあ当然あるんだと思いますし、そして、公共交通でのアナウンスにもあるこの政府からのお願いということで、これ三密を避けるためにはもう大事なことでありますけれども、通勤、通学を、その時間帯を避けていただきたいとか、またテレワークを更に活用していただきたい、こういったアナウンスがあるわけでありますけれども、この三密のためにはこれ必要なことですけれども、経営的には大変厳しい状況にまあ裏を返せばあることになっております。
 また、期待をされていましたGoToトラベルについては、特に近距離移動、マイクロツーリズム、これについては、現場の声、まあ肌感ではありますけれども、肌感覚ではありますけれども、やはりマイカーやレンタカーの活用が大きかったんだろうと。そして、地域公共交通や観光バス、空港線を含む高速バスへのこの恩恵、効果は、これは薄かったんだろうと、こういうふうに言わざるを得ません。
 さらに、この直近の問題ですけれども、サラリーマンの出張時に地域共通クーポンを実はタクシーに使っていただいた方が多かったようでございます。これについても十一月の六日からビジネス出張については割引対象外と当然なりましたし、今回の第三波感染拡大によってGoTo除外地域や飲食店の営業時間短縮など、特にこれはタクシーの運転手さんですけれども、運賃制度が歩合制を用いているところが非常に多くございますので、その結果として、深夜の割増し運賃、あるいはこの年末にかけての書き入れ時ということもありますから、大きく賃金に影響する、この辺が予想されるわけでございます。これについては補償の必要性を強く感じるところでございます。
 いずれにしましても、この人流を中心とする交通労働者の賃金は大幅に減少しています。赤羽国交大臣のおっしゃるこれまで以上に強力な支援とはどのようなものなのか教えていただきたいと思いますし、コロナ禍で傷んだ今後の公共交通に対するお考えをお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○国務大臣(赤羽一嘉君) 公共交通機関というのは、言わずもがなでございますが、少子高齢化の進展、人口減少化、地方では過疎化の進展でただでさえ大変維持が難しい、もう釈迦に説法でありますけど。それに加えて、このコロナ禍ということで大変厳しい、より厳しい状況になってきてしまっていると。
 私も関東バスの現場の皆さんの話を聞かせていただきましたが、路線の中にクラスターが発生した病院が二つあるコースもあると。そこは、しかし、嫌だからといって乗車拒否をするわけにはいかないと。まさに社会的な使命を果たしていただいて、感染のリスクですとか大変大きな不安を抱えながら、運転手の皆さん、まあ車掌さんも含めてですね、大変な御苦労をされていると。そのときに、ちょっと今思い出したんですけど、マスクをしていないお客さんも乗ってくるとお客さん同士で結構トラブルになる。ワンマンバスですと、それを一人で運転手さんがさばかなければいけないといった御苦労の話も聞かせてもらいました。
 そうした中で、公共交通機関として、お客さんが少なくなっていながら、ゼロにするわけにはとてもいかないので、しっかりと便数を守っていただいて、その使命と責任を果たしていただいているということに改めて心から感謝を申し上げたいと思います。
 そうしたことをどうしていくのかという中で、国土交通省の予算というのは、ざっくばらんに言いますと、非公共の部分というのは非常に限られておりまして、感染対策に対する設備投資等々はできますが、なかなか路線バスそのものの、路線の支援というのはなかなかできない。現実には、第二次でしたっけ、二次補正の地方創生臨時交付金とかは莫大な予算があり、その中で、各地方自治体の中で公共交通に対する支援というのはまあある意味で自由度があってやっていただいたと。
 ただ、地域差が随分あったわけでありまして、先日も高知県に行ったら、タクシー一台につき二十五万円出したと。ところが、愛媛県では全くそういうものはないというのが現実だったと思います。
 私の思いは、所信で述べさせていただいたのは、こうしたことは本来、総務省がやっていただければ結構ですけれども、本来は国土交通省がしっかり地域公共交通機関の具体的な支援をしなければいけないと、必要な路線は国交省の予算でやっぱり確保しなければいけないという思いがありまして、令和三年度の今概算要求の中で、地域公共交通確保維持改善事業として、バスの運行経費等に対する補助の増額、大幅増額要求に向けて今やっているところでございます。
 予算折衝というのは、どうしても流れの中なので大幅な増額というのは難しいんですけれども、このコロナ禍という未曽有の大変な状況の中を逆に、私はよく変毒為薬という言葉を使いますが、ピンチをチャンスに変えるような形で、しっかりとした公共交通政策としてあるべきだというふうに思っております。
 加えてですが、GoToトラベル、確かに始めたところはやっぱりマイカーが多かったと思いますが、私も地方に移動していて、やっぱり当初よりもこの十月、十一月ぐらいからは新幹線も飛行機も随分お客さんも増えてきていると思いますし、数字でも、十一月の中旬の週末では、新幹線は対前年比約五〇%まで戻ってきておりますし、航空二社につきましても同じ時期で五五%と。これは、飛行機は随分減便もしていますからあれですけど、少しずつ、しっかりと長い目で見てというか、きっちりと応援をしていきたいと思っております。

