議事録

予算委員会 2022年3月1日

○森屋隆君 立憲・社民共同会派の森屋隆でございます。質問の機会をいただき、ありがとうございます。
 まず、地域公共交通の現状について大臣の御認識をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 森屋委員から地域公共交通の現状について御質問がございました。
 元々、人口減少、また災害の多発等々で大変厳しい状況にある上に、新型コロナウイルスの感染拡大の長期化により、また需要の落ち込み、また燃料コストの増加等でいよいよ厳しくなっていると。どれだけ厳しくなっているかということなんですが、乗り合いバスで申し上げますと、全国二千三百社でございますが、コロナ前の二〇一九年度の営業損益が約千百億円の赤字だったのが、これ自体大変厳しい数字ですが、コロナ後の二〇二〇年度では三千百億円の赤字。それから、地域鉄道、全国九十五社ですけれども、コロナ前、二〇一九年度約百億円の赤字が二〇二〇年度は約三百六十億円の赤字ということで、赤字が大幅に増えているということでございます。
○森屋隆君 ありがとうございます。
 小西議員の通告の大臣は退席していただいて結構だと思います。(発言する者あり)厚労大臣ですね、済みません、コロナ担当大臣、防衛大臣、ワクチン担当大臣、済みません、よろしくお願いします。退席いただいて結構であります。
○委員長(山本順三君) 今ほどお話があった各大臣、退席して結構でございます。大臣名を申し上げますが、厚労大臣、防衛大臣、それからワクチン担当大臣、それと政府参考人、どうぞ退席してください。
○森屋隆君 この問題については前大臣ともいろいろ議論をしています。前大臣からは、本来、国土交通省がしっかり地域公共交通機関の具体的な支援をしなければならないと、そして必要な路線は国交省の予算でやっぱりこれは確保しなければならない、こういうふうに答弁をいただいています。これは、斉藤国交大臣もこういったお考えで、一緒だということでよろしいでしょうか。確認です。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 私も前赤羽大臣と同じ決意でございます。
 政府全体でも、雇用調整助成金や地方創生臨時交付金など、また各種資金繰り支援等、業種横断的な措置を講じておりますが、それにプラスして国土交通省としても、令和四年度当初予算も含めて、毎年度予算において、地域のバスや離島航路など公共交通の欠損額に対する補助等を行うとともに、この令和三年度補正予算二百八十五億円においては、コロナ禍の影響による欠損額の増大に対する追加的支援行うなど、これまでにない手厚い支援を行ってきていると思っております。
 今後とも、国土交通省予算を効果的、効率的に活用して、地域の公共交通をしっかり守っていきたいと思っております。
○森屋隆君 ありがとうございます。
 地方創生臨時交付金、これ本当に有り難いというふうに地域からも事業者からも連絡いただいています。
 そんな中で、大臣、この間の委員会の中で、千の自治体がそういった支援をしているんだということで答弁があったと思います。
 これ、バスだけの金額というのはこれ分かるんでしょうか。
○政府参考人(秡川直也君) 御指摘いただきましたとおり、約千の自治体において交付金を活用して、地域交通に関して約三千の事業に対して支援が行われております。
 ただ、具体的に自治体でそれぞれの事業にどういう予算額を付けたとか、そういう総額についてはちょっと国としては把握してございません。
○森屋隆君 では、バスの、さっきこれ大臣からもあったのかもしれませんけれども、全体の赤字額というのは、これ分かるんでしょうか。
○政府参考人(秡川直也君) 乗り合いバスに全国で二千三百社、約ございますが、コロナ前の二〇一九年度の営業損益は全体で約一千百億円の赤字でございました。コロナ後の二〇二〇年の営業損益は約三千百億円の赤字となってございます。
○森屋隆君 ありがとうございます。
 もう本当に、本当に大きな赤字額なんです。国による人流抑制によってこの二年間輸送人員が通常時の三割から四割、これ蒸発してしまったということでありますし、追い打ちを掛けてこの燃料の高騰、更に高騰が予想をされています。
 そんな中で、今、春闘がスタートをしています。総理は令和三年の十月十三日参議院の本会議において、エッセンシャルワーカーに感謝の表を、感謝の意を表して、そして、皆さんの収入を増やしていくことは私の分配戦略の大きな柱だと、そして、政府全体として賃上げしやすい環境づくりを強化していくと、こういうふうに述べています。
 交通労働者やエッセンシャルワーカーの待遇改善は岸田政権の主要課題とこれ考えてよろしいでしょうか。
○国務大臣(松野博一君) 森屋先生にお答えをさせていただきます。
 バス、タクシー、トラックなどの交通サービスは、国民生活や経済活動を支える重要な役割を担っており、現場を支える皆様の労働条件の改善は重要な課題であると認識をしております。
 政府としては、燃油高騰対策を含めた交通事業者の事業の継続と雇用の確保に向けた支援に加え、賃上げ促進税制や価格転嫁の適正化などを通じて、賃上げしやすい環境づくりを強化をしてまいりたいと考えております。
