議事録

国土交通委員会 2019年11月28日

○森屋隆君 共同会派、立憲・国民.新緑風会・社民の森屋隆でございます。
 質問の機会をいただきましたことにまずは感謝申し上げます。
 港湾法の一部を改正する法律案に関して質問する前に、この際一言申し上げます。
 今年は、ラグビーワールドカップで日本の快進撃に大いにラグビー人気が高まりました。その快進撃を支えた一つが桜ジャージ、あのユニホームだったというそんな記事を見ました。高いレベルでラグビーを実践してきた国交大臣は、当然専門家でありますから、あのジャージに施された工夫のことやラグビー全般について知り尽くしているんだろうと、こういうふうに思いますけれども、一般的には、このラグビールールは、私もそうですけれども、分からない人が多かったように、そういうふうに思います。しかし、今回のワールドカップでは、ラグビールールをより分かりやすく、テレビなどの字幕や解説があって、試合を納得して見ることができました。ラグビーファンも増え、より身近なスポーツになったんだろうと、こういうふうに思います。
 他方で、どうでしょうか、政治は今国民からどんどんどんどん離れていっているように思います。今回の桜を見る会をめぐる問題も国民は全く納得をしていません。朝日新聞の世論調査でも、首相の説明に六八%が納得がいかないと、このように答えています。国民に開かれた国会、行政監視の観点からも、この問題については与野党を抜きに、参院規則に基づいて開会を求めた予算委員会に応じて、安倍首相自らが一問一答で国民により分かりやすい説明責任を果たすべきなんだろうと思います。
 それでは、港湾法の一部を改正する法律案に関連して伺います。
 本法案の改正により、洋上風力発電の円滑な導入が見込まれています。そこで、本年四月に施行された再エネ海域利用法に基づく促進区域の指定に向けて、準備の進んでいる区域として十一区域が整理され、そのうちの四区域が協議会の組織や国による風況や地質調査が開始されていると、このように伺っております。
 そのような状況の中で、この四区域の一つである秋田県由利本荘市沖における洋上風力発電の建設に向けた海洋調査を行う目的で中国の海洋調査船が本年四月に新潟港に入港したという、こういった報道がありますけれども、この件について質問をさせていただきたいと思います。
 まずは事実関係から質問をいたします。この中国の海洋調査船が本年四月に新潟港に入港した、こういった事実はあったんでしょうか。

○政府参考人(岩並秀一君) お答えいたします。
 本年四月、中国の海洋調査船海洋地質十号が民間契約に基づく活動を行うため新潟港に入港したことから、一般の外国船舶と同様に、関係機関による合同立入検査を実施しております。

○森屋隆君 ありがとうございます。
 四月に入港したということで、これは合法的な入港でしょうか。

○政府参考人(岩並秀一君) お答えいたします。
 関係機関との本船に対する合同立入検査におきまして、我が国の法令に違反する事実等は確認されておりません。

○森屋隆君 なぜ合法的かという質問をしたかというと、今回入港した中国船は実は調査をせずに引き揚げていったと、こういうことでございますから、それはどういった経過があったんでしょうか。

○政府参考人(岩並秀一君) お答えいたします。
 今回の海洋地質十号の行動につきましては民間契約に基づくものでありまして、引き返した経緯については把握をしておりません。

○森屋隆君 目的が洋上風力発電建設のための事前調査であったということが、把握していないということですけれども、これは把握する必要性というのはなかったんでしょうか。

○政府参考人(岩並秀一君) お答えいたします。
 入港に際しまして必要な情報につきましては、法令上定められた手続を通じまして把握をしておりますが、今般の入港につきましては個々の民間事業者による経済活動に基づくものであり、当該海洋調査船の行動目的についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

○森屋隆君 差し控えるということでございますけれども、私は、この海洋データ、あるいは海底資源データというんですかね、外国公船によって取得されてしまう、このデータが取得されてしまうというのは安全保障上あるいは国益にも大変問題があると、こういうふうに思います。
 国交省と資源エネルギー庁は、本年四月の二十九日と六月二十四日に、「洋上風力発電設備の設置を目的とする風況、海底地質等のデータ取得のための調査について」という、こういった通知を出していますけれども、これは、四月に入ったこの船があってこの通知を出したということなんでしょうか。どうでしょうか。

○政府参考人(高田昌行君) お答えいたします。
 再エネ海域利用法第八条第二項に基づき経済産業大臣及び国土交通大臣が行う区域の状況調査並びに事業者が行う区域の状況調査について、整合性を図り、一体的に実施することは、効率的な促進区域の指定及び洋上風力発電事業の実施を可能とし、国民及び事業者の利益に資することになります。このため、経済産業省及び国土交通省では、事業者に対して調査の内容や方法等について事前の情報提供を本年四月より依頼をしております。
 これらは、あくまで長期的、安定的かつ効率的な促進区域の指定や洋上風力発電事業の実施を図る観点から実施したものでありまして、中国の海洋調査船との事案との関係はございません。

