議事録

国土交通委員会 2024年4月25日

  • ○森屋隆君 おはようございます。立憲民主・社民の森屋隆でございます。よろしくお願いをいたします。  まずは、この流通業務の総合化及び効率化の推進について伺いたいと思います。  今回の改正案では、この着荷主に対しまして、荷待ち・荷役時間の削減や積載率の向上等について努力義務が課せられました。これについては大変評価をしています。  しかしながら、一方で、この荷主に該当しない場合であっても、商社のように商取引に大きな影響力を持つ企業も存在をしています。商慣行の見直しを確実なものにするためには、今回のこの改正案を契機に経済界全体に求めていくべきであると、こういうふうに考えています。  斉藤国土交通大臣の見解を伺いたいと思います。お願いをいたします。
  • ○国務大臣(斉藤鉄夫君) 委員御指摘のとおり、商取引に大きな影響力を持つ商社のような企業を含め、経済界全体として物流の負荷低減や効率化の取組を促していくことが重要だと思います。  この点に関連しまして、改正後の物流効率化法第三十三条に基づく基本方針、この基本方針はトラック運送サービスの持続可能な提供の確保に向けた基本方針でございますが、この基本方針におきまして、トラックドライバーの運送、荷役等の効率化の推進について重要な事項を定めることとしております。この基本方針の中に委員御指摘の経済界全体としての取組についても十分に入れていきたい、検討したいと、このように考えております。
  • ○森屋隆君 大臣、ありがとうございます。  大臣から、この基本方針の中にこの経済界全体に入れていくことも検討していただけるということで、是非お願いしたいと思います。そういったことがこの法案をしっかりしたものにしていくのかなと、こんなふうに思っています。  今の大臣の答弁を受けて、やはり経済界全体にこれを求めていくんであれば、この経済産業省の役割というのが非常に大きいと思っています。その経済産業省の認識と具体的な取組、さらには経済界のこの反応についても教えていただきたいと、このように思っています。よろしくお願いします。
  • ○政府参考人(山影雅良君) お答えさせていただきます。  物流の負荷軽減や効率化を進めるに当たりましては、物流事業者のみならず、荷主の取組が極めて重要と考えてございます。  経済産業省は荷主企業の多くを所管いたすものですから、荷主の意識、あるいは行動の変革を積極的に促進していかなければならないと考えてございます。そのため、国土交通省、農林水産省とも連携しまして、荷待ち・荷役時間の短縮に向けたバース予約システムの導入、あるいはパレット等の活用など、荷主が取り組むべき事項をガイドラインと示しまして、その取組を促すとともに、所管業界に対しまして、自主行動計画の策定と同計画に基づく取組の実施を要請したところでございます。  これを受けまして、既に製造業あるいは流通業等で百以上の団体あるいは事業者の方々が業界ごとの事情も踏まえた自主行動計画を策定されまして、具体的な取組が多く始められているものと承知してございます。  今回、荷主の取組をより実効的なものとするべく、本法案におきまして、荷主に対して物流効率化の取組を義務付けることをしてございます。また、経済産業省といたしましては、並行して、中堅・中小企業を含めた荷主企業における荷待ち・荷役時間の短縮等に資する設備投資やデジタル化を促進すべく、例えばバース予約システムやフォークリフト等の導入に関する実証事業を実施し、物流業界あるいはドライバーの負担、ドライバーの方々の負担の軽減にもつながる荷主側の取組、これを積極的に促しているところでございます。  経済産業省といたしましては、引き続き、関係省庁及び経済界とも緊密にコミュニケーションを取りつつ、物流の負荷軽減や効率化に向けた取組を官民で連携して進めていく、そういうふうに考えてございます。
  • ○森屋隆君 ありがとうございます。  行動計画もかなり進んでいるということでございますから、しっかり後押しをしていただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。  続きまして、この改正案の第一条においてでありますけれども、この当該法律の目的に、この運送及び荷役等の効率化に関し貨物自動車運送事業者等が講ずべき処置等が定められています。  物流の効率化を図る旨、このことが定められているわけですけれども、一方で、この物流業界には第一種貨物利用運送事業者、いわゆる専業水屋が存在をしています。この専業水屋に対しても運送及び荷役等の効率化に向けた責務を私は課すべきだと、こういうふうに考えているんですけれども、これについて御見解をお願いをいたします。
