議事録

国土交通委員会 2019年12月03日

○森屋隆君 立憲・国民.新緑風会・社民の森屋隆でございます。
 まず、質問の機会をいただいたことに感謝申し上げたいと思います。
 台風十九号により被災をした阿武隈鉄道の復旧について質問をさせていただきたいと思います。
 今般の台風十九号により、福島、宮城、この両県をまたいで運行をしております阿武隈急行が被災をしました。阿武隈急行は、現在、富野から宮城県側の槻木まで、この区間が台風による被害のため運休となっております。阿武隈急行は、現在、この運休区間のうち、福島、宮城両県をまたぐ富野—丸森間について、復旧方法もいまだに決定がされておりません。
 阿武隈急行は、福島、宮城両県を始め沿線自治体などが出資をするいわゆる第三セクター鉄道となっております。東日本大震災の際も全線にわたって被害を受けたわけでありますけれども、このときには約二か月後に全線が運行を再開をし、地域の足あるいは観光客の足として大変重要な役割を担っています。一方で、阿武隈急行の経営については、沿線の人口減少に伴い、平成三十年度までこれは三年連続の赤字が続くなど、大変厳しい状況が続いています。
 こうした状況を受け、村井宮城県知事からは、今般の富野—丸森間の復旧について、鉄路以外の形も含めて検討するという、そういった趣旨の発言が報じられています。しかしながら、仮にこの富野—丸森区間を鉄路以外の例えばBRTだったりバス等に転換することになれば、路線の中央部でやはり乗換えが発生するなど、利用者の利便性が著しく低下がされます。こういった懸念されることもありますので、鉄路としての復旧が必要だと考えますし、これが望ましいんだろうと思います。
 そこで、まず鉄道局長にお尋ねをしたいと思います。
 阿武隈急行は、地域の足としての役割に加え、鉄道沿線は大変美しい自然景観が魅力の路線でもあり、重要な観光資源ともなっておりますから、そうした観光客の足でもある阿武隈急行をもう一度鉄道として復旧させることについて国交省はどのようにお考えか、お聞きをしたいと思います。

○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 阿武隈急行でございますが、委員御指摘のとおり、通勤通学などの住民の足として沿線地域の人々の暮らしを支えるとともに、観光客の皆様など、地域間の輸送を担う基盤としての役割を果たしているものと認識をしているところでございます。
 同路線の復旧工事に当たりましては、阿武隈急行、東北地方整備局、東北運輸局、東北森林管理局、あるいは宮城県、福島県などといいました沿線自治体から成る連絡調整会議を開催をいたしまして、関連する道路事業や治山事業とも連携をしながら早期の復旧を図る取組を進めてきたところでございます。
 その線区の具体的な状況でございますが、これは先生が御紹介してくださいましたとおり、福島県側の福島—富野間は十月二十三日までに既に運転を再開しております。宮城県側の丸森—槻木間は十二月六日の運転再開を予定しておるということでございますが、県境付近の富野—丸森間につきましては、阿武隈急行の株主でもあられます宮城県知事が、先日、需要は必ずしも多くないんじゃないかということで、鉄道による復旧以外も選択肢となる旨発言されたというふうに承知をしておるところでございます。
 国土交通省といたしましては、御地元の皆様の御意向を十分に踏まえた上で、御地元の関係者の皆様、当事者の皆様が当該区間について鉄道による復旧を望まれる場合には必要な支援と協力を行ってまいりたいと考えているところでございます。

○森屋隆君 ありがとうございます。
 阿武隈急行の鉄道としての大変重要な役割については今ほどの答弁のとおりだと、こういうふうに思いますし、阿武隈急行が地域の足として、また観光資源としての重要性を踏まえて、今回、この富野—丸森間について何としても私は鉄路での復旧をすべきだと、こういうふうに思っています。
 この点、同じく今回の台風十九号で被災した三陸鉄道、この復旧ですけれども、この三陸鉄道の復旧については今回特例的に手厚い支援を行う旨をお聞きしておりますし、この特例的な支援については、国交省において上下分離方式、これを条件にするかどうかというのは今調整中であると、こういったことも聞いております。
 台風十九号により甚大な被害を受けたのは阿武隈急行も三陸鉄道も全く状況が同じなんだろうと、こういうふうに思いますから、三陸鉄道と同様に、この三セク鉄道である阿武隈急行の復旧に対しても国からの手厚い支援を求めたいと、こういうふうに思いますけれども、その点についてお聞かせをいただきたいと思います。