○森屋隆君 ありがとうございます。
 政府全体で取り組むという決意かと思います。ありがとうございます。
 そんな中で、燃料の高騰を受けて、国土交通省では、このタクシー事業者に対して直接支援を決めたと、こういうふうに聞いていますけれども、これどういったものでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) タクシーへの支援、公共交通の一環であるタクシーに対しての支援も非常に重要だと、このように思っております。事業の継続、そして雇用の確保ということでございます。
 国土交通省においては、タクシー事業者に対し、累次の補正予算において、感染症対策や観光事業者と連携した実証運行、また、今回、燃料、LPガスですけれども、これは今回、元売事業者への支援という枠組みの中から外れてしまいますので、直接LPガス高騰に対する支援などを行っているところでございます。
 引き続き、タクシー事業者の事業の継続と雇用の確保に取り組んでまいりたいと思います。
○森屋隆君 大臣、ありがとうございます。
 確認なんですけれども、これは激変緩和事業のこの補助金額にこれ連動しているという考えでよろしいんでしょうか。
○政府参考人(秡川直也君) 御指摘の考え方でいいと思います。
○森屋隆君 ありがとうございました。確認いたしました。
 次に、今年の一月の十七日に経済演説の中で大臣から、民間企業における賃上げを支援するため、あらゆる施策を総動員すると、こういうふうにおっしゃっていただきました。
 今、まん延防止の延長も検討されている中で、このタクシー支援、今説明大臣からありましたけれども、このタクシー支援のような燃料高騰に対するこの公共交通への補填こそが今やるべき、賃上げしやすいこの環境づくりとしてやるべきことだと私は思っているんですけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(山際大志郎君) 先生が今御指摘いただいたように、その燃料が高騰している部分に対して補填をするということも賃上げを行っていく上での原資となります。利益を確保していく上で非常に重要なものだと考えておりまして、それも含めてあらゆる施策を総動員して、賃上げが行われるような環境とその雰囲気をつくってまいりたいと思っております。
○森屋隆君 ありがとうございます。是非よろしくお願いしたいと思います。
 斉藤国交大臣、これ、バスの方にもこういった支援できないでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) バス事業も公共交通サービスとして最も大きな柱のうちの一つでございまして、事業の継続と雇用の確保が重要と認識しております。
 国土交通省においては、バス事業者に対し、生活路線の維持のための支援に加えて、累次の補正予算において、感染症対策や観光事業者と連携した実証運行、また既存の補助路線の欠損額に対する追加的な支援などを行っております。
 また、先ほどと繰り返しになりますが、雇用確保のための雇用調整助成金、これは大変、一千億を超える額となっておりますが、資金繰りのための無利子無担保融資など、これらの業種横断的な施策も総動員しながらバス事業、応援をしているところでございます。
○森屋隆君 やはり燃料が、これは必ず毎日運行しなくてはならないわけでありますから、非常にこの固定費が予想を超える勢いで高騰しているという中で、もう本当に、もう厳しい状況をもう通り越していると、こういうふうに思います。是非検討をしていただきたいと、こういうふうに思っています。
 そして、この間も燃料高騰の関係でいろいろ御議論がされていると思います。実は、電話等々で問合せが多いものですからあえてお聞きをさせていただきたいと思うんですけれども、このトリガー条項の凍結解除をやる、そして三月は今年度の予算の予備費で対応をして、そして四月から解除をすると、こういった約束がされたというような報道がありますけれども、この約束というのはしたんでしょうか、本当なんでしょうか。お聞きをしたいと思います。
○国務大臣(松野博一君) お答えをさせていただきます。
 御指摘の報道に関しては、この予算委員会の場でも御質問があり、総理から、トリガー条項については、この予算委員会等審議の場で再三質問を受ける中で、あらゆる選択肢を排除せず議論を進めます、あらゆる選択肢の中にトリガー条項も含まれるというお答えをした旨答弁をしたと承知をしております。総理がおっしゃったとおりであります。
 いずれにせよ、政府としては、エネルギー価格の急騰から国民生活や日本経済を守るため、ガソリン、軽油、灯油、重油を対象とする激変緩和措置を大幅に拡充強化するとともに、業種ごとの支援など重層的な対策を取りまとめていきたいと考えており、今週中に対策を取りまとめるべく調整を行っているところであります。
○森屋隆君 ありがとうございます。
 答弁はそのとおりかと思いますけれども、私がお聞きをしているのは約束をしたかどうかということで、答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(松野博一君) お答えをさせていただきます。