  • ○政府参考人(鶴田浩久君) この法案におきましては、今御指摘のありました第一種貨物利用運送事業者、すなわち車両を持たずにトラック事業者を手配する事業者ですけれども、この利用運送事業者に対しましても発荷主が講じる物流効率化のための措置に協力するという努力義務を課すこととしております。  具体的には、発荷主との間で運送契約を締結するわけですけれども、その貨物利用運送事業者が他のトラック事業者を利用する場合に、発荷主から荷待ち・荷役時間の削減ですとか積載率向上について協力を求められたときには、その求めに応ずるよう努めなければならないというふうにしてございます。  これを根拠にしまして、今後とも、荷主、物流事業者間の連携を促進して、サプライチェーン全体での物流効率化に努めてまいりたいと考えております。
  • ○森屋隆君 ありがとうございます。  専業水屋にもその責務があるんだという考え方でいいでしょうか。
  • ○政府参考人(鶴田浩久君) 今申し上げましたように、第一種利用運送事業者については努力義務が直接掛かっています。一方、その事業者に該当しない、取次ぎだけをやっている水屋というのもいると思いますが、その場合には、取次ぎですので発注者と受注者がいます、その発注者側の方にその同じ義務が掛かると、努力義務が掛かると、そういう構成でございます。
  • ○森屋隆君 承知しました。  次に、この物流の二〇二四年問題や、今トラックドライバー不足しています。本当に人手不足になっています。この対応をするために、少ない人数でより多くのこの貨物を運送することというのは重要だと思います。  しかしながら、その結果として、特に中小事業者、こういった事業者が顧客やこの受注を失う、そういった事業者も出てくるんだろうと、こういうふうに考えられます。このような事業者に対する対応、これも必要じゃないかなと、こんなふうに感じていますけれども、これについてはどのようにお考えでしょうか。よろしくお願いをいたします。
  • ○国務大臣(斉藤鉄夫君) まさに、中小零細事業者の取組をしっかり支援して、その中小零細事業者でも効率化に負けないと、一生懸命やっていくということが重要だと思います。  そのためには、中小零細事業者の顧客開拓にも資するよう、令和五年度補正予算なども活用しながら、貨物とトラックをマッチングする求貨求車システムの導入などによる帰り荷の確保の支援、それから企業間で連携した共同輸配送の計画策定や中継輸送等の運行経費に対する支援などを進めていきたいと思います。  今回、その全体で効率化を図っていくわけですけれども、中小零細事業者もその中に組み込まれるように、効率化が進むように、しっかり頑張りたいと思います。
  • ○森屋隆君 大臣、ありがとうございます。  次の質問に少し答えていただいたのかなとも思っているんですけれども、物流業界のこの課題解決に向けて、要は荷待ちだとかそういうことがやっぱり問題になっているわけですけれども、そういったことを解決していく必要があって、今回、このトラック予約システムの導入などもしていただいていますし、これによって一定のそういった労働条件等々が改善するのかなと、こういうふうに思っているんですけれども、今大臣が少し答弁でおっしゃっていただいたかと思いますけど、この発から着までですね、全体を通してやっぱり網羅して俯瞰的に見ていく、特定の手段にだけ頼ることではなくて、あらゆる手段を講じていく必要があるんだろうと、こういうふうに思っています。  これについても、大臣、同じような質問になってしまうのかもしれませんけど、大臣の考え方についてお聞きをしたいと思います。よろしくお願いします。
