議事録

国土交通委員会 2024年4月4日

  • ○森屋隆君 立憲民主・社民の森屋隆でございます。よろしくお願いをいたします。  まず、本法律案につきまして、住宅セーフティーネットの強化に向けて、一つは公の責任をしっかりと果たすべきとの視点から、そしてもう一つはこの設けられた制度が現場で十分かつ適切に機能する、そういった視点から質問をしたいと思います。  まず、本法律案の基本的な考え方や方向性について伺います。  本法律案では、居住サポート住宅や賃貸債務保証業者の認定制度の創設、居住支援法人の業務への残置物処理の追加などを行うこととされています。  これは、解して言えば、従来家族などが担ってきた見守りや賃貸債務の保証、死亡時の対応などを社会の制度の中に位置付けて担っていこうという、こういったことだと理解していますが、本法律案の基本的な考え方、方向性について国土交通大臣の御所見を伺います。
  • ○国務大臣(斉藤鉄夫君) 単身高齢者が今後増加していくと、こういう状況でございます。単身者の場合、従来家族が担ってきた見守りや相談といった機能を果たす人が身近にいないということになります。孤独死や死亡時の残置物処理への不安、そして入居後に何かあっても連絡や相談をする人がいない、こういうことで、ある意味でこれら、これまで家族が、また親族が担ってきた役割を公でしっかりサポートしていこうというものでございます。そして、そのために、そういうことで大家さんに入居を断られるケース、これを少なくしていこう、なくしていこうというものでございます。  高齢者を始めとする住宅確保に配慮を要する方の居住の安定を図る観点から、居住支援法人を始めとする地域社会の様々な担い手が連携して支える仕組みを構築するべく、この法案を提出したものでございます。
  • ○森屋隆君 大臣、ありがとうございます。  次に、国や地方公共団体の責任について伺いたいと思います。  住生活基本法では、住宅は国民の健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤であるとされています。そして、住生活基本計画ではその冒頭において、住宅は人々の生活を支える基盤であり、社会の礎であると、こういうふうにされています。このような点を踏まえますと、住宅セーフティーネット法では民間の賃貸住宅の活用した住宅セーフティーネット機能の強化を大きな柱としているんですけれども、やはり民間任せにするのではなくて、国や地方公共団体が公としての責任をしっかり果たしていくことが大事なんだろうと、こういうふうに思っています。  基本的には、住宅のハード面では、公営住宅を始めとする公的賃貸住宅についてその充実を図ることや、また、居住支援というソフト面についても、国や地方公共団体が主体的にその責任を果たしていくことが必要だと思います。  国土交通大臣の御所見並びに今後、公による住宅セーフティーネットの機能の強化、どのように取り組んでいくお考えなのか、この辺についてお聞かせをいただきたいと思います。
  • ○国務大臣(斉藤鉄夫君) これまでも、住まいの確保に困難を抱える方々の居住の安定を図るため、国や地方公共団体において、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進や公営住宅の整備など必要な施策を講じてまいりました。  その上で、今回の法案は、民間の賃貸住宅市場において賃貸用の空き家が四百万戸を超えている状況を踏まえ、こうした民間賃貸住宅を活用した新たな住まいの供給の仕組みを創設するということとともに、大家さんと住宅確保要配慮者の双方が安心して利用できる市場環境の整備により居住の安定確保と住宅ストックの有効活用の両立を図ると、こういう考えでございます。  国や地方公共団体におきましても、民間任せとするのではなく、居住サポート住宅の認定、居住支援法人の指定とこれらに対する支援、さらには居住支援協議会の設立、運営などを行うことによりまして、要配慮者の方の居住の安定に向けた役割を果たしてまいりたいと思います。