 私が総理から伺っていますのは、先ほど申し上げた答弁のとおりでございます。
○森屋隆君 約束をしていないということでいいんでしょうかね。そういった答弁になるんでしょうか。
○国務大臣(松野博一君) お答えをさせていただきます。
 先ほど申し上げたとおりでございますけれども、私が総理からこの事案に関して伺っているのは、先ほど答弁をさせていただいたとおりでございます。
○森屋隆君 済みません。ありがとうございます。
 財務大臣、約束をしているんでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 今政府において、総理指示に基づいて官房長官の下で様々検討されているわけでありまして、その約束とかについては私は存じ上げていないところであります。
○森屋隆君 ありがとうございました。
 次に移ります。トラック業界の関係、物流についてお聞きをしたいと思います。
 物流もこの一年で燃油費が三千七百億円の負担増と、こういうふうに聞いています。トラック事業者の倒産の、廃業ですかね、倒産、廃業数についてお聞きをしたいと思います。
○政府参考人(秡川直也君) トラックの廃業件数、トラック事業法に基づく届出をしていただいております。その数字ですけれども、令和二年度、昨年度ですね、七百六十七件ございました。トラック事業者、全国で六万三千事業者ぐらいいらっしゃいますので、大体一・二%ぐらいに当たります。
○森屋隆君 ありがとうございます。
 七百六十七ということで、これからもっと燃料の高騰があるわけですからもっと厳しくなると、こういうふうに思っています。
 そんな中で、このトラック事業者に対する対策というのはどういったものがあるのか。そして、労働条件向上につながる原資、これ、私は標準的な運賃、このことが非常に大事かと、こういうふうに思っているんですけれども、このことについてお聞かせをいただきたいと思います。
○政府参考人(秡川直也君) 御指摘いただきましたトラック運送事業の世界、今ドライバー不足というのが非常に深刻化しています。なので、労働条件の改善とか取引環境の適正化というのは喫緊の課題で、いろいろ取り組んでおります。
 その中でもやっぱり一番大事なのが今御指摘いただきました標準的運賃という制度で、これは人件費とか設備の導入費、燃料費などを事業運営に必要なコストとして運賃を通じて適正に収受するということを考え方とする重要な施策だというふうに考えております。
 本年一月末現在、この制度に基づく届出率というのは四三%まで上がっておりますが、引き続き関係省庁や業界団体と連携して、この制度の荷主さん等への周知を図っていきたいというふうに考えております。
○森屋隆君 ありがとうございます。
 四三%ということで、まだまだこの制度を高いものにしていかなきゃいけないと、こういうふうに思います。
 そんな中で、今説明あったんですけれども、この標準的な運賃なんですけれども、これを更に高めるために、パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージに基づく取組、こういうのがあるかと思います。これは、今の説明のあった標準的な運賃の強い後押しになると私は期待しているんですけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(山際大志郎君) これも先生御指摘のとおり、その標準的な運賃というものを超えて何か運賃を上げていこうということではないのかもしれませんが、しかし、全体としてきちんと、その運送業等々に掛かるコストがきちんと価格として転嫁できるかどうかということをしっかり見ていくというのが先生が今御指摘いただいたそのパートナーシップの下で行われなくてはいけないと思っておりまして、それを公正取引委員会やあるいは中小企業庁のGメン等々を通じて今しっかりと見させていただいております。
 これもう長い歴史のあることであることは先生御認識のとおりでございまして、これがしっかりと全体としての賃上げにつながっていくように我々としても力を更に入れていかなくてはいけないと、こういう認識でございます。
○森屋隆君 ありがとうございます。
 やはり、運送業と荷主さんとの関係って、やっぱり力関係がなかなかあろうかと思います。是非このパートナーシップの対策を進めていただきたい、力強く進めていただきたい、こういうふうに思っています。
 そして、標準的な運賃も、時限立法でありますから、私は、しっかり国会議員が頑張って、これ、まあ私も含めてなんですけれども、恒久化にしていく必要性がこれはあると、こういうふうに思っています。是非委員の皆さんも協力をお願いしたいと、こういうふうに思います。
 続いて、GoToトラベルについてですけれども、三点お聞かせをいただきたいと思います。