  • ○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今、森屋委員おっしゃいましたように、発地から着地に至るまで全体で効率化を図るという視点も本当に大事だと思います。サプライチェーン全体での効率化を強力に推進していかなければなりません。  このため、この法律案では、発荷主と着荷主の双方を含む荷主に対しまして、荷待ち・荷役時間の削減といった措置を講ずる努力義務を課すとともに、このうち一定規模以上の事業者に対しては、これらに関する具体的な計画の作成なども義務付けているところでございます。  また、昨年六月に作りました政策パッケージに基づきまして、ハード、ソフトの両面から、物流施設における自動化、機械化機器の導入促進、それから、物流データの標準化を通じた共同輸配送の促進などに取り組む民間事業者、特に中小事業者を積極的に支援しております。これらは五年度補正予算で措置したところでございます。  このような形で、サプライチェーン全体での効率化を図っていきたいと思います。
  • ○森屋隆君 是非、全体、いろんなことを駆使して、やっぱり、今の荷待ちだとかそういった、ある意味、時間がどんどんどんどん長くなってしまいますから、そういうロスを省いていっていただきたいと、こういうふうに思っています。  次に、多重下請構造について、これも大きな問題かと思います、これについて伺いたいと思います。  改正案の第二十四条の五では、この元請に対して、多重下請構造の是正のため、実運送体制管理簿の作成を義務付けることとしています。専業水屋にもその義務がこれあるんでしょうか。私はないんだなと思っているんですけれども、この実運送体制管理簿の作成義務を、この専業水屋も加えるべきじゃないかなと、こういうふうに考えているんですけれども、この件について見解を伺いたいと思います。
  • ○政府参考人(鶴田浩久君) 多重下請構造は、トラック業界内部での元請、下請関係でございますので、その是正に向けましては、元請事業者にこの実運送体制管理簿の作成を義務付けて、これで下請構造を把握していただくということにしてございます。  その上で、今の御質問ありました水屋ですけれども、水屋が二種類あると思いますが、まず、第一種貨物利用運送事業者に該当する場合には、この法案では荷主の立場としてこの管理簿を閲覧できるというふうにしてございます。これによりまして、その荷主の立場、元請の立場、双方の立場から下請取引の適正化に向けた取組につなげていくということを期待しているものでございます。また、この法案によりまして、この第一種貨物利用運送事業者は、荷主との運賃交渉に当たっては下請行為の適正化に関する努力義務を負うことになります。その上で、トラックGメンによる是正措置の対象にもなるということでございます。  もう一種類の、水屋がいわゆるマッチングサイトなどの取次ぎだけをやっている人の場合は、先ほど申し上げましたように、取り次がれた契約の発注者側の方にこれ事業者として同じ努力義務が掛かるということで、下請、失礼しました、トラックGメンの活動も含めて、その努力義務が掛かっている発注者側に対して行っていくということになります。  このように、施策を組み合わせまして、取引環境の適正化を図ってまいりたいというふうに考えております。
  • ○森屋隆君 局長、ありがとうございます。  この多重下請によって、やはり最終的に輸送する事業者が余りに安い運賃で行くということは、結果的にはやっぱり労働者にその負担が回っていくんだと思うんで、是非ここはしっかりやっていただきたいと思います。  続きまして、改正案第二十四条第一項、この多重下請構造是正のために、元請に対しまして二つ以上の段階にわたる委託の制限その他の条件を付すること、今局長も答えていただいたのかと思いますけど、この努力義務が課されています。こうした規制を設けても、やはり実効性が担保されなければ絵に描いた餅になってしまいます。  この多重下請構造の是正は、何か縛りがないと私は難しいのかなと実際には思っています。業界では自主的に二次下請まで制限する方針を打ち出していますけれども、この実効性を担保するため、明確に多重下請を禁止することを考える、これも一案と思うんですけれども、この辺について見解伺いたいと思います。
