議事録

国土交通委員会 2024年3月29日

  • ○森屋隆君 立憲民主・社民の森屋隆でございます。  それでは、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。よろしくお願いをいたします。  長年にわたってこの特別措置法が講じられてきましたが、その成果をどのように評価しているのでしょうか。また、自立的開発が目的の一つとされていますが、具体的にどのような状況を想定しているのでしょうか。さらに、本法案には開発の文言が入っていますが、どのような状況が達成すれば完了すると考えているのかについて斉藤国土交通大臣に伺いたいと思います。
  • ○国務大臣(斉藤鉄夫君) まず、今、森屋先生御指摘のこれまでの政策の評価でございますけれども、奄美群島と小笠原諸島においては、それぞれの特別措置法の下で公共事業の補助率のかさ上げやソフト事業への支援を行い、その結果、道路、港湾の整備、産業振興や環境保全などにも一定の成果を上げてきたと、このように考えております。  そして、二点目の御質問、自立的発展というのはどういうことかということでございますが、地域が様々な不利な条件を乗り越え、地元の発意や創意工夫によって、豊かな自然や独自の産業文化、地理的特性などを生かして主体的に発展していくことを想定しております。  また、振興開発という文言は、戦後復興が一段落した後、産業振興や観光開発にもより一層注力していくと、こういう趣旨から法律の名称に盛り込まれたところでございます。  そして、どこまで行けば完了になるかということでございますが、この振興開発がどのような状況を達成すれば完了するかにつきましては、社会経済情勢の変化など様々な考慮すべき点があり、一概にお答えすることは難しいのでありますが、定性的に言えば、先ほど申し上げました自立的発展が将来に向けて継続的に期待できるということが必要であると考えておりまして、それを目標に頑張っていきたいと思っております。
  • ○森屋隆君 ありがとうございます。  続きまして、前回の平成三十一年の改正から、この主要指数、人口や高齢化率、あるいは財政力指数等を踏まえて、現計画期間における施策の効果についてはどのように評価しているのでしょうか。お答えください。
  • ○政府参考人(黒田昌義君) お答えいたします。  平成三十一年以降、奄美群島市町村の財政力指数は全国平均より低い数字で推移しております。また、高齢化や人口減少については全国平均を上回る水準で推移しておりますけれども、平成二十九年度以降の人口減少率は毎年約一・一%の減となっております。減少ではございますけれども、同様のペースであれば、現行の振興開発計画における令和五年度末の数値目標を達成する見込みというふうに承知をしております。  また、小笠原村の財政力指数は全国町村の平均よりも低い数字で推移しておりますけれども、高齢化率は全国平均よりも低く、人口については、将来的な目標三千人に対しまして、平成三十年度末から横ばいの二千五百人程度となっているというふうに承知をしております。  平成三十一年改正からこの間、両特別措置法の下で進めてきましたインフラ、また生活環境の整備、産業振興、環境保全などの施策が、こうした人口動態に一定の効果を与えているというふうに考えているところでございます。
  • ○森屋隆君 ありがとうございます。厳しい状況であるけど、しっかり頑張っているなというふうに感じました。  次に、沖縄振興特別措置法やこの離島振興法では法の有効期限が約十年とされております。奄美市議会からもこの法の有効期限を十年にすることを求める提言書が令和四年の十二月に取りまとめられていると、こういうふうに伺っています。  今回、この奄美法、小笠原法共に引き続き五年間の延長としたのはどのような理由に基づいているのか、これについてお答えをいただきたいと思います。
  • ○政府参考人(黒田昌義君) お答えいたします。  奄美群島と小笠原諸島につきましては、両地域を取り巻く社会経済状況の変化を的確に受け止め、その都度機動的に法を見直していくことが適切であるということから、両特別措置法におきましては延長する期間を五年というふうにしてきたところでございます。  今般の改正におきましても、例えば、令和三年に奄美大島及び徳之島が沖縄と一緒に世界自然遺産に登録されたことを踏まえ、今回の改正法案の基本理念に沖縄との連携を追加して、そのための支援策を講ずることとしているところでございます。  地元からの御意見、鹿児島県とか広域事務組合など全体の意見を代表する機関からは十年としてほしいという御要望いただいておりませんけれども、今後ともしっかりと地元の御意見には伺って対応していきたいと思っております。
  • ○森屋隆君 よろしくお願いをいたします。  続いて、コンサルティング業務について少し伺いたいと思います。  奄美群島復興開発基金の業務にこのコンサルティング業務を追加した理由について、さらに、新たにこの業務を追加したことによって得られる効果について伺いたいと思います。
  • ○政府参考人(黒田昌義君) お答えいたします。  奄美群島振興開発基金におきましては、従来、債務保証と融資を二本柱として業務を行ってまいりましたけれども、地元自治体から、地元事業者によりきめ細やかな経営支援をしてほしいという御要望いただいております。また、総務省の独法評価委員会からは、基金の収支改善につながる新たな収入源を確保するよう御指摘を頂戴したところでございます。このため、今般の法改正におきましては、この奄美基金がコンサルティング業務を行えるように新たな業務として追加をするということとしたわけでございます。  この業務の追加によりまして、具体的には、移住者が起業する際の事業収支計画の策定支援であるとか、農家が生産物の加工、販売、いわゆる六次産業化をしようとするときの小売や飲食業者とのマッチングであるとか、中小零細事業者の経営計画の作成や事業承継に必要な後継者探しなど、地元事業者へのきめ細かな経営支援が可能になるというふうに考えているところでございます。
