議事録
国土交通委員会 2024年6月4日
2024.06.04
- ○森屋隆君 立憲民主・社民の森屋隆でございます。 本日は、岩田参考人、小倉参考人、そして小岸参考人、御説明ありがとうございました。 説明を聞いていましてまず感じたのが、四月にこの委員会の中で物流の法案、働き方改革関連法の中で物流の法案を審議させていただいたんですけれども、この構図が、下請の構図、あるいはその働き方、賃金の在り方が非常によく似ているなと感じたところでありますし、長年の、何というんですかね、慣行というんですかね、業界のその慣行によって、あるいは、デフレの中で安く、安くということが先行してきた中で、サービスというか、何かいろんな意味で過剰になってきて、それで結果的にはそのしわ寄せが働いているところに及んでいたんだと、こんなふうに感じましたし、さらに、小岸参考人からは、安全面、亡くなる方も実際にいるということで、本当に、建設業ですから、一歩間違えばそれこそ大きなけがや命を落とすような、そういった危険な仕事だと思います。それが、全産業より本当に低い賃金、あるいは休みもなかなか、週休二日もない中で行われていると、これはやっぱり改善しなくてはならないと思います。岩田参考人からも、画期的なある意味法改正ではないかというふうに言われたかと思っています。 そんな中で、ストレートにお聞きしたいのは、これ三名のまず参考人の方々にそれぞれの立場からちょっとお聞きしたいと思いますけれども、政府もこういった実態があってそれは変えていかなければいけないということなんですけれども、結果的には、その労働力であれば、今まで行われていた労働力が、誰かが週休二日にすれば補わなければならないですし、最終的に働いている労働者の賃金を上げれば、その負担は、お金的な負担は誰かが負担しなきゃならないことに当然なるんですけれども、今回の改正案で、未来に前向きな新3Kというんですかね、政府が呼んでいるんでしょうか、年収は全産業、まずは全産業と肩を並べる、岩田参考人が言うには、七百万以上取れるような産業にしたいということだと思うんですけれども、そして月給制だと、さらには週休二日制の実施をすると、そして、課題でもあります、物流もそうでしたけれども、働いている人が高齢化しているということで、若者が入ってくるような魅力ある産業にするということなんですけど、今回の法案で、先ほどあったように、民間事業がありますから、当然、その民間の理解が当然必要だと思いますし、あるいは、チェック機能を果たしていかなければ、やはりうちは安くやるよということがあると思いますけれども、今回の法案で、お願い事三点ほどあったと思うんですけれども、これ三名の方にお聞きしますけれども、まず全産業と同じ年収になる、あるいは週休二日をこれできるというのは、例えば二年後なのか三年後なのか、いや、このままでは実効性が担保されたとしてもなかなか難しいんだというような感覚がまだあるということなのか、どちらか分かりませんけれども、どちらかだと思うことについての理由をそれぞれお聞きをしたいと思っています。よろしくお願いします。
- ○参考人(岩田正吾君) まず、その実効性の部分というのは、我々も多岐にわたるお客様と取引をしておりますので、例えば、このお客様は、じゃ、やろうと、その代わり人を集めてこいよというようなことになったとしても、全体のシェアの何%かということによるわけですよ。こちらのお客様はやってくれないということになると、全体の、例えば五〇、五〇だと半分ぐらいになってしまうという可能性も出てきますので、まず私は、まずこの制度ができたことによって、先ほども申し上げましたけど目安ができると。あとはやはり、これはもう国民全体だと思うんですけど、もう賃金が安過ぎるんだと、だから賃金を上げていこうということのマインドが醸成されてくれば、当然、賃金が上がってきたら価格が上がるのも当然だと、どちらか、鶏か卵だと思うんですけれども、そういうような機運に向かないと非常に難しいと。 その上で、価格は上がっていくと思うんですが、それで最後申し上げましたけど、我々も汗をかいて努力をして、一生懸命話は、相談はしていくんですが、やっぱりいろんな多方面から、国もそうですし役所もそうですし、いろんな形でそういう方向にマインドを向けていっていただきたいな、そうすることによって全体が上がってくるというふうに理解していますので、我々も腹くくっていますので、一年、二年ですぐにそうなるというふうには思っておりませんので、次世代のことを考えて今やるべきだということでスタートしたばかりだという理解をしております。
- ○参考人(小倉範之君) 今回の改正によりまして新3K本当に実現できるのかと、こういった御指摘であったというふうに思っております。 まずは、不確実性がありつつも、実現は十分可能だというふうに思っております。そのためには、先ほど来話をさせていただいていますが、今回の法改正に伴う運用面、その実効性がしっかり担保できるかということと、先生も御指摘ありましたけど、その民間分野ですね、特に例えば住宅分野はそこに該当すると思いますが、サプライチェーン全体の理解と対応、こういったことは不可欠であるというふうに思っております。 特に民間分野で申し上げますと、そういった賃金あるいはその単価自体の引上げについて、しっかり社会的な機運をしっかり高めていかないと理解が得られないというふうに思っておりますので、そういった施策を含めて今後必要になってくるだろうというふうに思っております。 それから、若年者の確保という視点の御発言もありましたが、やはり確保していくためにはその収入と、収入の増と休日の確保、これが最重要課題である、そのように思っているところであります。 今回の法改正の中では、その実現のために必要な施策については盛り込まれているというふうに思っておりますので、様々なその取組を水平展開することで何としても実現をしていかなければいけない、そのように思っているところであります。