○森屋隆君 大臣、ありがとうございます。
 令和三年度の予算ということで拡充をしていただきたいと思いますし、今大臣、答弁いただきましたこの地方創生臨時交付金、地域によって少しばらつきがありましたけれども、本当に助かっているという声もありますし、雇用調整助成金の特例処置、これについても延長が少し見えてきたのかなと思っております。これは本当に有り難いと思っていますし、そして、あと特に大手でございますけれども、やっぱり固定費が大分負担になっています。いろいろ難しい問題あるかと思いますけれども、この公租公課の特例猶予、減免等々についても引き続き検討をしていただきたいと思います。
 そして、やはり利用者の方が安全そして安心して利用していただくことが一番でありますから、今、感染防止安全対策の中で、スーパーコンピューターの「富岳」を使って、公共交通機関の車内換気を、空気清浄のシミュレーションを行っていると、こういうふうにお聞きをしております。その科学的見地について、当然国交省のホームページだけではなくて、様々なメディアを通じて徹底した周知をお願いしたいと、このように思っていますし、そして、公共交通機関、特にタクシー、バスですけれども、今コロナで相当弱っているということで、この導入についても、その導入の資金がなかなか工面できないだろうと、こんなふうに思うわけでございまして、是非、この予備費のまだ七兆円がありますので、この安全対策、この思い切った全額補助というような形で、思い切った導入促進を望みたいと思いますけれども、この辺について、もし、自動車局長の方でしょうかね、よろしくお願いしたいと思います。

○政府参考人(秡川直也君) 今御質問いただきましたような公共交通機関のコロナ対策、また今補正予算などでも要求をしているところであります。
 そういういい案というのはできるだけ早くということなので、財源の確保の方策についてしっかり議論してまいりたいと思っております。

○森屋隆君 ありがとうございます。是非御尽力いただきたいと思います。
 次に、国土強靱化の観点から、公共交通機関への公的助成の充実についてということで御質問をさせていただきたいと思います。
 道路関係予算は、この九年間で一・六倍にまで増加をしています。一方で、鉄道や地方公共交通に関する予算については、ほぼ横ばいに推移していると思っています。これらの予算を令和二年度当初予算の国費ベースで比較しますと、道路整備等は二兆円を超えていますが、鉄道や地方公共交通に関するこの予算については、合計しても千三百億円と、十分の一にも満たないものとなっています。
 大規模災害などにおける緊急時の避難輸送や救援物資の輸送など、鉄道や地域公共交通は、道路と同様に大きなその公的な役割を担うこととなっていますが、平時の整備、そして維持管理は民間企業に任されているわけでございますから、当然利用者からの料金で賄うことになっています。公的な助成が少ないことが必要以上に許容されていると、私はこういうふうに思っています。
 また、先ほども大臣の方からありました人口減少、あるいはホームドアを始めとする安全対策、そしてバリアフリー等々のイニシャルコスト、そしてランニングコスト、これが企業負担として大変重くのしかかっています。そして、今回のコロナの需要減、平時からの赤字等々、災害への既に対応能力も失いつつある、こういうふうに私は思っています。
 さらに、賃金などの問題についてでありますけれども、労働者の待遇改善も一向に進んでいない、そのことによって、人への投資ができていないことによって、慢性的な人手不足そして高齢化にも加速をしていると、こういうふうな状況であります。そのような状況にありながら、この公共交通の従事者については、災害時において、自分のところが災害に遭っていたとしてでも、人流、物流のその責務を果たすために出社をしなくてはならないと、こういったことが多くございます。
 したがって、公共交通事業者が非常時に対応できる、余力の温存ができるよう経営基盤の強化、そしてその従事者の労働環境の改善、これは喫緊の問題だと思っています。そのために、鉄道関連予算、先ほどと同じになりますけれども、バスやタクシーなどの地方公共交通に対する予算などの公的援助を充実することがトータルでは国土強靱化に本当につながっていくんだろうと、こういうふうに考えております。
 被災地に何度も足を運ばれて、そして現場の声に耳を傾け、また公共交通事業者、そして現場で働く者の果たす役割を目の当たりにしてきた赤羽国交大臣の現場主義の目線で、大臣からの御意見をいただきたいと、こういうふうに思います。よろしくお願いします。