 まず、GoToトラベルそのものが長期にわたり停止をしています。このことについてどう考えているのか。そして、新たなGoToトラベルですけれども、都道府県へ事業が移行したときのその責任の所在というのはどこになるのかということと、もう一つは、このゴールデンウイークを一つの起点として考えていると、こういうふうに思っていますので、今、あと二か月ほどでありますから、この辺のところの見直しというのは当然あるのかと思いますけれども、この三点についてお聞きをしたいと思います。よろしくお願いします。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) GoToトラベルについて森屋委員からお尋ねいただきました。
 国内の感染状況がこういう状況でございますので、引き続き最大限の緊張感を持って対応する必要がございます。このため、GoToトラベル事業については、今後の感染状況等を見極めつつ、適切な時期が来たならば再開できるよう準備を進めているところです。
 また、委員御指摘のとおり、本事業は国による事業を実施した後、都道府県を主体とする事業に移行する予定でございます。その際、割引率や割引上限額など一定の範囲でルールを示しつつ、都道府県の判断により、できる限り地域の実情を反映することを可能とする制度を検討しております。
 現時点では昨年十一月に公表した内容を前提として準備を進めておりますが、関係省庁や専門家の意見を伺いつつ、今後の感染状況等も踏まえ、適切に対応していきたいと思っております。
○森屋隆君 大臣、ありがとうございます。
 都道府県に事業が移行されて、都道府県の意向で細かな手当て、長くしたりとかですね、その支援を、クーポンを導入したりと、これを都道府県の判断でできる、これは私はいいことだと思うんですけれども、ある一定程度やはり国が責任を持つ必要性というのがあると思うんですけど、その辺のところが私ちょっと理解できなかったんですけど、国が責任を持つということでいいんでしょうか、これは。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 昨年十一月に公表した新たなGoToトラベル事業の考え方においては、都道府県を主体とする事業について、旅行代金の割引率や割引上限額などに関する一定のルールを示しております。
 これはGoToトラベル事業の終了後に旅行需要が急激に縮小しないよう、関係者からの要望も踏まえ、事業全体の中で段階的な措置としてソフトランディングを図るものでございます。このため、地域の感染状況や観光需要の回復状況等を含め、各県の判断により一定のルールの範囲内でできる限り地域の実情を反映することを可能とする制度を検討しております。
 ここは、国とそして地方、都道府県としっかり連携しながら、我々もこのGoToトラベル事業が円滑に実施されるように連携を密にして行っていきたいと思っております。
○森屋隆君 ありがとうございます。
 本当に私も期待をしていますし、国も全部責任がないというわけじゃないというふうに捉えて私いますから、よろしくお願いしたいと思います。
 最後の質問になるのかと思います。環境の関係でございまして、実は米国ではバイデン大統領が、三〇年までに新規に購入するバスをEV車にするという、こういった目標を掲げているんですけれども、日本ではどうなんでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 電気バスの導入についての御質問でございます。
 自動車分野のカーボンニュートラルに向けては、バスなどの事業用自動車において、電気自動車など走行中にCO2を排出しない車両の導入を進めることが重要と認識しております。
 一方、電気バスにつきましては、車両価格が高く充電設備の設置も必要であるため、導入しようとする事業者の経済的な負担が大きいと。また、バッテリーやモーターなど、通常のバス車両にはない部品の整備に対応できる自動車整備士を確保する必要があるといった課題がございます。
 このため、国土交通省といたしましては、電気バスを導入するバス事業者等を支援するとともに、電気バス等の電動車の将来の普及を見据え、それらを適切に整備できるように自動車整備士制度などを見直してまいりたいと思っております。
 数値目標ということでございますけれども、今その具体的な数値目標をまだ設定する段階ではございませんが、積極的に導入に向けて環境整備を整えていきたいと思っております。
○森屋隆君 ありがとうございます。
 やはりこれは進めていく必要もあるのかと思います。コストは大分、今のバスより当然燃料も含めてお安くなっているということであります。
 済みません、まとめさせていただきたいと思います。
 いずれにしても、そのEVバスも、所管が、まあ自動車の方は経済産業省だったりとかするわけで、営業ナンバーは国交省だとか、いろいろこの横断している中で難しい部分があるというふうに聞いています。ここは一つにしていくべきだとも思っています。
 いずれにしましても、厳しい状況に変わりありませんから、是非この交通運輸、安定することが国民生活の安定につながると思っています。どうぞよろしくお願いします。
 質問を終わります。ありがとうございました。

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