  • ○森屋隆君 じゃ、次に、独立行政法人評価制度委員会について聞きたいと思います。  この独立行政法人の中期目標の策定等について、このコンサルティング機能の追加のほかに、奄美群島における政策シンクタンクとしての収入の確保、これを掲げていると思います。  法案には反映されていないようでありますけれども、この新業務として追加しないとした理由、そして今後検討すべき課題についての認識の有無についてお聞きしたいと思います。
  • ○政府参考人(黒田昌義君) お答えいたします。  御指摘のございました独法評価委員会からの指摘につきましては、基金の新たな収入源の確保のために、具体的な例といたしまして、専門人材の知見を活用いたしました事業者の再生支援であるとか、事業承継支援の実施に際してのコンサルティングであるとか、また奄美群島におきます政策シンクタンクとしての収入の確保、これが挙げられたところでございます。  このうち、今般の法改正案におきましては、奄美群島におきます新たな産業育成、先ほど申し上げました六次産業化の推進等の観点から、移住者による起業や中小零細事業者の経営計画の作成などを支援するコンサルティング業務を追加をするというふうにしたところでございます。  一方で、もう一つの、委員会から御指摘をいただき、御提案いただきました政策タンク業務につきましては、これまでの基金の業務を通じた知見の蓄積、そうした点での課題、また、新たな組織体制を別途整える必要があるということから、地元事業者への経営支援を行うコンサルティング業務の方が本来業務との関連性、継続性という観点で、また、新たな収入源を確保するという観点からは有効である、現実的ではないかというふうに考えたところでございます。  いずれにしましても、今回の業務拡充がしっかり定着するかどうか、また、基金の組織体制や収支改善の見通し、そうしたものを総合的に勘案をいたしまして、基金が奄美群島の産業振興にしっかりと貢献できるよう、地元の自治体とも連携しながら主務省庁としてしっかりと対応していきたいというふうに考えております。
  • ○森屋隆君 ありがとうございます。  この政策シンクタンクとしてはまだまだそこまで、何というんでしょうか、充実していないというか、そこの域まで達していないというような受け止めでよろしいんでしょうか。
  • ○政府参考人(黒田昌義君) お答え申し上げます。  今までの基金の業務というのは、債務保証と融資というのが二本柱でやっておりました。政策シンクタンク業務というふうになりますと、例えば地元の自治体から委託調査を受けて様々な政策提言をしていくというようなことが想定されますけど、まだまだそこまで知見の蓄積ということにつきましてはなされていないというような議論がございます。  また、新しい体制をつくるとなってきますと、そのための人員の確保ということも必要になってまいりますので、まずは、この収支改善という点では現在やっております業務をしっかりと継続をし、またそれを拡充するということから、コンサルティング業務というようなことを考えたところでございます。
  • ○森屋隆君 ありがとうございます。  重複するような質問になってしまうかもしれませんけれども、本来のこの業務である、今答弁いただいたこの債務保証・融資業務についてもこの実績向上を図ることが重要で当然あるわけでありますけれども、この独立行政法人評価制度委員会では、この条件の不利地域における同業他社との比較や検証、これの必要性も指摘をされていると思います。  この指摘についての受け止め、どういうふうに捉えているでしょうか。
  • ○政府参考人(黒田昌義君) お答えいたします。  独法評価委員会から、今御指摘がございましたけれども、同業他社の課題といたしまして、債務保証につきましては鹿児島県保証協会、また融資業務につきましては日本政策金融公庫とか沖縄振興公庫、これが挙げられるというふうに考えております。  今後の基金の業務実績の向上のためには、こうしたこの同業他社の機関の審査基準であるとか体制、また販売しております金融商品、こうしたものを参考にしていくことが大変有効であると、重要であるというふうに考えておりますので、今後、基金におきまして、これらの機関との比較検証、これをしっかりと行って、その結果を業務に反映していくことが必要であるというふうに考えております。  私どもといたしましても、金融の専門家と基金が意見交換する場の設定であるとか、競争力のある金融商品の開発に向けました関係省庁との調整、これをしっかりと行いまして、主務省として基金の収支改善の道筋をしっかりと付けていきたいというふうに考えております。
  • ○森屋隆君 重要な指摘かと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。  次に、移住の促進について質問をさせてください。  小笠原諸島においては、この移住の促進を図るために土地利用計画の見直しにより住宅用地を確保すると、こういうふうにしておりますが、この土地利用計画の見直しというのはこの条文上に担保されているものと、こういうふうに考えていいのかどうなのかについて答弁を求めたいと思います。
