議事録
国土交通委員会 2023年12月5日
2023.12.05
- ○森屋隆君 立憲民主・社民の森屋隆でございます。よろしくお願いをいたします。 まず、電動キックボードについてお聞きをしたいと思います。 七月の法改正以降、この電動キックボードの違反が増加し、後を絶ちません。また、先日、死亡事故が発生しました。規制の見直しが必要と思いますが、国のお考えをお聞かせください。
- ○政府参考人(小林豊君) お答えいたします。 特定小型原動機付自転車は、その、あっ、失礼しました。失礼いたしました。改正道路交通法により、令和五年七月以降、性能上の最高速度が自転車と同程度であるなど一定の基準を満たす車両に限り、特定小型原動機付自転車として運転免許を必要とせずに運転することができることとされております。一方で、いわゆる電動キックボード等のうち特定小型原動機付自転車に該当しないものについては、従来どおり一般原動機付自転車等としてその運転に免許を必要とし、歩道走行もできないこととされております。委員御指摘の死亡事故は、現在捜査中でありますが、一般原動機付自転車に当たるものによる事故と見られると報告を受けております。 このように、特定小型原動機付自転車に該当するか、それとも一般原動機付自転車等に該当するかにより適用される交通ルールが大きく異なっておりますが、まずはこのルールの周知徹底を図ることが重要であります。 警察としては、引き続き、これらの小型モビリティーについて、関係機関、団体等と連携した交通ルールの広報啓発、交通安全教育、悪質、危険な交通違反、歩行者に危険を及ぼすおそれの高い交通違反に重点を置いた厳正な指導取締りを推進し、関連する交通ルールの定着を図ってまいります。
- ○森屋隆君 長かったんですけど、そのような考え方だと、また同じような事故が私、起こると思います。早急に考えていただきたいと思います。 十二月一日、岸田総理がドバイで開催されているCOP28に出席をし、日本の取組などについて演説をしました。会議では、パリ協定の一・五度目標実現に向け世界の対策がどの程度進んでいるのか評価する作業が初めて実施されると伺っています。 世界の平均気温は、記録のある一八五〇年以降で最も高くなることが確実になったと発表しました。イタリアで四十八・二度、モロッコでは五十・四度を観測しています。現在、日本は、先月の七日にも各地で夏日となりました。東京都心では二十七・五度を観測し、百年前の記録を更新し、また年間夏日は百四十三日目となりました。今後も地球沸騰化によってこのような状況が続くと思います。 本日は、特にこの都市部の高温化の状況や国の対策についてお伺いをしたいと思います。 まず、このヒートアイランド現象とはどのようなことを指すのか、お聞かせください。
- ○政府参考人(大林正典君) お答え申し上げます。 ヒートアイランド現象とは、都市の気温が周囲よりも高くなる現象のことです。気温の高い地域が都市を中心に島のような形に分布することから、このように呼ばれるようになりました。
- ○森屋隆君 では、この大都市の平均気温というのは過去百年でどのくらい上昇しているのか。夏、冬、そして世界の平均気温についてもお聞かせください。
- ○政府参考人(大林正典君) お答え申し上げます。 気象庁の一九二七年から二〇二二年までの気温の観測の結果によれば、百年当たりの平均気温の上昇量は、東京では、夏は二・二度、冬は四・二度、年間では三・三度、大阪では、夏は二・〇度、冬は二・六度、年間では二・六度、そして名古屋では、夏は二・三度、冬は三・〇度、年間では二・九度となっています。また、一八九一年から二〇二二年までの観測の結果によれば、世界の平均気温は百年当たり〇・七四度上昇しております。
- ○森屋隆君 ありがとうございます。 伺ったところによると、日本の気温上昇が高いようなんですけれども、主な原因は何でしょうか。
- ○政府参考人(大林正典君) お答え申し上げます。 まず、日本全体についてお答えいたしますと、年平均気温は、一八九八年から二〇二二年の観測結果によると、百年当たり一・三度上昇しております。これは、世界の年平均気温の上昇量である〇・七四度よりも高くなっております。 この要因は、日本が位置する北半球の中緯度は陸域が多く暖まりやすいことなどから、地球温暖化による影響を受けやすいことによるものと考えられます。また、先ほど都市部の気温の上昇についてお答えいたしましたが、人工的な構造物の影響により熱を蓄えやすくなったことや、多様な産業活動による人工排熱等によるヒートアイランドの現象を要因として、都市部においては更に気温の上昇が大きくなっております。
- ○森屋隆君 ありがとうございます。 高層ビルが大分建っているんですけれども、この風の通りが変わったという、そういうこともあるんでしょうか。
- ○政府参考人(大林正典君) 詳しくは分からないんですが、風の流入の変化というのも要因の一つである可能性はあると思います。