  • ○政府参考人(鶴田浩久君) 実効性の確保ということの御指摘だと思います。  この法案におきましては、現在の我が国における物流の実態を踏まえまして、現実に即した形で多重下請構造を是正していこうと、こういう考え方によりまして、今御指摘のありました、一定の下請の禁止措置を盛り込むということにはしてございませんが、代わりに、実運送体制管理簿の作成義務付け、それから下請行為の適正化の努力義務ということで是正を図っていこうとしているものでございます。  加えまして、契約の内容を別途この法律で、法案で、明確化、書面で明確化させると。これをトラックGメンが確認をして、確認をする立場にありますので、確認をして、悪質な荷主等への是正指導を徹底するということをやってまいりたいというのがこの法案の考え方です。  その上で、まずこれらの効果を見極めていって、さらに、今御指摘のありました下請次数を一定程度制限するということの検討も含めまして、実効性を確保できるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  • ○森屋隆君 軽トラックの関係についてもちょっと聞きたいと思います。  この軽トラック事業者への安全規制について伺いたいと思います。  今回のこの改正案では、軽トラック事業者に対する安全上の規制について定めています。改正案の第三十六条の二第一項では、貨物軽自動車運送事業者は、事業の届出後、速やかに貨物軽自動車安全管理者一名を選任しなければならないこととしていますが、この速やかにとはどの程度の期間を想定しているのか伺いたいと思いますし、また、同項では、この貨物軽自動車安全管理者の選任の条件として、貨物軽自動車安全管理者講習を修了した者と、こういうふうに定めていると思います。この運行の安全を担保するためには、講習は運行管理者と同等レベルのものである必要があるんだろうと、こういうふうに思っているんですけれども、この同等レベルの、自動車整備等も含む、そういった知識も含めて実施されるべきであると考えますが、この方針と想定される講習内容についてお聞かせをいただきたいと思います。
  • ○政府参考人(鶴田浩久君) 今二つお尋ねがございました。  まず一点目の、この速やかにという期間でございますが、この改正法案において具体的に明示されているものではありませんけれども、運行の確保、運行の安全の確保を確実に行わせるという観点から、事業を開始する前の選任を求めることを考えております。届出後、事業開始までの間にということでございます。  一方で、この法律の施行日の前から事業を行っている既存事業者につきましては、この法律の附則におきまして、施行の日から二年を経過する日までの間に選任するということを求めております。  第二点目の安全管理者の講習でございますけれども、これは御指摘のとおり、安全確保に係る幅広い内容が含まれるということが重要でございますので、運行管理者と同様に、自動車の点検整備に関する事項を始めとする各種法令ですとか事故防止対策に関する内容などとすることを想定してございます。
  • ○森屋隆君 ありがとうございます。  実際にもうやっている方は二十万人ぐらいいるというふうに聞いていますから、少し時間は掛かるんだと思います。まあ大体二年ぐらい、おおむね二年ぐらいの中で今やっている方は講習受けてもらう、そしてこれからの方はしっかりそれが下りてから事業を始めるということかなと思います。ありがとうございます。  そして、何か事故も増えているようでありますから、やはりこの安全に対する知識、あるいは車の整備ですね、こういった車両整備なんかの知識も必要かと思いますので、その点についてもよろしくお願いしたいと思います。  この貨物軽自動車の運送事業者、個人事業者、今多くて、二十万人いるということでありますけれども、今のこの新制度をしっかり理解してもらわないと困るわけでありまして、この周知徹底、これをどういうふうにこれまた担保していくか、これが求められていると思います。  まず一点は、この周知徹底の仕方、どういうふうにしていくのかということをちょっとお聞きしたいと思いますし、さらに、やはり個人事業主ですから、特に毎日のアルコールチェック、そして車両の点検、あるいはこの業務記録の作成や保存ですよね、そして適性診断の受診、あるいは事故を起こしてしまったときの、その補償も含めてですけれども、そういった保険への加入、こういったものを義務付けるべきだと考えています。  先ほど言ったように、二十万人以上の人がいるということでありますから二年以上掛かると思いますし、適性診断の実効性、これ担保するための処置が必要だと考えています。この機関もこれ増やしていかないとちょっといけないのかなとも思っていますけれども、そういったことを含めて見解を伺いたいと思います。