○森屋隆君 ありがとうございます。たまたまその時期が重なったということで理解をしたいと思います。
 いずれにしましても、この法案が成立すれば、発電事業者に対して埠頭の長期間貸付けを行うことが可能になります。こうした洋上風力発電の設置を目的にした海洋調査について、その内容や方法など、国交省や経済産業省などしかるべき機関が制度を運用する中で今以上に把握しやすくなる、安全保障上の懸念が軽減されるという、こういった効果は期待できるんでしょうか。

○国務大臣(赤羽一嘉君) 公募で選定された事業者等がボーリング等の海洋調査を行う際には、国土交通大臣に占用許可申請を提出していただき、国土交通大臣、私は、調査体制や調査方法を確認しつつ、占用許可を与えることとなっております。
 ですから、これをしっかり遵守しながら、御懸念がないようなことに努めていきたいと思っております。

○森屋隆君 大臣、ありがとうございます。しかるべき機関の連携をお願いしたいと、こういうふうに思います。
 質問を変えたいと思います。次に、交通運輸労働者の人手不足について質問をしたいと思います。
 交通運輸労働者は、人の移動、物流を通して、言うまでもなく国民生活を支えるインフラです。しかし、この国民生活に直結する交通運輸、特に自動車運送事業であるバス、タクシー、トラック、自動車整備産業は長期にわたる人手不足であります。また、せっかく勤めていただいても一、二年での離職者が非常に多く、この十二月や来年四月のバスのダイヤ改正ではこの人手不足を理由に路線廃止が北海道や東北など全国各地で行われる、極めて危機的な状況です。その一番の要因は、もう御承知のとおりでありますけれども、交通運輸労働者の処遇が一向に進んでいないと、処遇改善が進んでいないことにあります。
 そこで、バスの運転手の処遇改善についてお聞きをしたいと思います。
 令和二年度の概算要求概要を拝見しますと、自動車局関係の予算要求として、自動車旅客運送サービスの維持、確保、活性化の中で、働き方改革関連として、雇用確保のための処遇改善、給与、運賃の在り方の検討が明記されました。
 現在、政府は、成長戦略実行計画に基づき、経営基盤強化のために、地方路線バス事業者の合併又は共同経営による経営力の強化等を十年限定で独禁法の適用除外として推進しようとしております。方向性としては間違っていないと思いますけれども、こうした経営力の強化が自動運転化や路線の統廃合を過度に促し、バス運転手の処遇改善を置き去りにするのみならず、新たなリストラにつながるおそれがないように、こういうふうに考えています。
 地方バス事業者の経営力強化とバス運転手の処遇改善がウイン・ウインの関係で同時に図られるよう、具体的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○政府参考人(一見勝之君) お答え申し上げます。
 バス事業は、通学や通院、通勤など、都市部においても、また地方部においても非常に重要な公共交通機関でございます。今般の累次の台風や大雨の災害でも、運休した鉄道の代行として非常に重要な役割を果たしております。
 その担い手は、委員御指摘いただきましたが、ほかの自動車運送事業とともに人手不足感が非常に強うございます。このような現状におきまして、必要なバス運転者を確保するためには、まずは労働生産性の向上というのが非常に重要だと思っておりますし、また多様な人材の確保を図る取組が重要だと思ってございます。
 具体的には、労働生産性の向上としましては、委員御指摘いただきましたが、独禁法についても運用を、これを対応を考えていかなきゃいけないと思っておりますし、また、それを使いまして、乗り合い路線バスの再編だとか、さらには観光需要の取り込みなども非常に重要な観点であります。
 多様な人材の確保としては、女性が働きやすい職場環境の整備だとか、あるいは関係省庁と連携しまして二種免許の取得支援、こういったこともしっかりやっていかなきゃいけませんし、何より重要なのはやっぱり労働者の処遇改善、それにつながるものであるというふうに考えております。
 我々としましては、今後とも官民連携によりまして働き方改革に積極的に取り組んでいく所存でございます。

○森屋隆君 ありがとうございます。なかなか特効薬というのはないかもしれませんけれども、現場が本当に見える形で前に進めてまいりたいと思います。
 先ほどの御質問と重複しますけれども、タクシーの問題、これも本当に重要な問題であります。大臣、よろしくお願いしたいと思います。
 最後に、将来、小学生が鉄道やバスの運転手になりたいと、こういった夢がありますけれども、このままの状況では本当にそれも過去のものになってしまうんだろうと、こういうふうに思います。赤羽大臣が本当に現場目線で求める、目標とする新3K、給与、休暇、希望、この実現に向け、今後も機会あるごとに発言をさせていただくことを申し上げ、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

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