- ○森屋隆君 では、この気温が大分上昇している、夜も熱が下がらない中で、そのことによってどのような影響を及ぼすのか、これについてお聞かせいただきたいと思います。
- ○政府参考人(神谷洋一君) 環境省が二〇二〇年に公表しました気候変動影響評価報告書によりますと、気候変動による主に都市部への影響としましては、例えば、気温上昇による熱中症リスクの増加、短時間強雨や渇水の頻度の増加、強い台風の増加に伴うインフラ、ライフラインへの被害などが予測されております。
- ○森屋隆君 ありがとうございます。 もう既に、ただ暑いというだけではなくて、熱中症、健康被害が出ているということと、都市型の水害も多く、この間も国土交通委員会でいろいろ議論があったと思いますけど、都市型の水災害なんかもあります。 そういったことが指摘されているわけでありますけども、では、今言われたその熱中症で搬送された方や亡くなってしまった方という方々、どのくらいいるんでしょうか。これについても教えていただきたいと思います。
- ○政府参考人(鈴木建一君) お答え申し上げます。 消防庁におきましては、平成二十年より熱中症による救急搬送人員の調査を行っております。この調査によります本年の五月から九月までの間の熱中症による救急搬送者数は九万一千四百六十七人、このうち搬送時に医師により死亡と診断された方は百七人となっております。
- ○森屋隆君 ありがとうございます。 九万一千四百六十七人が搬送されて百七人が亡くなられたということですけれども、これは、よく年配の方が就寝して朝起きたときにもう亡くなっていた、熱中症で亡くなっていたというようなニュースがありますけれども、この人数というのは含まれていないんでしょうか。
- ○政府参考人(鈴木建一君) 今の方は搬送されて医師により死亡と診断された方でございますので、その場で、不搬送になった方はこの人数には入ってございません。
- ○森屋隆君 ありがとうございます。 じゃ、更に増えるということかと思います。そういったやっぱりヒートアイランド現象あるいは温暖化、沸騰化の現象で、そういった健康的被害、あるいはもう亡くなる方も出ているということで、大変なことかなと、やっぱり真剣に考えていかなきゃならない問題であることは間違いないと思います。 そういった中で、国の対策についてお聞かせをください。 今の状況等も踏まえて、そして、冬も三度、四度上がっているということでありますから、この冬の雪の見通し等々も分かればこれも聞かせていただきたいと思いますし、日本気象学会では、こういった冬も暖かくなると大雪になる可能性も五倍ほど上がると、こういうふうなことも言われていると思うんですけど、そのことも含めて、冬の雪の状況も教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
- ○政府参考人(神谷洋一君) まず、ヒートアイランド対策の柱について御説明いたします。 ヒートアイランド対策については、国、地方公共団体、住民等の取組を適切に推進するため、平成十六年三月、実施すべき具体の体系的な対策としてヒートアイランド対策大綱を取りまとめております。その後、平成二十五年にこの大綱の見直しを行いまして、一、人工排熱の低減、二、地表面被覆の改善、三、都市形態の改善、四、ライフスタイルの改善、五、人の健康への影響等を軽減する適応策の推進の五つを柱に総合的なヒートアイランド対策を実施しております。 また、ヒートアイランド対策は、気候変動による影響への適応策の一部に位置付けられるものであります。気候変動適応法に基づき閣議決定した気候変動適応計画においても、大綱の柱に沿った施策が盛り込まれております。 今後とも、関係省庁と連携しつつ取り組んでまいります。
- ○政府参考人(大林正典君) この冬の雪の見通しについてお答え申し上げます。 今月十二月から来年二月にかけては、日本付近では寒気の南下が弱い見込みで、気温については全国的に平年と比べて高く、雪については、東日本、西日本の日本海側では少なく、北日本の日本海側では平年並みか少ない見込みです。 冬を通しての全体的な降雪量は少ない見込みですが、一時的な寒気の強まりや低気圧の通過などにより大雪になることがあります。気象庁や各地の気象台が発表する最新の防災気象情報等に十分留意いただきたいと考えております。
- ○森屋隆君 ありがとうございます。 国の対策、五つの柱を今少し述べていただいたのかなと思っているんですけれども、これ平成二十五年に改正をして、その後、重立った取組、これをずっと続けていると思うんですけれども、状況的になかなか、ここがこう変わったとか、それによってこういう効果が出ているとかというのはなかなか判断難しいと思うんですけれども、少し時間がたっていますので、その辺のところを分かればもう少し詳しく教えていただきたいと思います。