  • ○政府参考人(鶴田浩久君) 二点御指摘あったかと思いますが、一点目の周知につきましては、これも実効性を担保するために、パンフレットの作成、配布ですとか、あと各運輸局における説明会などを予定しておりますが、その際には、実際、この軽トラック事業者は、多くの場合、大手の通販サイトですとか大手の運送事業者と連携して、から受注しているということが大半でございますので、そういった発注者側の事業者とも連携して周知に取り組んでまいりたいというふうに考えております。  それから二点目ですけれども、この軽トラック事業者の日々のアルコールチェックですとか、それから損害賠償能力につきましては、これ現行でも届出時に確認をしておりますが、これを実効性という意味で事後チェックをどのようにしていくかということをしっかり検討していきたいと思います。  一方、現在義務付けていない内容としまして、その業務記録の作成、保存ですとか、それから運転者への適性診断の受診につきましては、これを義務付けることも含めまして、具体的にどうするかということも含めまして、実効性の担保という観点からしっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。
  • ○森屋隆君 ありがとうございます。  現行やっているものと、今後検討しなければならない項目についても今答弁いただきました。  やはり、この運行記録なんかはしっかり残してもらった方が私はいいと思うんですね。何かあった場合に、やはりそのチェックに入って、やはりどうしても、個人だったりとかあるいは小さいトラック事業者なんか聞きますと、やっぱり何か問題あったときに、やっぱりその記録がなかったりそういったことが徹底されていないという、こういった声も聞きますから、しっかりこの辺は検討して、導入ができれば、少しやる方としたら大変なのかもしれませんけれども、やはりそういったところを厳格にして進めていくべきなんだろうと、こういうふうに思っています。よろしくお願いします。  次に、厚生労働省の方にも今日来ていただいております。私、実はここが大事なのかなと思っていまして、トラック運送事業に係る過去の法制定についてちょっと伺いたいと思います。  遡ると、この一九九〇年の物流二法と二〇〇三年の規制緩和の影響で、トラック運送事業者数は四万社から六万三千社へと急増しました。競争の激化が当然激しくなりましたから、その結果として、トラックドライバーが長時間労働と低賃金、こういった労働条件に陥ってしまって、この今の状況に至っていると思うんですね。人手不足に至っています。  この物流二法による規制緩和について、まず、斉藤国土交通大臣、どのようにこれ認識しているのか、まずその辺をちょっと聞かせていただきたいと思うんです。
  • ○国務大臣(斉藤鉄夫君) 一九九〇年、平成二年の物流二法の影響といいましょうか、に対しての考え方でございますけれども、この規制緩和によりまして、一つは、事業者数が増加したことなどにより競争が激しくなり、事業運営が厳しくなった事業者が存在します。それは事実でございます。  しかし一方で、新規参入が容易になるとともに、営業の自由度も高まり、輸送サービスの水準の向上や多様化が図られたと、このように考えておりますし、また、現在、Eコマースの拡大、働き方改革の推進など、物流の状況は目まぐるしく変化しておりまして、事業者の営業の自由度を確保していく、確保して対応していく必要ということからこの法律は必要だったと、このように認識しております。
  • ○森屋隆君 大臣、ありがとうございます。  私も全てを否定はこれしていませんけれども、結果として、やはりその競争によってダンピングがされたりとか、ドライバーの当然賃金、労働条件にも影響があったんだろうと、私はこういうふうに思っています。そして、今回の改正案でもしっかりその辺のところも改善ができればと思っています。  そういった意味で、この労働環境について厚労省の方に伺いたいと思いますけれども、長時間労働の結果、今、貨物自動車のドライバーの方の脳・心臓疾患が労働災害認定の請求件数、あるいは指定決定件数の中分類というんですかね、ここでワーストワンになっていると、こういうふうに参考人の質疑の中でもありましたし、なかなか、何年もワーストワンでいるというふうに聞きました。  