  • ○森屋隆君 次に、公営住宅の関係について少し伺わさせていただきたいと思います。  現在、この公営住宅には一定数の空き家、住戸があると認識をしています。こうした十分に活用されていない公営住宅を始めとする公的賃貸住宅のストックを住宅セーフティーネットとして、また要配慮者の様々なニーズに応じて積極的に活用していくことが必要かと考えています。  政府の見解及び今後の取組方針についてお聞かせをいただきたいと思います。
  • ○政府参考人(石坂聡君) 公営住宅は、住宅セーフティーネットの根幹として、住宅に困窮する低額所得者の居住の安定を図るため供給するものであり、国としても、地方公共団体が行う公営住宅の整備に対して社会資本整備総合交付金等により支援をしているところでございます。  一方で、公営住宅、今先生御指摘でございましたように、空き家ございます。こうした公営住宅ストックの弾力的な活用の一環として、居住支援法人等が公営住宅の空き室を要配慮者に対してサブリースしたり、あるいは地域の交流拠点としたりするなど、居住支援を目的とした活動への積極的な活用を図ることは重要であると認識しています。  国土交通省におきましては、公営住宅の目的外使用手続の簡略化等により、公営住宅ストックの有効活用により多様な住宅セーフティーネットの取組を推進してまいります。
  • ○森屋隆君 ありがとうございます。是非積極的な活用をお願いしたいと思います。  次に、本法律案で創設される居住サポート住宅について伺いたいと思います。  居住サポート住宅は、居住支援法人等が入居する要配慮者のニーズに応じて安否確認、見守り、適切な福祉サービスへのつなぎなどを行う住宅と理解をしています。また、居住サポート住宅の、生活保護受給者が入居する場合には、住居補助費というんですか、扶助費というんですかね、これが、保護の実施機関が大家等に代理納付する仕組みが設けられていると、このように承知をしています。しかし、この制度に対しては、いわゆる貧困ビジネスなどに悪用されるのではないかという、こんな懸念を持っています。そのため、そのようなことがないように、これは万全の体制を講じていただきたいと思っています。  具体的には、居住サポート住宅の認定基準について、この第四十一条に規定が定められております。床面積、構造、設備、家賃、入居中のサポート内容などについて基準を設けているとされていますが、この詳細というのは省令で委任をしているというふうに聞いています。そのため、省令で具体的な基準を定めるに当たっては適切な基準となるよう、有識者や現場関係者などの意見を十分に踏まえて対応いただきたいと思っています。  また、実際にこの認定や認定事業者等の監督などを行うのもこの地方公共団体だと聞いていますから、その認定や監督が、問題が生じた際の認定の取消しなども含めて厳正かつ適切に行われるよう、国においても万全の措置を講じていただきたいと、こういうふうに思っています。  これらの点について万全の対応を取ることを是非国土交通大臣にこの委員会の中でお約束をいただきたいなと。まあ、心配な点がやっぱりあるわけですよね。こういった点を、大臣、この委員会の中で是非お約束いただきたいと、こんなふうに思っています。どうでしょうか。
  • ○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今回の法案に対しての御意見の中で一番多かったのが、実はこの貧困ビジネスに悪用されるのではないかという点でございました。そうならないようにすることが非常に重要だと思っております。  そのため、居住サポート住宅の認定に当たっては、入居者の居住水準を確保する観点から、住宅の床面積や設備が法令に定める基準に適合すること、不当な利益を得ることを防ぐ観点から、住宅の家賃やサポートの対価が法令に定める基準に従い適正に定められていることなどを要件とすることとしております。  また、福祉サービスとの適切な連携を図る観点から、この制度の認定の主体は、生活保護や生活困窮者支援を実施している福祉事務所を設置する地方公共団体としております。さらに、認定事業者に対しては、地方公共団体が報告を求めたり立入検査や改善命令を行うことができるほか、命令に従わない場合には、入居者の居住の安定を図りつつ、認定の取消しも含め、指導監督を実施できることとしております。取消しも当然できるんですが、そのときに入居者が放り出されるようなことがあってはならない、そこを確保しながら、しかし、きちんと、取消しする場合にはきちんと取消しするというような形にしていきたいと思っております。  居住サポート住宅の制度が貧困ビジネスに悪用されることがないよう、厚生労働省や地方公共団体と連携して、適正性を確保しつつ運用してまいりたいと思います。