- ○政府参考人(神谷洋一君) 各施策の取組というのを進めてございます。 関係省庁、非常に多岐にわたりまして、あと、都市を大きく変えていくというようなことも必要な対策になりますので、すぐに取組を定量的に評価するというのは難しゅうございますけれども、関係省庁の連絡会議等も設置して取り組んでおりますので、しっかり状況を今後ともフォローしながら報告できるようにいたしたいと思います。
- ○森屋隆君 すぐ、じゃ、二度下がったよとかこういう数値は出ないと思うんですけれども、平成二十五年から十年ぐらいたって、これまた見直しというのはあるんでしょうか。
- ○政府参考人(神谷洋一君) 今、気候変動適応計画がございまして、その計画につきましては定期的な見直しを行うことになってございます。今の計画は令和三年十月の計画でございますけれども、これの見直しを、おおむね五年間の計画ということで今後とも適宜進めてまいりたいと思います。
- ○森屋隆君 丁寧にありがとうございます。 各省庁でそれぞれやっていると思うんですけれども、今お答えいただいた環境省では、このCO2の削減に向けて、この柱を読ませていただくと、自動車から公共交通への転換を促進すると、こういったことが挙げられているんですけれども、これ、国交省でもこういったような同じような取組というのはあるんでしょうか。国交省、よろしくお願いします。
- ○政府参考人(石原大君) お答え申し上げます。 国土交通省におきましても、国土交通省環境行動計画というものを策定しておりまして、この中で、公共交通機関の利用促進を進めると、こういうふうにされているところでございます。このために、公共交通機関の利用意識の醸成、利便性向上など、このような施策に取り組んでいるところでございます。
- ○森屋隆君 マイカーから公共交通機関に乗り換えるというような、こういったものであるということでいいんでしょうか。そういった、このCO2削減の中で、国交省が率先してこのCO2を削減するために公共交通に乗り換えていくと。特に都市部、あるいは先ほどもあったように観光地なんかはマイカーで混んでいるわけですよ。このCO2削減に、国交省が積極的に公共交通に乗り換えるというような、そういったものというのは打ち出しているんですか。もう一度お聞きいたします。
- ○政府参考人(石原大君) お答え申し上げます。 この計画の中では転換というところを明確に打ち出しているわけではございませんけれども、この今委員御指摘の地球温暖化対策ですとかヒートアイランド対策の観点から、国民一人一人が自家用車から公共交通機関へ利用を切り替えていくということは極めて重要であるというふうに考えておりますし、この意識の転換を図るために、公共交通の利便性を一層向上させて自家用車に近い使い勝手の良さを実現していくと、このような観点で様々な施策を講じていると、こういうところでございます。
- ○森屋隆君 ありがとうございます。様々な施策を打ち出しているということであります。 大臣にお伺いしたいと思います。 今、この間のやり取りあったんですけれども、二〇二〇年度データでは、この運輸部門におけるCO2排出量の全体の四六%、八千四百四十万トンが自家用車から排出されています。現在の温室効果ガス、これ二〇二一年のデータだそうですけれども、二〇・三%を削減されると、削減していると、こういうふうに伺っています。 二〇三〇年目標まで残り二六%ほど削減が必要です。積極的に、小さいことかもしれませんけれども、自家用車からこのCO2の排出量の少ない公共交通へ乗り換えて、観光地だとか市街地あるいは生活道路、そして高速道路も最近すごい私混んでいると思うんですけれども、この渋滞をなくす、CO2を削減する、このことが、経済損失、今渋滞しているのは経済損失しているわけですよね、そういったことを真剣に考える、一人一人がですね、時期に来ていると私思います。 地球温暖化、ヒートアイランド対策については、国土強靱化等、そういったハード面などの予算も含めて取組が行われています。これも大事だと思いますけれども、ソフト面での対策についてなかなか進んでいないなと、このやり取りの中でも私感じました。 こういった取組、ソフト面の取組あるいは一人一人の行動変容の必要性、これについて、大臣、一言、コメントというか、大臣の思いを聞かせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
- ○国務大臣(斉藤鉄夫君) 森屋委員御指摘のように、ゼロエミッションの車を造るとかそういうハード面、これも非常に大切ですが、と同時に、我々国民生活の中でどのようにこのCO2排出を図っていくか。例えば、公共交通機関を使っていく、また、物流においてはモーダルシフトを進めていくというそのソフト面が非常にこれから大きな課題になってくると思います。 我々国土交通省、そのソフト面での対応、国民の行動変容を行っていく、促していくということで全力を挙げていきたいと思います。
- ○森屋隆君 大臣、よろしくお願いします。 終わります。ありがとうございました。