- ○参考人(小岸昭義君) 私も実効性の部分では可能だと思っています。大きな理由としましては、人手不足が顕著に起きているので、人手が足りないということは何かを変えなきゃいけないという危機感は全ての方の共通認識だと私は認識しております。 ゼネコンさんや大規模の現場に関しては、どんどん変わっていける、今回の業法の改正で変わっていけるとは思うんですが、毎回、安全衛生規則の改正等の場合でもそうなんですが、やはり町場とか小規模な現場に関しては、施行されてから三年後なのに全く誰もやっていない。何でやっていないんですかと聞いたら、えっ、そんなことあったの、知らない。せっかくいいことが起きてもなかなか、その発信するというのが、国、今の若者に難しいのかと。SNSだったり、ティックトックとかインスタグラム等、今の若者たちが見て、えっ、こういうふうに、えっ、建設業法変わった、えっ、うちの社長知らないんじゃないの、そういったような形等も含めて検討していただければ、もっともっと広がっていくのかなと思っております。
- ○森屋隆君 ありがとうございます。 社会的な理解、全体的な理解と、あとは業者も含めた認知度ですかね、その小さいやっぱり事業者さんがそういったルール変わったことがやっぱり分かっていなかったり、そんなことがあるということなのかと思います。ありがとうございます。 更に三名の方にお聞きしたいと思います。 一人親方の問題なんですけれども、今回の法改正も、その中でも一人親方のことも触れているんですけども、一人親方のところを、今回のこの法改正にプラス加えるとしたら、今回の法改正で全部網羅されているよということであればいいんですけども、この一人親方の問題で、ここは付け加えた方がいいだろうということがあったら教えてほしいのと、それとあと、この建設業におけるその元請、下請、さらに二次下請とかとあると思うんですけども、この支払方法で、特に小規模事業者に対して完全現金で支払っているところが八一%で、労務費が現金、先ほど言われたように、材料費というのは手形で支払っているというところが一一%ほどあるらしいんですけれども、この手形支払での問題点、なかなか現金化できないということがあるのかもしれませんけども、その実態がもしあればお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。
- ○参考人(岩田正吾君) まず、一人親方についてですけども、一人親方の問題については、正直、一人親方でやらされているという方と、一人親方でしかやらないんだという方とがおられます。ですので、ごっちゃにするとちょっとややこしい議論になるかと思うんですが、一人親方も、お金を上からはねられてやらされているという方からすると、今回の法改正で非常に前向きになられているんではないかなと思いますし、一人親方でしかやらないという方については、それはもう個々の、自分の技量で飯を食っているんだからそんなものを決めてもらわなくていいんだという方もおられることも聞いております。 ですので、一人親方については、一人親方の基準といいますか定義といいますか、そこら辺のところを、既にもう国交省の方も動いておられますけども、あれをもう少し幅広く周知をしていただいて、そういう意味で、業界はこういうふうに向いていっているんだということで、選択する余地をたくさん増やしてあげればなというふうに思います。 あと、済みません、もう一点、(発言する者あり)あっ、手形ですね。 手形については、相当改善はされてきていると思います。ですので、今が適正かどうかというとなかなか難しい問題もあろうかと思いますけども、これも同じように併せて周知をどんどんどんどんしていって、手形ではなく現金化という形で、これはお客様もそういうふうにしていかないと、お客様だけ手形でもらって下に現金というようなことはリスクになっていくと思いますので、業界全体で取り組むべきだと思います。
- ○参考人(小倉範之君) 一人親方の関係でありますが、工事請負契約を締結をして事業活動をしているということもありますので、建設業法の適用と当然なってくるということになりますから、法改正による一人親方の適正取引、処遇改善等が推進をされることが期待をされると認識をしているところであります。 また、この間、国土交通省において、建設業の一人親方問題に関する検討会、こういったものが設置をされておりまして、規制逃れを目的とした一人親方対策及び一人親方の適正取引の推進に向けた取組、こういったものが取りまとめをされております。 また、先月、政府の規制改革推進会議において、建設業で働く一人親方などを保護するために、労働者性の判断基準の明確化の検討を本年度に開始をすると、こういった報道がされたというふうに承知をしております。今回の業法改正とも間接的に関連をしている部分があるというふうには思いますが、課題解決の効果はあるんではないかというふうに思っているところであります。 それから、手形の関係でありますが、国交省の通達によりまして、労務費相当分については現金払にすると、こういった指導がされているというふうに承知をしております。手形払いについては少ないと認識をしておりますが、御指摘のとおり、ゼロではないということであろうかというふうに思います。 一人親方は、工事代金として報酬を受け取る関係から、標準労務費部分の現金払、支払サイトの短縮など、一人親方に配慮をした運用、こういったものも必要になってくるんではないかというふうに思っているところであります。
- ○参考人(小岸昭義君) 一人親方問題につきましては、逃げ道になっているような部分も我々の業界だとあります。社員として雇用してしまったときに、残業代の上限だったり、通勤費というのも社員だと払わないといけない。請負という名の下で低賃金で働かせているというようなのも我々の業界だと多数ある。また、夢を持った若い人たちが、今日から君も社長だと、あしたから一人親方宣言すれば社長だということで、その分、労災が適用されなかったり、デメリットは説明されずに一人親方に勧められて入っているような方々が多いのも事実かなと思っております。また、企業の社会保険だったり、そういった費用を軽減させるためにも一人親方を勧めているような会社もあるというのも聞いております。 手形の件に関しましては、もう年を追うごとにどんどんどんどん減ってきて、昔でいいましたら、本当に労務費すら手形、労務費は基本、原則三十日以内だと思うんですが、それでも九十日の手形の中に労務費も入っていたりもしたのですが、最近はほとんど手形というのはなくなってきている現状だと思います。
- ○森屋隆君 ありがとうございました。終わります。