○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 阿武隈急行の復旧に対する財政的な支援に関しましては、経営基盤が脆弱な鉄道事業者が行う災害復旧事業に対しまして、一定の要件を満たす場合には東日本大震災の際における三陸鉄道への支援などと同程度に国の支援を手厚くする制度がございまして、その適用を検討しておるところでございます。
 国土交通省としては、地元の御意向を踏まえまして、阿武隈急行の一日も早い復旧が図られるように必要な支援と協力を行ってまいりたいと考えておるところでございます。

○森屋隆君 ありがとうございます。是非後押しをお願いしたいと、こういうふうに思います。
 次に、鉄道を含む地域公共交通施策に対する国の姿勢についてお尋ねをしたいと思います。
 国の立場として、地域の交通については、今も答弁でありましたけれども、当然、地域が主体となってその在り方を検討していくと、こういうふうに言われています。
 一方で、交通政策基本法第十六条では、国は、国民が日常生活及び社会生活を営むに当たって必要不可欠な通勤、通学、通院その他の人又は物の移動に円滑に行うことができるようにするため、離島に係る交通事情その他地域における自然的経済的社会的諸条件に配慮しつつ、交通手段の確保その他必要な施策を講ずるものとすると、こういうふうに規定がなされております。地域の取組だけでなく、国の積極的な関与、施策の実施が大変重要であるということだと思います。
 しかしながら、地方の鉄道の存廃や地域の交通網の再編等を、個別にそういった事例を見ると、地域のどうしても財政状況だったり、その取組に個々に温度差がある、こういうふうに思うわけでありますから、国は地域が主体と言っておりますけれども、実態としては、私は、地域に任せっきりで、交通政策基本法のこの第十六条で規定された必要な役割を果たしていないと言わざるを得ないと、こういうふうに思うわけであります。
 交通政策基本法に掲げる理念と現状が懸け離れており、地域に任せるだけではなくて、どうか国として地域の交通手段の確保について積極的な施策、支援等を講じるべきと考えますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(赤羽一嘉君) 今の御質問にありましたように、この公共交通の維持、また確保というのは大変重要な課題でもありますし、少子高齢化、人口減少化が進む中で大変難しい問題であるということは森屋議員もよく御承知のことだと思います。
 私の理解では、交通政策基本法第十六条の規定というのは、これは主語が国ですから、国としては、何というか、必要不可欠な公共交通並びに、特に離島についても責任を持つということの理念が訴えられ、その中で、その下で、地方公共交通活性化再生法の枠組みの中で、それはそうはいっても全ての全国のそれぞれの地域の地域事情というのがいろいろあると思いますので、そこが国が出張って、今回この宮城県の件も、宮城は違うことを考えているのに国がどうしてもやれというようなことは、なかなか継続は、持続的な継続はできないんではないかというふうにも思っております。
 ただ、ということで、どちらかというとどうしても地方が主体ということになっているのが現状だと思いますので、今先生の御指摘は、そうはいっても地方自体が大変な状況にあるのだから国としてももう少し積極的な関与をという趣旨だというふうに受け止めて、そうしたことはしっかりと考えていかなければいけないと思います。
 ちょっと繰り返しになりますが、人口減少化ということの時代状況と、加えて高齢者の皆さんの自動車事故が頻発化していまして、運転免許の返還をするに当たっても、その受皿となる公共交通機関というのの確保というのが非常に重要だということは我々も認識しておりまして、そうした時代状況の中で、地域公共交通活性化再生法の見直しを視野に入れながら一層効果的な対策を講じていく必要があるという我々の認識の下に、現在、交通政策審議会を開催して具体的な検討を進めているところでございますので、この検討の結果を待つわけでありますが、委員の御指摘の趣旨も反映できるようにしっかりと頑張っていきたいと思っております。