この改善に向けて厚生労働省はどのようにこれ取り組むのか、まず一点はそれをお聞きしたいと思いますし、あわせて、自動車運転者のこの長時間労働なんですけれども、規制緩和以降、この手待ち時間などの、要はハンドル時間じゃなくて、非ハンドル時間がこの労働時間外とされたことに対し、この裁判では違法性が指摘され、また、この時間外労働の通算制なども変形労働制度の濫用に当たると、こういうふうに指摘をされています。これらの改善に向けて厚生労働省はどのように取り組むおつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  • ○政府参考人(梶原輝昭君) お答えをいたします。  トラック運転者については、長時間労働の実態があり、働く方の健康確保の観点から、運送事業者には今年四月から適用されております労働基準法による時間外労働の上限規制、これと改正後の改善基準告示を確実に遵守をしていただくことが大変重要であると考えております。  厚生労働省としての具体的な取組としては、運送事業の事業主に対しては、これまでも労働基準関係法令の周知啓発に取り組むとともに、法令違反の疑いがある事業場に対しては監督指導を実施し、度重なる指導にもかかわらず法令違反を是正しないなど重大、悪質な事案に対しては送検を行うなど、厳正に対処をしておるところでございます。  また、トラック運転者の長時間労働の要因には、取引の慣行など個々の事業主の努力だけでは見直すことが困難なものがあるため、労働基準監督署において発注者である荷主に対して長時間の荷待ちを改善することなどについて要請を行うなど、発着荷主等への取組も行っております。  個別具体の事案ごとの判断とはなりますが、調査の結果として、今ほど御指摘をいただきましたような手待ち時間が労働時間として取り扱われていないとか変形労働時間制が適切に運用されていないといった不適切な実態が認められました場合は、労働基準監督署においてその是正を指導してまいります。  引き続き、関係省庁とも連携しながら、労働基準関係法令の周知啓発、監督指導及び発着荷主等への取組を通じて、トラック運転者の労働条件確保に努めてまいりたいと存じます。
  • ○森屋隆君 ありがとうございます。  そのとおりだと思いますけれども、適切に労働時間の管理ができているか、できていないか、その使用者のその指揮命令系統にあるかないかということで、いつもこれもめるんですね。そこは実はグレーなんですよね。  やっぱり裁判をするかというとなかなかそこまでは行かないと思うんですけれども、休憩なのか労働なのかというところをもう少し、特にこの交通運輸のところは国の方でもう少ししっかりとしたものを出してもらわないと、いいようにちょっと解釈されちゃっている経過があると思うんです。そういったところについてはどのように感じますか。
  • ○政府参考人(梶原輝昭君) お答え申し上げます。  一点目の手待ち時間の方でございますが、手待ち時間が労働時間として取り扱われていないことにつきまして、一般論として申し上げますと、御指摘のように、路線バスの運転者が行う接客行為ですとかトラック運転者が着荷主側の荷主の指示に従って行う荷役の作業、こういったものがよくあるというふうに言われております。こうしたものは、通常、使用者の明示又は黙示の指示により行われるものと考えられます。その場合には、労働基準法上の労働時間に該当をいたします。これを労働時間として取り扱っていない事実が確認された場合には、労働時間として取り扱うよう指導をしております。  変形労働時間についても御指摘がございました。  変形労働時間制は、変形期間における各日、各日ですね、各週の労働時間をあらかじめ事前に具体的に定めることを要するものです。その定めた労働時間を事後になって使用者の側から任意に変更することは認められません。このため、あらかじめ定めた時間を超えて労働をさせた場合には、その時間は時間外労働時間として割増し賃金を支払うことが必要であり、法令違反が認められた場合にはその是正を指導をしております。