  • ○森屋隆君 大臣、ありがとうございます。よろしくお願いをいたします。  一問飛ばしまして、費用の在り方について伺いたいと思います。  居住サポート住宅への入居中のサポート費用ですけれども、基本的に入居者が負担するものということであります。また、認定保証業者による家賃債務保証などについても、これを利用するには一定の費用負担が生じるというふうに思います。そのため、金銭的に余裕がある方はいいと思うんですけれども、この余裕のない方にとってこれらの制度がなかなか使いづらいということにもなりかねないと、こんなふうに懸念をしています。  そのため、誰もがこれらの制度を円滑に利用できるように、例えば費用の補助などの公的支援が求められるのではないかと、こんなふうに思っていますが、国としてどのような対応をしていくのか、この辺について伺いたいと思います。
  • ○政府参考人(石坂聡君) まず、安否確認のためのICT設備につきましては、入居者の負担軽減にもつながる措置として、令和六年度予算において設置等の改修工事に対して補助の対象としたところでございます。  また、サポート費用については、先生御指摘のございましたように、入居者の負担ということを想定してございますけれども、実際に類似の事例、現在実施している法人の事例といたしまして、月二、三千円程度想定してございます。  こうした住宅のサポート費用でございますけれども、こうしたサポート費用につきましては、こうした比較的低廉な制度とともに、例えば厚労省で実施してございます、生活困窮者や高齢者などを対象としています公的な福祉サービスの一環として居住支援を行っている場合がございまして、こうした入居者の心身の状況や生活の状況、心身の状況が不安定になったときにはこうした事業も活用できること、こうしたことも併せてちゃんと周知する、あるいは厚労省と連携して対応する、そうした取組をしっかり行ってまいりたいと考えているところでございます。  また、家賃債務保証料でございますけれども、居住サポート住宅の入居者には保証を断らない家賃債務保証業者の認定制度を創設いたします。こうした場合に、例えば地方公共団体がこの保証料に対して支援できるよう、国の補助制度の対象にも居住サポート住宅、対象としたところでございます。  また、残置物処理でございますけれども、これは、まずは敷金や大家さんなどが加入する保険から賄われているところとは承知しておりますけれども、先ほど申し上げましたように、換価したお金がある場合、あるいはその住宅からお金が見付かった場合には、そこからまずいただいて、最後は供託する、先ほど説明いたしましたけれども、そういったこともあろうかというふうに思っているところでございます。  さらに、こうした居住支援、家賃債務保証、保険などの複数の仕組みを連携させた効果的な取組を支援するモデル事業、こうしたものを創設しているところでございます。本制度を円滑に利用できるよう、地方公共団体あるいは居住支援法人に対して制度の周知あるいは先導的な取組の普及啓発、そうしたことをしっかり進めてまいりたいと考えているところでございます。
  • ○森屋隆君 御丁寧にありがとうございます。  ICT機器の見守りのは二、三千円だということでありましたし、あと、いろんな制度があるということで承知しました。是非活用していただきたいなと思います。  次に、これまでもこの住宅セーフティーネット制度においては、この専用住宅に関する改修費や家賃低廉化の補助、また登録住宅、専用住宅に関する家賃債務保証料や、住み替えの補助が設けられており、令和六年度からはそれぞれ見守りなども行う住宅にもこの補助が対象になると、こう理解をしています。  しかし、これらの補助の実施状況は必ずしも十分に広がりを見せているとは思っていません。例えば、令和四年度においては家賃低廉化の補助件数は四百五十七戸だったと、こういうふうに承知をしています。