○森屋隆君 大臣、ありがとうございます。本当に難しい立場の中で本当に前向きな御発言をいただきまして、本当にありがとうございます。
 質問を変えたいと思います。オリンピック・パラリンピック東京大会の交通政策についてお尋ねをしたいと思います。
 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会によりますと、大会関係輸送バスについて、九月末でありますけれども、この時点で仮契約済みのバスの台数約二千二百台、それに対応する乗務員数が二千六百二十人確保されていると、こういうふうに伺っています。一方、組織委員会は、必要なバス台数の確保というのはおおむねめどが立ったものの、深夜から早朝にかけて輸送もありますから、関係法令に基づいて運行するためには更なる乗務員の確保が必要だと、こういった認識を示しております。
 当然、今でもこの人手不足にあるバス業界、バス運転手の確保が更に私は困難になるだけではなくて、実は路線バスや営業所の運営自体にも少し支障が出るんだろうと少し懸念をしていますし、何としても、過労を始めとする様々な法令違反、これが発生しないようにお願いしたいなと、こういうふうに思っています。
 この点について、国は何らかのできるべき施策、こういったことを考えているかどうか、少しお尋ねをしたいと思います。よろしくお願いします。

○政府参考人(一見勝之君) 国交省では、東京オリンピック・パラリンピック大会の成功に向けまして、組織委員会やバス事業者などの関係者との調整を今進めているところでございます。
 運転者の、御指摘いただきました長時間労働等の安全を揺るがす問題につきましては、いわゆる改善基準告示で規制が行われているところでございます。
 私どもといたしましては、バス事業者に対してこれらの法令遵守の徹底を働きかけることは当然といたしまして、大会開催中にも安全が揺らぐことがないよう、また利用者の利便の確保にも意を用いまして、不適切な事案、例えば法律違反の事案がありましたら直ちに対応するべく、関係者と連携して進めていきたいと思っております。

○森屋隆君 ありがとうございます。よろしくお願いしたいと思います。
 もう一点は、東京オリンピック・パラリンピック中の交通機関の混雑状況の情報提供についてお尋ねをしたいと思います。
 東京オリパラ準備局によっては大会輸送影響度マップというのが公表されるというふうに聞いていますし、例えば民間でも、東京メトロさんでは競技会会場の最寄り駅の混雑予想がインターネット上で公表されていると、こういうふうに伺っていますけれども、しかし、これだけではまだ不十分でないかなと、こういうふうに思うわけであります。
 なかなか、東京に出てきた人が、オリンピックですから混雑をしているときに、やはりそういった情報が欲しいわけでありますから、当然駅員さんに尋ねることが多くなるかと思いますから、本当に、駅がオリンピックで混雑している中で駅員さんにまた多くの質問だとか問合せがあるということでありますから、大変負担が掛かると思います。安全輸送ができるために、国としての更なる、企業であったり、あるいは国としての支援をお願いしたいと思います。

○政府参考人(水嶋智君) お答え申し上げます。
 東京オリパラ大会におきましては、多数の観客の方々が鉄道を利用されるということが見込まれておりますので、駅における混雑対応、またそのための混雑情報の適切な情報提供、そういった事柄が重要な課題であるというふうに認識をしているところでございます。
 このため、国土交通省におきましては、関係する鉄道事業者、組織委員会、東京都などとの間でオリパラ大会時の鉄道の円滑な輸送確保に係る会議を定期的に開催をしておるところでございまして、鉄道事業者の方々と一緒になって、混雑情報の提供の問題でございますとか駅における駅員の増配置や利用者の案内、誘導について、過去の大規模イベントでの実績も踏まえた対応の検討を進めてきておるところでございます。
 国土交通省といたしましては、関係機関とも緊密に連携しつつ、鉄道事業者に対しまして東京オリパラ大会に向けた駅における対応体制の一層の強化、充実を図るように引き続き対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

○委員長(田名部匡代君) 申合せの時間ですので、おまとめください。

○森屋隆君 はい。
 ありがとうございます。
 非常時も大変な状況になるかと思いますから、その点についてもよろしくお願いしたいと思います。
 質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

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