○国務大臣(赤羽一嘉君) 例えば地方鉄道はよく災害で、豪雨災害で鉄橋が途絶して、それも通行止めになって、結構長くなっているというようなことがあったりすると、その地域住民の人、また観光、大変大きな支障が生じております。ですから、一つは、老朽化している鉄橋というのは大体百年以上たっていますので、そうした老朽化を事前にインフラ対策として、老朽化対策として進めていくということも非常にある意味での一つの大事なことではないかと思いますし、ちょっと道路と非公共が比較してというのは余り納得が得られないと思うんですが、道路も全国の首長の皆さんからは、二車線ではなくて四車線にしてくれと。二車線ですと土砂災害があると途絶してしまうので、四車線ですと片側通行でということで、その説得力というのは非常によく分かるわけであります。それはそれで粛々と防災・減災対策としては進めていかなければいけませんが、その中にインフラの老朽化対策などを入れるですとか、また、あと鉄道は今制度としては上下分離で、下物は公共ということのあれも含んでおりますし、そうしたことは進めていかなければいけない。
 多分、御質問の趣旨は、公共交通という、担う以上、現実には民間事業者にお願いをしているということを、そのままでいいのかという御質問であれば、そのままではよくないと思うので、非公共の予算はしっかりと、ちょっと桁が違うぐらいに設けなければいけないというふうに私は思っております。
 加えて、余計なことかもしれませんが、先ほど言いましたコロナ禍で起きる社会の影響というのは大変大きいと思いますし、そのことによって、今は、鉄道は鉄道局、バス、タクシーは自動車局、道路は道路局と、それぞれが別の局でやっておりますが、地域住民からすると、それは別に一緒のことであって、将来的にいうと、その民間事業者も、鉄道をやっていたところがバス、タクシーもやるようになったりとか、ひょっとしたら道路を造るような時代が来るかもしれませんし、そうしたことが、恐らく想定して、菅総理は、縦割りの是正とかあしき前例主義の打倒というのは、そういう思いで言われているというふうに私はそう受け止めておりますので、しっかりこの社会の影響、変化を見ながら、やはり公共交通はなくてはならないというのは間違いはございませんので、公共交通に働く皆さんが安心して、不安を感じることのないようなしっかりとしたサポートはしなければいけないと決意をしております。

○森屋隆君 大臣、本当にありがとうございます。前向きな答弁をいただいたのかなと、このように捉えています。本当にありがとうございます。
 次に、地域公共交通によるクロスセクター効果、この重要性について質問をさせていただきたいと思います。
 地域公共交通を維持、充実させることというのは、観光、復興等の地域経済の活性化に当然つながりますし、まちづくり、健康、福祉、教育、環境等の様々な分野でもこの行政経費を削減できる、このクロスセクター効果がもたらされるんだと、このように知られております。
 そんな中で、そうであるならば、地域公共交通の支援については、当然赤字の補填という少し後ろ向きになった考え方が一般的ではございますけれども、そうではなくて、地域公共交通を維持させるということは、このクロスセクター効果を通じて地域そのものを維持していくんだと、こういった捉え方をしていただいて地域公共交通を支援すること、このことに是非前向きに捉えていただきたい、こういうふうに考えております。
 現在、コロナ禍で地域公共交通が大変厳しい状況です。冒頭申し上げたとおりでございます。今こそ、このクロスセクター効果の定量的な評価を推進していただいて、地域公共交通への補助の在り方を見直すときであると、こういうふうに強く考えているわけでございます。これについても大臣のお考えをお聞かせいただきたい、このように思います。