  • ○森屋隆君 ありがとうございます。  労働者は弱い立場にありますから、是非国としてもこの労働者の立場に立って、是非この問題、今日、明日で解決する問題ではないのかもしれませんけれども、是非労働者の立場に立っていただきたいと、こういうふうに思います。  次に、厚生労働省のデータを見ますと、この男性の運輸業の育児休業取得率、これ二〇%台となって、二〇%に届かないんですかね、一九・何%かと思います。これ低い数字だと思いますけれども、申請すれば取れるんだというのが、今回法案でもやっているんだと思うんですけれども、それが基準かと思いますけれども、結果的には何らかのその免許が必要ですよね。トラックにしても大型免許、バスにしても大型二種免許、鉄道にしたら鉄道の運転士さんの免許が必要です。そういったところというのは、今、人もいない中で、さらにはその代わりになれる方が今いないわけですよね。結果的には、取れるんだというルールを作っていただいても、現場では取れないんですよ。  そして、取れない方が何の手当てもされないで、取れた方は今回十割程度負担をするということでちょっと聞いていますけれども、その辺の不公平さが私は大変あると思いますから、今回法案審議していると思いますけれども、それも含めて、こういう取れるという条件でありながら取れないところの業種についての考え方を教えていただきたいと思います。
  • ○政府参考人(宮本悦子君) お答え申し上げます。  令和四年度の雇用均等基本調査によりますと、運輸業、郵便業の男性育児休業取得率は一九・五八%となっておりまして、全産業平均の一七・一三%を上回っているところでございます。同調査で把握できるデータからは産業別の取得率の違いを詳細に分析することは困難でございますが、一般論といたしまして、育児休業取得者の業務を代替する体制が整備されている職場、また育児休業の取得に積極的な雰囲気のある職場で男性の育児休業の取得が進んでいると考えられます。  御指摘のような職種、また企業規模ごとに、業務の代替のしやすさ、それから取得のしやすさは異なるというふうに認識してございます。  育児休業につきましては、労働者の申出があれば全ての事業主は原則として拒むことのできない権利でございますが、男性が育児休業を取得しない理由としましては、職場が育児休業を取りづらい雰囲気である、また業務の都合により取れないことなどが挙げられているというデータもございます。  これらを踏まえまして、今年の一月から、両立支援等助成金に育休中等業務代替支援コースを新設しまして、育児休業中の労働者の業務を代替する周囲の労働者に対して事業主が手当を支給する場合などの助成措置を大幅に強化したというところでございます。また、中小企業におきまして育休中の労働者の代替要員を確保することが難しい場合には、労務管理の専門家から、事業所内における業務の見直し、外部化などに関する個別の相談支援などを無料で受けられる事業も実施しているところでございます。  育児休業の取得促進を含みます労働者の両立支援の取組を進めることは、企業におけます人材確保、また定着にも資するものと考えてございます。厚労省といたしましては、今後とも、関係省庁とも連携しながら、助成金やまた個別相談支援などの取組によりまして男性の育児休業取得促進にしっかりと取り組んでまいりたいと、このように考えてございます。
  • ○森屋隆君 答弁は求めませんけれども、取れるというのは分かるんですけれども、取れないんですよ。そして、企業にその支援をしても、じゃ私が取りますよと言って、例えば私が鉄道の運転士さんだったら、はい、分かりましたということで、じゃ鉄道の運転士さんを、じゃ、すぐ補充できるかといえば、これできないわけですから、結果的には取れない状況が今現場であるんです、特にこの免許を有する仕事というのは。  ですから、そういった制度も活用できないから、若い人もなかなか入ってこれないハードルがあるわけですよね。ここをしっかり、どういった手当てがいいか、ちょっとこれは議論をしてもらう必要があると思いますけれども、そこをやっぱり少し考えていただきたいと、次のステップには是非考えていただきたいと思います。よろしくお願いします。  法改正の実効性を高めるために何をするべきかということで伺いたいと思います。一問飛ばします。もう時間の関係で一問飛ばして、法改正の実効性を高めるためについての認識を伺いたいと思います。  今回の法改正では、労働者の労働環境の改善と健康を確保しつつ、併せて賃上げを実現するため、そしてトラックを始めとする物流業界を健全化し物資の安定供給を果たすため大変重要だと、こういうふうに考えています。実効性がこれ担保されなければ意味がありません。そのためにはどのような取組を行うのか。  また、先ほど局長の方からトラックGメンの役割なども聞いております、話を出ておりますけれども、聞くと、このトラックGメンというのは今百六十二名体制だというふうに伺っています。本当にこれで足りるのかどうかも含めて、どういうふうにここを、しっかりとこの法案をサポートしていけるのか、実効性を高められるのか、ここについてお聞かせいただきたいと思います。