やはり、これまでの補助の実施状況は、制度はあるけれども十分に活用が図られていないと、支援を必要とされている方に十分になかなか届いていないんじゃないかと、こんなふうに思っています。  令和六年度からは見守りなどを行う住宅にも対象が拡大されることが、公の責任をしっかりと果たすという観点からは、これにとどまらずに、例えばこの住宅サポートの、居住サポート住宅、サポート費用に対する補助を設けるなど、その拡充を図ることが私は必要なのかなと、こんなふうに思っています。  また、現在、家賃低廉化等の補助は、地方公共団体が必要と認めた補助を実施する場合に国もその二分の一を補助するという、この仕組みだと聞いています。補助を実施している自治体はごく一部で、令和五年八月の時点では五十五自治体にとどまっていると伺っています。そのため、例えば、地方公共団体が必要を認めれば国の負担分だけでも補助を実施するような運用の柔軟化も検討すべきではないかと、こんなふうに思っています。  補助制度の更なる活用を図り、支援を必要とする方にこれを確実に届けるため、制度の拡充や運用の柔軟化について国土交通省として是非前向きに取り組んでいただきたいと思いますし、こういった支援を必要とされている方は多いのかなと、こんなふうに思いますので、国土交通大臣の見解をお聞きしたいと思います。  大臣、よろしくお願いします。
  • ○国務大臣(斉藤鉄夫君) 居住サポート住宅、この供給を促進していかなければならないと思っております。そのために、いろんな支援のための予算が必要です。令和六年度予算におきまして予算措置を拡充することとしておりまして、具体的には、居住サポート住宅についても改修費補助などについてセーフティーネット住宅と同様の補助を行うということとしていきたいと思っております。  また、こうした制度や、運用措置だけ、予算措置だけではなく、福祉サービスも含めて効果的な運用が行われるよう、厚生労働省とも連携して制度の周知や先進事例の共有などにしっかりと取り組んでまいります。  現場の声をしっかり聞きまして、福祉、これまで福祉部局がやってきたことに今回、国交省の住宅部局がやることを併せることになります。いろいろな試行錯誤があろうかと思いますが、福祉施策の予算の実態もよく我々も勉強しながら、実効性のあるものになっていくような支援制度をつくっていきたいと思います。
  • ○森屋隆君 大臣、ありがとうございます。  最後の質問になるかと思います。今大臣答弁していただいた中に少し重複しているかもしれませんけれども、やはりこの制度を本当に充実して使っていくために、やっぱり人材ですよね、そこに携わる人の人材がやっぱり一番私は重要かと思っています。  今大臣言われたように、一つは福祉の面というのもあるかと思います。そして、住宅の面という、そういった知識が必要かと思います。そういった人材を是非育てていただきたいなと思っています。  その人材教育支援などについて、大臣の決意、今あったかと思いますけど、再度よろしくお願いしたいと思います。
  • ○国務大臣(斉藤鉄夫君) 先ほどは予算の面に着目して答弁させていただきましたが、今、森屋委員から人材という、また制度の面からの御質問でございました。  地域における住宅と福祉が連携した居住支援体制の強化を図るため、この法案では、市区町村などの地方公共団体が居住支援協議会を設置するよう努めなければならないこととしております。現在設置されている居住支援協議会においては居住支援の現場を担う人材育成の講座を開催しているほか、居住支援法人の全国団体では居住支援のリーダー人材の育成のためのグループワーク研修などを行っております。  この法改正を契機として、国土交通省としても、居住支援協議会の設置を促進するとともに、厚生労働省や地方公共団体とも連携しながら居住支援協議会などによる人材育成を一層支援するなど、住宅と福祉の関係者の相互理解を図り、居住支援に係る知識が広く共有されるようしっかり取り組んでまいりたいと決意しております。
  • ○森屋隆君 大臣、ありがとうございました。  終わります。
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