○国務大臣(赤羽一嘉君) 私、済みません、議員のように専門家じゃないので、クロスセクター効果って昨日初めて知りまして、勉強しましたが、勉強足らずなのであれなんですが。
 一つは、富山市で、あそこはLRTがすごくて、そうした中心まちづくりで、富山市というのは、実は合併をしているので結構広いものですから、その輪の中に入らない地域の高齢者に対しては、何とかという、一月千円か何かで使えるバスの乗り放題があって、森市長さんという、非常にまちづくりに熱心な方で、この定期チケットを持っている高齢者は病気になる率が少ないとか、そういったことを非常に統計的に出されていて、社会的コストとしては非常に、コストとしては非常に安く済んでいるんだと、効率的に済んでいるだと。そうしたこともクロスセクター効果と言えるんだったらそういうことなんだろうなと思ったんですが。
 昨日ちょっと見ていた資料が兵庫県の福崎町の資料で、多分こういうこともあるんだなと。通院のためのタクシー券の配布や病院の送迎貸切りバスの運行とかということを結局なしにして、コミュニティーバスにした方がよいという、そういう説なのかなと思うんですが、それは多分逆のこともあるんじゃないかなと。
 コミュニティーバス、全国でやっているんですけど、なかなかもう運転手さん、ドライバー自体が高齢化になって運行、運営できなくなって、ですからタクシーチケットを配っているという、そうした逆のところもあるので。私、ちょっとにわか勉強なので全体がどうなのかはよく分からないんですが、その地域の特性についても随分違うのではないかと思いますので、こうしたことをそれぞれの地方自治でしっかり学んでいただいて、どちらがどうなのかというのはその地域事情でやり方の創意工夫というのはあると思いますが。
 いずれにしても、今の御提案というのは、いずれにしても人口減少、少子高齢化の我が国の地方都市の中で、どう公共交通機関、もっと言うと、公共交通機関というよりもう少しこう身近な生活の足をどう確保するのかという御提案だと思いますので、こうした手法というのはしっかりと検証していきたいと、こう思っております。