  • ○政府参考人(鶴田浩久君) 御指摘のとおり、実効性の確保は大変重要であるというふうに考えております。  トラックGメンにつきましては、昨年七月に設置をしまして、それ以来、年末の集中監視月間も含めまして成果を上げております。これは今後とも積極的に取り組んでいきたいと思います。  その上でですけれども、この法案におきましては、運送契約の書面化を盛り込んでおります。これは、トラックGメンの情報収集力の強化にもつながるというふうに考えております。また、別途この法案では、国が指定した民間の適正化機関が悪質な荷主等の情報を入手したときは国土交通大臣に通知するという規定も盛り込んでおります。  この法案とは別に、この二〇二四年問題に取り組んでくる中で、関係省庁、公正取引委員会ですとか中小企業庁、それから厚労省の労働基準部局などとの連携も始めております。こういったところとの連携も今後強化していくことが重要だと思います。  まとめますと、トラックGメン自身が積極的に活動することを前提としまして、この法案の措置も活用して、関係省庁それから民間の適正化機関とも力を合わせてGメンの機能強化を図って、実効性を確保していきたいというふうに考えております。
  • ○森屋隆君 局長、ありがとうございます。  一点、お聞かせください。この民間企業のところというのは、これ権限というのはあるんでしょうか。
  • ○政府参考人(鶴田浩久君) 行政処分を行う権限はあくまで国でございますけれども、その前提となる事実関係の調査を今現に都道府県のトラック協会が指定されてやっていただいていますが、こことの連携を強化するということが重要かと思っております。
  • ○森屋隆君 承知しました。  連携をしっかりして、そして制度を高めていくということかと思います。よろしくお願いをいたします。  最後になります。  これ、最後、大臣に決意も含めてちょっとお聞きをしたいんですけれども、この物流の二〇二四年問題契機として、二度の議員立法、これありました。そして、今回の改正案が行われ、さらに、政府は関係閣僚会議を立ち上げて、先ほどからあります様々な施策を進めています。これらが本当に効果的なものなのか、技術的な点も含めて関係者によるこの検証が必要だと思うんです。つくってどうだったのかということが当然必要だと思いますから、そして、必要に応じてその施策の見直しも私は必要だと思います。そういったことを、追加を行うことも含めて、その施策の見直しをしていただきたい、そして実効性を高めることが重要だと、こういうふうに思っています。  大臣に決意と、これを必ずいいものにしていくんだという、実効性を高めることも含めて、最後、決意をお願いしたいと思います。
  • ○国務大臣(斉藤鉄夫君) まさに、いいものにしていくためには、常に見直し、検証して、改善していくということが必要だと思います。そのため、昨年六月に策定した政策パッケージなどにおきましても、関係閣僚会議で定めた中長期計画に従って取組を進めてまいりますが、その状況をフォローアップするという仕組みになっております。  引き続き、こうした場を活用しながら施策の検証を行い、不断の見直しを図ることによりまして実効性を確保してまいりたい。そして、この法案、大きく今の物流業界を効率化していく、そして若い人たちが集ってくるような職場にするために全力を挙げていきたいと思います。
  • ○森屋隆君 大臣、ありがとうございます。  私も、是非この改正案を契機に、トラックドライバー、交通運輸労働者の地位向上ですよね、賃上げも春闘ありましたけれども、やはり全産業よりはまだまだ低いというふうに聞いていますから、是非トラックドライバーの地位向上、交通運輸労働者の地位向上、そしてトラック業界の健全化と物流の安定供給が果たされることを切にお願いをしまして、要望しまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
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