  • ○政府参考人(黒田昌義君) お答えいたします。  小笠原諸島につきましては利用可能な土地が少ないことから、効率的な土地利用を推進するために、国が策定する基本方針に基づきまして、東京都が振興開発計画の一部といたしまして土地利用計画を策定しております。これがスキームでございます。しかしながら、現在、住宅用地に設定したエリアには未利用地がほぼなく、移住者や子育て世帯用の住宅を新増設できないことから、この土地利用計画を見直し、新たに住宅用地を確保する必要があるというふうに考えております。  今回の法改正案におきましては、この小笠原法の法目的にまず移住の促進を掲げまして、法律に基づく基本方針に記載する事項としてもこの移住の促進に関する事項を追加をし、当該基本方針に基づきます土地利用計画につきまして移住のための住宅用地の確保の観点から見直すという、そういうような構成になっております。  この東京都による土地利用計画の見直しに当たってはこのような観点がしっかりと反映されますよう、国土交通省としても適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  • ○森屋隆君 担保されているというふうな解釈でよろしいかなと思います。ありがとうございます。  旧島民の問題について二点ほど質問させていただきたいと思います。  この旧島民の二世、三世、四世等のこの若い世代が積極的に小笠原諸島に触れる機会をつくることが大事だと思いますし、そのことによって小笠原諸島に定住してもらえるようなことになるんだろうと思います。そういった施策の実施が重要であると考えますけれども、この二世、三世、四世について、どのような位置付けで、そして今後、移住、定住に向けた取組、この進め方についてお示しをいただきたいと思います。
  • ○政府参考人(黒田昌義君) お答えいたします。  委員御指摘のとおり、旧島民に加えまして、その二世から四世などの若い世代につきまして小笠原諸島への定住、移住を促進することは、これは大変重要なことだというふうに認識をしております。このため、国土交通省におきましては、旧島民や更に若い世代の帰島を促進するため、東京都、小笠原村及び関係団体と連携をいたしまして、生活環境の整備であるとか生活再建資金の貸付けなどの各施策に取り組んできたところでございます。  また、旧島民の団体でございますけれども、公益財団法人小笠原協会におきましては、その二世から四世なども対象に、小笠原訪問並びに交流ツアー、こういうのを開催をいたしまして、若い世代が積極的に小笠原諸島に触れる機会をつくっておるところでございます。  国土交通省といたしましても、東京都、小笠原村及び関係団体と連携をいたしまして、引き続き生活環境の改善を図るとともに、こうした協会を通じました旧島民の二世から四世への積極的な働きかけなど若い世代が小笠原諸島に触れる機会をつくりまして、移住、定住につながる帰島促進の在り方についてしっかりと推進してまいりたいというふうに考えております。
  • ○森屋隆君 ありがとうございます。  一点、この四世の位置付けというのを、もしよければ教えていただきたいと思います。
  • ○政府参考人(黒田昌義君) 済みません、要請でございますか。
  • ○森屋隆君 四世の位置付けというか、今現在の位置付けをお願いしたいと思います。
  • ○政府参考人(黒田昌義君) お答えいたします。  二世、三世、四世ということでございますが、お子さんと、旧島民、小笠原村、小笠原諸島につきましては強制疎開されましたので、皆さん本土に移られました。その方が旧島民になるわけなんですが、そのお子様の世代が二世、孫の世代が三世、四世となりますと、そのひ孫さんというような世代に当たるということでございます。
  • ○森屋隆君 ありがとうございました。  最後の質問になるかと思います。  この旧島民、もう当然高齢化しています。硫黄島の旧島民についてもこの一時帰島を、まあ困難な状況であると、こういうふうに伺っています。訪島、あるいはこの墓参事業というんでしょうか、東京都や小笠原村が実施する事業であると思いますけれども、過去の経過からいって当然国としても支援していくべき課題だと私は考えております。  この旧島民の帰島や訪島促進について、国としての見解を斉藤大臣にお聞きをしたいと思います。大臣、よろしくお願いをいたします。
  • ○国務大臣(斉藤鉄夫君) 森屋委員御指摘のとおり、硫黄島は火山活動により定住が困難な状況にございます。産業の成立も厳しいことから、小笠原村や東京都が旧島民のために実施している訪島、墓参事業は特に重要と認識しております。全員移住されましたので、この島を訪問する訪島、そして墓参事業、非常に重要だと認識しております。  このため、国土交通省においては、これらの事業の実施に当たり、小笠原村や東京都からの依頼を受け、防衛省に対し硫黄島への輸送支援に関する協力依頼を行うとともに、防衛省との調整の円滑化のため国土交通省職員が事業に同行しているところでございます。  自衛隊の方は常駐していらっしゃいます。そういう方々に御協力いただいて、訪島、墓参事業を行っているというところでございます。今年度は訪島事業を七月に実施し、五十六名の方々に御参加いただきました。また、墓参事業を十月、二月の二回実施し、計九十名の方々に御参加いただきました。  国土交通省としましては、防衛省の協力をいただきながら、少しでも多くの旧島民が訪島、墓参できるよう、引き続き小笠原村や東京都と連携してまいりたいと考えております。
  • ○森屋隆君 大臣、ありがとうございます。  引き続き、防衛省含めて支援よろしくお願いしたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
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