○森屋隆君 大臣、ありがとうございます。
 本当に、このコロナもそうなんですけれども、人口減少でこのままでいけば地方の公共交通がなくなっていく、これは目に見えておりますし、地方の公共交通がなくなり、あるいは不便になれば、また結果的には地域の方がその地域から出ていってしまうという、こういった負のスパイラルになるわけでございますから、是非とも、大臣の今おっしゃっていただいた、地域地域によってそれぞれやっぱり特性があるかと思いますけれども、一つのものとしてこのクロスセクター効果、是非国交省を中心に広めていっていただきたいと、このように思っています。
 そして、少し、最後になりますけれども、これ赤羽国交大臣、先ほども菅首相の話がありまして、省庁の垣根を越えてということで質問をさせていただきたいと思います。それはどういったことかと申し上げますと、自動車運転者の働き方改革について少し大臣と考え方についてやり取りをしたいと、こんなふうに思っているわけでございます。
 働き方改革関連法が平成三十年六月に成立をしました。衆参の附帯決議を踏まえて、これはもう当然厚生労働省ですけれども、厚生労働省において自動車運転者労働時間専門委員会が設置されました。そして、改善基準告示の改正に向けた検討が現在進んでいると、このように承知をしています。
 自動車運転者の年間労働時間でありますけれども、全産業平均より年間三百五十時間あるいは四百時間ほど多いと、長いと、このように言われています。そしてさらに、拘束時間ですよね、出勤してから退社するまでのこの拘束時間、これはもう年間通じて本当に長い、常態化をしているということでございます。この拘束時間の長い理由として少し御説明をさせていただきたいと思います。
 例えばバスの場合でいえば、駅からバス停まで、終点のバス停まで行って、またそのバス停から駅に戻る、その折り返しの時間が十分あるいは十五分、まあ五分のところもあるかと思いますけれども、それぞれ労働時間にカウントされる企業もあればそうでない企業もあると、こういうような状況が全国にいろいろあるわけでございまして、またトラックでいえば、東京から大阪へ荷物を輸送してそして倉庫に収めるのに時間が通常より早く着いたと、そして荷待ちの時間があるわけでございますけれども、これについても労働時間としてカウントされる、あるいはカウントされない、様々でございます。
 こういったことから、一日八時間を労働時間として働くに当たってどうしてもこの拘束時間が延びてしまう、こういうようなことになっています。ここがグレーゾーンなわけでございますけれども、これは、労働時間の定義に関する条文がないからだと私は思っています。しかし、この労働時間とは客観的に判断されるものであり、会社がここからここが労働時間だよと決めたところが労働時間になるわけではないと、このように思います。
 現在、テレワークなど多様な働き方、労働の多様化が幅広く客観的に認められている中、先ほど申し上げたバスの運転手の折り待ち時間だったり、トラック運転手の荷待ち時間などが客観的にこの労働であると認められないところが多いのは余りにも私は理不尽だと、こんなふうに思います。
 菅総理がおっしゃる行政の縦割りを打破して、厚生労働省としっかりと連携をしていただいて、国土交通省は、運転業務に従事する労働時間の定義、在り方あるいは方向性を示していただきたいと、このように思います。交通運輸労働者の安全と健康を守ることは、大臣がこの所信でおっしゃっていました国民の命と暮らしを守ることに私はつながるんだろうと、こういうふうに思っていますので、この辺について、ちょっと省庁を超えますけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○国務大臣(赤羽一嘉君) まず、トラックについて、私もずっと関わってきたのでちょっと答弁させていただきますが、トラックというのはまさに長時間労働の究極みたいなところもあり、その労働自体が評価されないと。運賃自体も規制緩和、平成二年だったんだと思いますが、規制緩和で運賃自体が自由になったということで、適正なコストが、コストに利益が乗せられないというような、本当に異常な状態が続いていました。
 そのことで、平成二十九年に標準運送約款を改正させていただいて、今お話のあったように、まず、運賃は料金とは違うと。運賃の中で全部、荷降ろしとかなんとかの作業をするというのは、別に料金と運賃はしなければいけないですとか、待機する時間も、待機時間料金というのはちゃんと設定しなければいけないということを、標準約款を変えましたが、肝腎なことは荷主がそれを同意しないと駄目だということで、なかなか効果が発現できなかったことで、一昨年だったと思いますが、秋の臨時国会で貨物自動車運送事業法、議員立法で法改正いたしまして、その中では、荷主の所管たる経済産業省、農林水産省、そして厚生労働省もその法律のプレーヤーに入ってもらって、しっかりと所管省庁も関わって、こうしたことは、何というか、国交省だけが一生懸命やるのではなくて、荷主の所管省庁も責任を持ってやっていくといったことが発動し、その中で、規制緩和ではありますが、標準的な運賃みたいなことの話も前に進んでいったということでございます。
 これは、少しずつでしょうけど、こうした人手が不足しているトレンドの中で逆に振れる可能性もあって、荷主にとってみれば、ちゃんとしたルールを決めておくというのは、私は当たり前のことだと思っております。
 そうしたことの同じ流れの中で、バスの運転士さんですとか鉄道の運転士さんの事業、労働の在り方、これ、私もちょっと専門外ではありますけれども、自動車運転手労働時間等専門委員会の設置というのが、これ国交省も厚生労働省と一緒だと思いますが、かねて、令和二年のこの十月から十二月、今まさに実態調査の実施をしておりますし、明年の四月から専門委員会を開催しながら、令和四年の十二月に改善基準告示改正、公布をすると、こうした段取りになっていると承知をしておりますので。
 いずれにしても、この働き方改革、自動車運送事業については令和六年四月からこの年九百六十時間の時間外労働の上限規制が適用されることになりましたので、そこまでにしっかりとしたルール作りをしていくのが我々の責務だと思っていますので、厚生労働省とも連携を取りながらしっかりやっていきたいと思っております。

○森屋隆君 大臣、ありがとうございます。
 是非お力添えいただきたいと思いますし、今、本当に若者がこの交通運輸、運転手として、働く場として選んでいただいていないと。これはひとえにやっぱりそういった状況があるからなんだろうと私は思っていますし、先ほどトラックのお話もしていただきました。本当にありがとうございます。
 大分改善はされてきているというふうな話も聞いています。ホワイト経営の中で改善をしてきているんだろうと、こういうふうに思っていますけれども、まだまだ送料無料という、そんなような言葉が、以前よりは少し減ってきたのかなと思っていますけれども、輸送、物流、まあ人流もそうですけれども、当然そこには対価として、労働の対価として賃金が発生するわけでございますから、送料無料なんということはあり得ないわけでございまして、そういった点も含めて、是非とも、交通運輸、大変厳しい状況でありますから、お力添えをいただきますようお願いを申し上げまして、質問を終えたいと思います。
 ありがとうございました。

Prev国土交通委員会 2020年12月1日 Next国土交通委員会 2020年06月02日